前々からね、トンデモなことをよう書いてる新聞(特に産経)やと思てましたよ。
けども、社説を書いてる人、誰か知りませんけど、報道機関としてあってはならない杜撰さと、
こんなふうに、何回非難を受けても全くおかまいなし。
これからもずうっと、アホなことを続けていくんでしょうよ。
柏崎原発再稼働―日経・産経の事実誤認とお粗末な事後対応
楊井 人文/日本報道検証機構代表・弁護士
2013年10月9日
日経と産経が、社説で、誤解に基づき泉田知事を批判
先月下旬、新潟県の泉田裕彦知事が、東京電力柏崎刈羽原発の安全審査申請を、「条件」付きで承認した。
この泉田知事が求めた「条件」に対し、日本経済新聞と産経新聞が、立て続けに、社説で批判したが、
いずれも、「条件」の中身について、事実誤認があった。
だが、両紙の事後対応は、読者に与えた誤解を払拭するには、あまりにお粗末なものだった。
明確な訂正はせず、非常に目立たない形で、県側のコメントを載せて、お仕舞いにしたのである。
まずは、経緯を簡単に振り返っておきたい(詳細は【注意報】柏崎原発再稼働 社説で知事の「条件」を誤認も参照)。
9月26日、新潟県の泉田裕彦知事が、柏崎刈羽原発に関する安全審査申請を、「条件付きで承認した」と発表し、
翌日、東電が、原子力規制委員会に申請。
これを受け、日経新聞が、28日付社説で、同原発の再稼働問題を取り上げた。
「再稼働には、地元の理解と協力が大前提」とする一方で、
「泉田知事が東電に求めた申請の条件には、疑問が残る点がある」と指摘。
「重大事故が起きたとき、放射性物質を外部に放出するフィルター付き排気(ベント)の実施に、県の事前了解が必要としたことだ。
重大事故への対応は、一刻を争うだけに、それで迅速かつ適切な初動ができるのか」と、
泉田知事が付けた「条件」を批判した。
産経新聞も、30日付社説「主張」で、
「泉田氏は、申請容認にあたり、原発事故時に放射性物質の放出を抑える、『フィルター付き排気装置』を使用するさいには、事前に地元了解を取り付けることを条件にした」と指摘。
その上で、
「この条件は、問題だ。
一刻を争う緊急時の安全対策で、運用に法的根拠のない、地元独自の煩雑な手続きを課すことになるからである。
早急に見直さなければならない」と批判した。
■主張:柏崎原発申請 再稼働へ迅速審査求める(MSN産経ニュース 2013/9/30 03:16。9月30日付朝刊2面に同記事)
いずれの社説も、「一刻を争う」事故での、事前了解を求める不合理性を批判しているから、
事故時に、フィルター付きベントを実施する場合にも、県の了解を得ることを、泉田知事が求めた「条件」だと認識して、論じたとみられる。
しかし、知事が求めたのは、フィルター付きベント設備の運用開始前に、県の事前了解を得ることであった。
「条件付き承認」を表明した文書は、発表当日に、県のホームページにも公開されているが、
事故発生時のベント実施に際して、事前了解を求めるとは、どこにも書かれていない。
おそらく、再稼働に積極的な論説委員諸氏が、再稼働に厳しい姿勢で臨んでいた泉田知事を批判しようとして、
「条件」の中身を早とちりしたのではないか。
しかも、あろうことか、産経の社説が掲載されたのは、新潟県が、日経社説の間違いについてコメントを発表してから、2日後だった。
産経は、昨年7月にも、自社の記事の誤りが判明した翌日、コラムで同じ誤りを繰り返し、「おわび」を掲載したことがある(【注意報】東京11区が陸自の庁舎立入り拒否は誤報参照)。
報道機関として、あってはならない杜撰さである。
■条件付き承認に伴う知事コメント(付:条件付き承認の文書)(新潟県 2013/9/26)
■平成25年9月28日付 日本経済新聞2面社説について(新潟県 2013/9/28)
■平成25年9月30日付け 産経新聞2面「主張」について(新潟県 2013/9/30)
新潟県の「修正」要求に対する、両紙のお粗末な対応
では、両紙の、その後の対応はどうだったか。
通常、主要紙は、訂正記事や事実上修正する続報を、間違いのあった記事と同種の、紙面に載せる慣例となっている。
社会面なら社会面、経済面なら経済面、という具合に。
産経は、社説掲載翌日の10月1日付朝刊で、事実誤認を指摘した新潟県のコメントを、掲載した。
だが、社説が掲載される2面ではなく、社会面(24面)のベタ記事だった。
しかも、「事故時の了解を求めたのではない」という、一体なんの記事なのか見当がつかないような見出しをつけ、
産経の社説に対するコメントであることにも、言及はなかった。
いまも、社説はニュースサイト上では、何ら訂正もなく、公開されたままだ。
日経はどうだったか。
社説掲載から1週間後の、10月4日付朝刊に、泉田知事のインタビュー記事を掲載していた。
これも掲載されたのは、社説と同じ2面ではなく、経済面の5面の中段あたり。
囲み記事で、メインの見出しは、「泉田知事 再稼働なお慎重」で、サブの見出しは「排気装置『運用、了解後に』」だった。
やはり、自社の社説への言及は、全くなかった。
記事の最後の方で、
「事故が起きた時の個別の対応に、県の事前了解を得るよう求めたものではない。
装置の運用開始前に、避難計画と整合性を取るよう求めたものだ」という、泉田知事のコメントを載せることで、「修正」したつもりなのだろう。
だが、単独インタビューにしては小さく、反論の扱いも中途半端。
この記事を一見して、1週間前の社説を「修正」した記事だった、と気付いた読者は、ほとんどいないのではないか。
実は、訂正記事を載せる代わりに、訂正を求めたり、反論している当事者のインタビューを載せる手法は、メディアが時々用いる手法である。
最近では、産経新聞が、この手法を使ったことがある(→【注意報】内閣人事局構想「縮小」 担当相インタビューで訂正か参照)。
隅っこに、目立たなく掲載される訂正記事とは異なり、ある程度のスペースを割いて、当事者に反論の機会を与えるものであるから、
これはこれで、一つの注目すべき手法ではある。
ただ、外形上、単なるインタビュー記事のように装うのはいただけない。
せっかく載せるなら、特定の報道への反論であることが、読者に分かるようにすべきだろう。
日経の4日付インタビュー記事も、この手法を使ったことは、ほぼ間違いない。
記事には、泉田知事が、「日本経済新聞記者と会い」と書かれている。
普通の取材なら「●●新聞の取材に応じ」と表記される。
この微妙な違いから、通常の取材でないと、読者が気付くだろうか。
インタビューの詳細は、電子版にのみ掲載された。
それによると、インタビューは久保田啓介・編集委員(筆者注:本来、社説の責任を負うのは論説委員)と、大久保潤・新潟支局長によって行われ、
最初に、問題の社説に、反論する機会を提供するための質問が、用意されていた。
だが、先ほど見たように、知事の反論部分は、見出しやリードには取らず、記事の最後に押しやられていた。
以下、冒頭の質問と回答のみ、引用しておく。
――東電が、柏崎刈羽原発の安全審査を、原子力規制委員会に申請した際、
新潟県は、重大事故の発生時に使う、フィルター付きベント(排気)装置の使用をめぐり、条件を付けました。
その条件を、詳しく説明してください。
泉田知事:
あくまで、設備の運用開始前に、自治体の了解を取ってほしいということだ。
事故が発生した直後、緊急時のベントについて、自治体の了解が必要である、と求めたわけではない。
福島第1原発の事故は、1号機の爆発が、全電源喪失から短い時間で起きてしまったことにある。
事故直後の早い段階でベントして、低圧注水できていれば、本当に24時間で爆発したのか、という問題意識を持っている。
住民の避難について、確認が取れないなかで、早い段階で、ベントの決断をしていなければならなかったかもしれない。
ベントを難しくした側面が何かという点を、検証しなければならない。
(柏崎刈羽原発で東電がベントすると)県の試算では、住民が被曝(ひばく)する可能性があり、被曝量は、安全基準を超える。
住民の安全・健康を守るという観点で、避難計画との整合性を取る前に、運用開始しないでくれという条件を、東電に付けた。
このインタビューの、詳細な一問一答は、紙面に載せず、
読者が圧倒的に少なく、いずれは閲覧できなくなる、有料の電子版記事にしか掲載されていない。
これを、社説の隣あたりに堂々と掲載していれば、読者の信頼度と好感度は、もっと向上するであろうのに、もったいないことをしたものだと思う。
ちなみに、新潟県の修正要請に対する、見解と対応の有無、その理由の3点について、日経、産経両社に質問を送ったが、
日経からは「回答することはありません」の一言のみ、産経も「個別の記事や取材に関することについてはお答えできません」(ママ)だった。
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楊井 人文
日本報道検証機構代表・弁護士
慶應義塾大学総合政策学部卒業後、産経新聞記者を経て、平成20年、弁護士登録。
弁護士法人ベリーベスト法律事務所所属。
平成24年4月、マスコミ誤報検証・報道被害救済サイト「GoHoo」を立ち上げ、同年11月、一般社団法人日本報道検証機構を設立。
けども、社説を書いてる人、誰か知りませんけど、報道機関としてあってはならない杜撰さと、
こんなふうに、何回非難を受けても全くおかまいなし。
これからもずうっと、アホなことを続けていくんでしょうよ。
柏崎原発再稼働―日経・産経の事実誤認とお粗末な事後対応
楊井 人文/日本報道検証機構代表・弁護士
2013年10月9日
日経と産経が、社説で、誤解に基づき泉田知事を批判
先月下旬、新潟県の泉田裕彦知事が、東京電力柏崎刈羽原発の安全審査申請を、「条件」付きで承認した。
この泉田知事が求めた「条件」に対し、日本経済新聞と産経新聞が、立て続けに、社説で批判したが、
いずれも、「条件」の中身について、事実誤認があった。
だが、両紙の事後対応は、読者に与えた誤解を払拭するには、あまりにお粗末なものだった。
明確な訂正はせず、非常に目立たない形で、県側のコメントを載せて、お仕舞いにしたのである。
まずは、経緯を簡単に振り返っておきたい(詳細は【注意報】柏崎原発再稼働 社説で知事の「条件」を誤認も参照)。
9月26日、新潟県の泉田裕彦知事が、柏崎刈羽原発に関する安全審査申請を、「条件付きで承認した」と発表し、
翌日、東電が、原子力規制委員会に申請。
これを受け、日経新聞が、28日付社説で、同原発の再稼働問題を取り上げた。
「再稼働には、地元の理解と協力が大前提」とする一方で、
「泉田知事が東電に求めた申請の条件には、疑問が残る点がある」と指摘。
「重大事故が起きたとき、放射性物質を外部に放出するフィルター付き排気(ベント)の実施に、県の事前了解が必要としたことだ。
重大事故への対応は、一刻を争うだけに、それで迅速かつ適切な初動ができるのか」と、
泉田知事が付けた「条件」を批判した。
産経新聞も、30日付社説「主張」で、
「泉田氏は、申請容認にあたり、原発事故時に放射性物質の放出を抑える、『フィルター付き排気装置』を使用するさいには、事前に地元了解を取り付けることを条件にした」と指摘。
その上で、
「この条件は、問題だ。
一刻を争う緊急時の安全対策で、運用に法的根拠のない、地元独自の煩雑な手続きを課すことになるからである。
早急に見直さなければならない」と批判した。
■主張:柏崎原発申請 再稼働へ迅速審査求める(MSN産経ニュース 2013/9/30 03:16。9月30日付朝刊2面に同記事)
いずれの社説も、「一刻を争う」事故での、事前了解を求める不合理性を批判しているから、
事故時に、フィルター付きベントを実施する場合にも、県の了解を得ることを、泉田知事が求めた「条件」だと認識して、論じたとみられる。
しかし、知事が求めたのは、フィルター付きベント設備の運用開始前に、県の事前了解を得ることであった。
「条件付き承認」を表明した文書は、発表当日に、県のホームページにも公開されているが、
事故発生時のベント実施に際して、事前了解を求めるとは、どこにも書かれていない。
おそらく、再稼働に積極的な論説委員諸氏が、再稼働に厳しい姿勢で臨んでいた泉田知事を批判しようとして、
「条件」の中身を早とちりしたのではないか。
しかも、あろうことか、産経の社説が掲載されたのは、新潟県が、日経社説の間違いについてコメントを発表してから、2日後だった。
産経は、昨年7月にも、自社の記事の誤りが判明した翌日、コラムで同じ誤りを繰り返し、「おわび」を掲載したことがある(【注意報】東京11区が陸自の庁舎立入り拒否は誤報参照)。
報道機関として、あってはならない杜撰さである。
■条件付き承認に伴う知事コメント(付:条件付き承認の文書)(新潟県 2013/9/26)
■平成25年9月28日付 日本経済新聞2面社説について(新潟県 2013/9/28)
■平成25年9月30日付け 産経新聞2面「主張」について(新潟県 2013/9/30)
新潟県の「修正」要求に対する、両紙のお粗末な対応
では、両紙の、その後の対応はどうだったか。
通常、主要紙は、訂正記事や事実上修正する続報を、間違いのあった記事と同種の、紙面に載せる慣例となっている。
社会面なら社会面、経済面なら経済面、という具合に。
産経は、社説掲載翌日の10月1日付朝刊で、事実誤認を指摘した新潟県のコメントを、掲載した。
だが、社説が掲載される2面ではなく、社会面(24面)のベタ記事だった。
しかも、「事故時の了解を求めたのではない」という、一体なんの記事なのか見当がつかないような見出しをつけ、
産経の社説に対するコメントであることにも、言及はなかった。
いまも、社説はニュースサイト上では、何ら訂正もなく、公開されたままだ。
日経はどうだったか。
社説掲載から1週間後の、10月4日付朝刊に、泉田知事のインタビュー記事を掲載していた。
これも掲載されたのは、社説と同じ2面ではなく、経済面の5面の中段あたり。
囲み記事で、メインの見出しは、「泉田知事 再稼働なお慎重」で、サブの見出しは「排気装置『運用、了解後に』」だった。
やはり、自社の社説への言及は、全くなかった。
記事の最後の方で、
「事故が起きた時の個別の対応に、県の事前了解を得るよう求めたものではない。
装置の運用開始前に、避難計画と整合性を取るよう求めたものだ」という、泉田知事のコメントを載せることで、「修正」したつもりなのだろう。
だが、単独インタビューにしては小さく、反論の扱いも中途半端。
この記事を一見して、1週間前の社説を「修正」した記事だった、と気付いた読者は、ほとんどいないのではないか。
実は、訂正記事を載せる代わりに、訂正を求めたり、反論している当事者のインタビューを載せる手法は、メディアが時々用いる手法である。
最近では、産経新聞が、この手法を使ったことがある(→【注意報】内閣人事局構想「縮小」 担当相インタビューで訂正か参照)。
隅っこに、目立たなく掲載される訂正記事とは異なり、ある程度のスペースを割いて、当事者に反論の機会を与えるものであるから、
これはこれで、一つの注目すべき手法ではある。
ただ、外形上、単なるインタビュー記事のように装うのはいただけない。
せっかく載せるなら、特定の報道への反論であることが、読者に分かるようにすべきだろう。
日経の4日付インタビュー記事も、この手法を使ったことは、ほぼ間違いない。
記事には、泉田知事が、「日本経済新聞記者と会い」と書かれている。
普通の取材なら「●●新聞の取材に応じ」と表記される。
この微妙な違いから、通常の取材でないと、読者が気付くだろうか。
インタビューの詳細は、電子版にのみ掲載された。
それによると、インタビューは久保田啓介・編集委員(筆者注:本来、社説の責任を負うのは論説委員)と、大久保潤・新潟支局長によって行われ、
最初に、問題の社説に、反論する機会を提供するための質問が、用意されていた。
だが、先ほど見たように、知事の反論部分は、見出しやリードには取らず、記事の最後に押しやられていた。
以下、冒頭の質問と回答のみ、引用しておく。
――東電が、柏崎刈羽原発の安全審査を、原子力規制委員会に申請した際、
新潟県は、重大事故の発生時に使う、フィルター付きベント(排気)装置の使用をめぐり、条件を付けました。
その条件を、詳しく説明してください。
泉田知事:
あくまで、設備の運用開始前に、自治体の了解を取ってほしいということだ。
事故が発生した直後、緊急時のベントについて、自治体の了解が必要である、と求めたわけではない。
福島第1原発の事故は、1号機の爆発が、全電源喪失から短い時間で起きてしまったことにある。
事故直後の早い段階でベントして、低圧注水できていれば、本当に24時間で爆発したのか、という問題意識を持っている。
住民の避難について、確認が取れないなかで、早い段階で、ベントの決断をしていなければならなかったかもしれない。
ベントを難しくした側面が何かという点を、検証しなければならない。
(柏崎刈羽原発で東電がベントすると)県の試算では、住民が被曝(ひばく)する可能性があり、被曝量は、安全基準を超える。
住民の安全・健康を守るという観点で、避難計画との整合性を取る前に、運用開始しないでくれという条件を、東電に付けた。
このインタビューの、詳細な一問一答は、紙面に載せず、
読者が圧倒的に少なく、いずれは閲覧できなくなる、有料の電子版記事にしか掲載されていない。
これを、社説の隣あたりに堂々と掲載していれば、読者の信頼度と好感度は、もっと向上するであろうのに、もったいないことをしたものだと思う。
ちなみに、新潟県の修正要請に対する、見解と対応の有無、その理由の3点について、日経、産経両社に質問を送ったが、
日経からは「回答することはありません」の一言のみ、産経も「個別の記事や取材に関することについてはお答えできません」(ママ)だった。
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楊井 人文
日本報道検証機構代表・弁護士
慶應義塾大学総合政策学部卒業後、産経新聞記者を経て、平成20年、弁護士登録。
弁護士法人ベリーベスト法律事務所所属。
平成24年4月、マスコミ誤報検証・報道被害救済サイト「GoHoo」を立ち上げ、同年11月、一般社団法人日本報道検証機構を設立。