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第一次世界大戦で心に深い傷を負ったバーキンは、ヨークシャーのオズゴッドビーで教会の壁画修復の仕事に就く。村人や牧師の妻アリス、村で発掘調査をしているムーンとの交流は、バーキンの心を静かに癒していくが…
ヘレン・ミレンがカンヌ映画祭女優賞を受賞した佳作「キャル」のパット・オコナー監督作。空前?の英国美青年ブームが起こった80年代後半、「アナザー・カントリー」で人気美青年リスト入りしたコリン・ファースの初主演作。1987年の作品だから、コリン当時27歳!
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すごい気難しそうなところは、現在と変わってませんね。性格が悪いのではなく、すごく内省的で不器用なため誤解されやすい、そして心に傷や闇を抱えているバーキンのような役は、コリンの十八番でしょうか。いかにも苦しんでいる、悲しんでいると周囲や観客に訴えてくるような演技ではなく、寡黙さの中に何げない表情や仕草で心の痛みを伝えてくる演技が秀逸です。悲惨な戦争体験のトラウマで、吃音になってしまったバーキン。コリン、後年オスカーを受賞した「英国王のスピーチ」でも、吃音に悩む役でしたね。
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でもほんと、若い頃のコリンってスマート!無駄な肉が全然なさそうな長身痩躯。ピクニックシーンで寝そべって伸ばしてる足、長っ!今回は元従軍兵士役ですが、コリンもまた上流階級の役が似合うイギリス俳優なので、ビンボー臭さや不潔感なんて微塵もなし。教会の鐘楼に住み込んで、お風呂もほとんど入ってないはずのバーキンだけど、いつも小ぎれいで清潔な紳士に見えるのは、やはりコリンのきちんとした個性のなせるわざでしょうか。バーキンがもし軽薄で卑しげな小汚い男だったら、誰も彼に近づいてこなかったでしょうし。孤高だけど善良、そしてイケメンなバーキンなので、勝手に人が寄ってくる。彼らとの交流もベタベタした人情話にはならず、優しさの中にも礼節や思慮があり、距離感を保つやりとりになっていたのも、いかにもイギリス、そしてコリンって感じでした。
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ムーン役は、これまた若い!ケネス・ブラナーですよ!コリンと同い年だから、彼も当時27歳!これが記念すべき映画デビュー作だって。若かりしコリン&ケネスを拝めるだけでも、一見の価値ありな映画です。ケネスはイケメンではないけど、人懐っこい笑顔が可愛く温かく、見ていて癒されます。ムーンも悲しい戦争体験の持ち主で、死にたくなるような辛さだろうに、明るく振る舞ってるところが返って痛ましかったです。同性愛スキャンダル!で軍を追放、というのがこれまたイギリスらしい。実は同性愛者のムーンですが、全然ゲイゲイしくはないです。でも、時々バーキンに向ける上目遣いとか、ピクニックでのちょこんとした座り方とか、これまた何げない乙女っぽさの出し方が、さすが当時英国演劇界の神童的存在だったケネスです。バーキンとムーンが、BLな関係に発展するのかなと期待しましたが、残念ながら
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アリス役は、大女優ヴァネッサ・レッドグレイヴの娘、ナターシャ・リチャードソン。ママそっくりですが、ママよりも柔らかく優しそう。若くして亡くなったのが惜しまれます。これといった事件や劇的な展開、シーンなどはいっさいなく、終始静かに淡々としてる映画なのですが、それがとても心地よくもありました。そしてあらためて思った。イギリスの田舎、最高!主役は人間ではなく、田舎の美しい風景や自然かも。明るく優しい陽射し、静かな森、庭の木々や草花、古い教会、ティータイム、鉄道etc.英国のカントリーライフ、憧れる!住めば私の荒んだ魂も、きっと浄化される。ヨークシャーにも行ってみたくなりました。
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↑ 二人とも今では貫禄あるシブい大物俳優になってますけど、こんなに可愛い青春真っ盛りな頃も。また共演してほしいですね(^^♪
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