今日は、アメリカンチャイニーズのエヴァンとオースティンとエマの3人兄弟妹の家にピアノを教えに行きました。
今年15才になったエヴァンは高校生。彼が7才の時、わたしの家の生徒第一号として習いに来てくれました。
その頃の彼は体がとてもちっちゃくて、手だってそれはそれはちっちゃくて、関節もふにゃふにゃ、ピアノの鍵盤に乗せると、まさしくモミジの葉っぱみたいでした。
そして、季節の変わり目になると、きまって何かのアレルギーが出て、唇をぷっくり腫らしてたり、鼻の下の皮が剥けてたり、目が真っ赤だったり、そんなんで楽譜なんか読めないし、集中するのだって難しいし、先に進むのがなかなか難しい子でした。
でも、弟のオースティンも習うことになり、それまで電子ピアノだったのが本物のアップライトピアノに変わった頃から、
お兄ちゃんのプライドとかもあったのかもしれないけれど、俄然やる気が出てきたエヴァン。
中学校では、ブラスバンドのキーボードや、ジャズクラブのピアノを、自分から進んで担当したりするようになりました。
バンドから難しい曲をもらった時などは、その曲もレッスンで見たりしました。
学校やクラブのことなどをよく話してくれたり、彼が好きな日本のマンガの主題歌を教えてくれたり、
それまで知らなかったエヴァンの、ピアノの生徒としてだけではない部分を見せてくれるようになりました。
高校入学と同時に、とても厳しいマーチングバンドに入部し(複数のオーディションを合格して)、
その練習と、毎週のようにあるショーやコンテストと、学校からの山のような宿題で手一杯になったエヴァンは、
モーツァルトのトルコ行進曲を弾くんだと張り切っていた発表会にも出られなくなり、レッスンも休止中です。
でも、あんなに引っ込み思案で自信を持てなかった彼が、難しいことに次々にチャレンジし、それなりに自信を持って立ち向かっている姿を見せてもらえるのは、長年付き合ってきた者としてとても幸せなことです。
わたしはピアノの教師なので、もちろん生徒にピアノを教えているのだけれど、
わたしが1番彼らに伝えたいことは、音楽っていいよねって思える気持ちと、楽器を演奏できるという特別な表現力を、
できれば一生、もうそろそろさよならだ、という日が来るまで持ち続けて欲しいということです。
もちろん、その楽器がピアノであってくれたらすてきだけれど、吹奏楽器でも打楽器でも、声でも太鼓でも、ほんとになんだっていいんです。音楽につながっていればそれでいいんです。ジャンルだってなんだってかまいません。
今夜、オースティンのレッスンが終わり、エマのレッスンをしていると、地下の方からにぎやかな音が聞こえてきました。
なんだろな、と思いながらエマのレッスンを終え、次の生徒の家に行く支度をしていると、3人の父親が見送りに来てくれました。
「ドラムセット、買ってあげたの?」
「ああ、あれね、クリスマスの前渡しなんだ。エヴァンがどうしても欲しいって言って」
「へえ、エヴァン、ドラムも始めるの?」
「いやあ、あれをやってるのはエマだよ」
「え?エマ、ドラムを叩けるの?すごいね」
「ちょっと見てみる?」
「もちろん!」
父親のアランに案内してもらい、地下の部屋に降りて行きました。
あらまあ、エマがハイハットとスネアドラムを左右に置いて、エヴァンの指揮に合わせて一所懸命叩いています。
オースティンはなんとギターを演奏していて、いろんなコードをなかなか流暢に掴んでいるじゃありませんか。
そしてエヴァンはというと、ヴォーカルを担当しつつ、弟と妹にあれやこれや指示しまくり!
彼が歌っているのはもちろん、彼の大好きな日本のマンガの主題歌です。
アランがわたしの耳元で、「エヴァンの言い方さ、まうみにそっくりだろ?いっつも言われてきたもんね」とニヤニヤ。
3人は、今月末の感謝祭にやって来る、従姉妹達に披露しようと、毎日練習しているそうです。
もっともっと聞いていたかったけれど、次の子の家に遅刻しそうなのであきらめました。
家族で楽器を演奏する。これはわたしの、ずうっと叶わないままにいる夢です。
何も習わせてあげられなかった息子達。まるで音楽には興味無し、といった感じで大きくなっていき、やっぱり夢は夢でしかないのかなあとあきらめていたら、
Tは内緒で中学の吹奏楽部に入り、トランペットから打楽器に、そしてティンパニーに、大学に行ってからベースギターに、
Kは真似っこピアノからドラムセットに、そしてティンパニーからヴォーカルに、
旦那はギター一筋、たまに三味線弾いたり自作の歌を歌ったり、
いつか、一度でもいいから、Tのベースギター、Kのヴォーカルとドラム、旦那のギター、わたしのキーボードっていう設定で、
なんか演奏できたらいいのになあなんて、しぶとく夢見るわたしです。
今夜は、仕事が終わってからコミュニティバンドの本番用通しリハに行き、くたくたになって帰りました。
けれども、心の中はなんだかフクフクと、幸せな空気で膨らんでいます。
年を取って、ある時ふと昔のことを思い出した時、ああ、こんなに音楽が好きなのは、あの時、名前はすっかり忘れたけど、彼女と一緒にピアノを勉強したからかもしれないなあ、なんて思ってもらえたら……ピアノ教師冥利に尽きますね。
今年15才になったエヴァンは高校生。彼が7才の時、わたしの家の生徒第一号として習いに来てくれました。
その頃の彼は体がとてもちっちゃくて、手だってそれはそれはちっちゃくて、関節もふにゃふにゃ、ピアノの鍵盤に乗せると、まさしくモミジの葉っぱみたいでした。
そして、季節の変わり目になると、きまって何かのアレルギーが出て、唇をぷっくり腫らしてたり、鼻の下の皮が剥けてたり、目が真っ赤だったり、そんなんで楽譜なんか読めないし、集中するのだって難しいし、先に進むのがなかなか難しい子でした。
でも、弟のオースティンも習うことになり、それまで電子ピアノだったのが本物のアップライトピアノに変わった頃から、
お兄ちゃんのプライドとかもあったのかもしれないけれど、俄然やる気が出てきたエヴァン。
中学校では、ブラスバンドのキーボードや、ジャズクラブのピアノを、自分から進んで担当したりするようになりました。
バンドから難しい曲をもらった時などは、その曲もレッスンで見たりしました。
学校やクラブのことなどをよく話してくれたり、彼が好きな日本のマンガの主題歌を教えてくれたり、
それまで知らなかったエヴァンの、ピアノの生徒としてだけではない部分を見せてくれるようになりました。
高校入学と同時に、とても厳しいマーチングバンドに入部し(複数のオーディションを合格して)、
その練習と、毎週のようにあるショーやコンテストと、学校からの山のような宿題で手一杯になったエヴァンは、
モーツァルトのトルコ行進曲を弾くんだと張り切っていた発表会にも出られなくなり、レッスンも休止中です。
でも、あんなに引っ込み思案で自信を持てなかった彼が、難しいことに次々にチャレンジし、それなりに自信を持って立ち向かっている姿を見せてもらえるのは、長年付き合ってきた者としてとても幸せなことです。
わたしはピアノの教師なので、もちろん生徒にピアノを教えているのだけれど、
わたしが1番彼らに伝えたいことは、音楽っていいよねって思える気持ちと、楽器を演奏できるという特別な表現力を、
できれば一生、もうそろそろさよならだ、という日が来るまで持ち続けて欲しいということです。
もちろん、その楽器がピアノであってくれたらすてきだけれど、吹奏楽器でも打楽器でも、声でも太鼓でも、ほんとになんだっていいんです。音楽につながっていればそれでいいんです。ジャンルだってなんだってかまいません。
今夜、オースティンのレッスンが終わり、エマのレッスンをしていると、地下の方からにぎやかな音が聞こえてきました。
なんだろな、と思いながらエマのレッスンを終え、次の生徒の家に行く支度をしていると、3人の父親が見送りに来てくれました。
「ドラムセット、買ってあげたの?」
「ああ、あれね、クリスマスの前渡しなんだ。エヴァンがどうしても欲しいって言って」
「へえ、エヴァン、ドラムも始めるの?」
「いやあ、あれをやってるのはエマだよ」
「え?エマ、ドラムを叩けるの?すごいね」
「ちょっと見てみる?」
「もちろん!」
父親のアランに案内してもらい、地下の部屋に降りて行きました。
あらまあ、エマがハイハットとスネアドラムを左右に置いて、エヴァンの指揮に合わせて一所懸命叩いています。
オースティンはなんとギターを演奏していて、いろんなコードをなかなか流暢に掴んでいるじゃありませんか。
そしてエヴァンはというと、ヴォーカルを担当しつつ、弟と妹にあれやこれや指示しまくり!
彼が歌っているのはもちろん、彼の大好きな日本のマンガの主題歌です。
アランがわたしの耳元で、「エヴァンの言い方さ、まうみにそっくりだろ?いっつも言われてきたもんね」とニヤニヤ。
3人は、今月末の感謝祭にやって来る、従姉妹達に披露しようと、毎日練習しているそうです。
もっともっと聞いていたかったけれど、次の子の家に遅刻しそうなのであきらめました。
家族で楽器を演奏する。これはわたしの、ずうっと叶わないままにいる夢です。
何も習わせてあげられなかった息子達。まるで音楽には興味無し、といった感じで大きくなっていき、やっぱり夢は夢でしかないのかなあとあきらめていたら、
Tは内緒で中学の吹奏楽部に入り、トランペットから打楽器に、そしてティンパニーに、大学に行ってからベースギターに、
Kは真似っこピアノからドラムセットに、そしてティンパニーからヴォーカルに、
旦那はギター一筋、たまに三味線弾いたり自作の歌を歌ったり、
いつか、一度でもいいから、Tのベースギター、Kのヴォーカルとドラム、旦那のギター、わたしのキーボードっていう設定で、
なんか演奏できたらいいのになあなんて、しぶとく夢見るわたしです。
今夜は、仕事が終わってからコミュニティバンドの本番用通しリハに行き、くたくたになって帰りました。
けれども、心の中はなんだかフクフクと、幸せな空気で膨らんでいます。
年を取って、ある時ふと昔のことを思い出した時、ああ、こんなに音楽が好きなのは、あの時、名前はすっかり忘れたけど、彼女と一緒にピアノを勉強したからかもしれないなあ、なんて思ってもらえたら……ピアノ教師冥利に尽きますね。