かすかな痛みで目がさめた。
時計を見ると、7時前やった。
痛みは右側の、背骨と脇の間ぐらいの、肝臓の後ろあたり。
今年の5月のはじめに、旦那の両親と一緒に行った韓国旅行の直前に、いきなり痛んで3日間苦しんだ場所とよう似てる。
その時も、かすかな痛みが右脇に、と思てたら、みるみるうちにイタイイタイオバケが襲ってきて、しまいには寝ることも座ることもできんようになった。
とうとうのとうとう、めちゃくちゃキツい痛み止めと睡眠のための錠剤を一錠飲んだら、うそみたいに治ってしもた。
けったいなぎっくり腰もあるもんやと思いながら、まあ治ってよかったよかったとホッとした。
え?また?
なんもしてへんのに……。
いや~な予感がして、そろそろと起きる。
すると、痛みも一気に目覚めたみたいに、あれよあれよという間に、おヘソを中心にして、腰といいお腹といい、どこもかしこも痛み出した。
あれあれ、これはなんかヤバいかも。
予感が実感になった。
なんというか、救急で駆け込んで、そのまま入院!みたいな規模の、おまけに今回は、強い吐き気もする。
これはえらいこっちゃ。
どないしょ?めんどくさいからと、昨晩はお風呂に入らんと寝てしもた。
これは多分、かなりヤバいから、診てもらう時に臭ないようにシャワーしとかな。
ハアハア言いながら、なんとか間に合うて!と神さんにお祈りしながら、大急ぎで髪の毛を洗い、体も、と思たとこで万事休す。
もう立ってもいられへん。
そのまま出てきて、くの字に折りながら体を拭き、なんとか服を着て、
ほんで、顔の産毛を剃った……ハアハア言いながら……なにしてんねんワタシ……と思いながら。
旦那が起きてきて、なかなか状況が把握できんままで突っ立ってる周りを、痛い痛いと言いながら、ただただ歩き回る。
ソファにしがみつこうが、四つん這いになろうが、くの字に折ろうが、ふらふらと歩こうが、
どうしようもない痛みと吐き気が、しつっこくつきまとう。
56年もの人生で、片手で数えるぐらいしか吐いたことのないわたしが、3回も吐いた。
吐いても、胃の中は空っぽやから、なんも出てけえへん。
それまでずっと、躊躇してた言葉が、とうとう口から出た。
救急に行く。
けど、救急車とちゃう。家の車で行く。
この間1時間半。
こんな痛うて恐い思いしながら、救急車なんか呼んだら1万円、救急で治療なんか受けたらもっとえらいことになる……と、
どうしても911にかけられへんこの国のクソったれ健康保険。
やっとのやっと、オバマケアが認められて、今月から施行されようとしてたのに、それを邪魔するクソったれティーパーティ。
病院までの車の中で、ウンウン唸りながらのたうち回り、ヨロヨロと受付に入ったら……よかった、わたしも前には2人しかいはらへん。
座ってることもできんから、待ち合いをゆらゆら歩いた。
前の2人が姿を消し、次はわたしやと思てたら、後から入ってきた人を、トリアージで優先した受付さん。
そんな殺生な……と、半ばヤケクソになって、待合室の壁に頭のてっぺんをゴリゴリ押し付けてたら、なんとなく痛みが引いてきた。
30分、40分と待ってるうちに、なんかもう、こんな痛みやったら、なんも別に救急でのうてもええわ、と思えてきた。
とうとうのとうとう、ドアが開いて、向こうから「まうみ?」と呼ばれた時、決めた。帰ろ。
家に戻った頃には、ほとんど痛みも吐き気も無くなってた。
ただ、おしっこが赤かった。
え?え?え?
なんでおしっこが赤いん?腰痛ちゃうん?膀胱なん?
旦那が言うた。
背骨のディスクかと思てたけど、ちゃうな、腎臓結石やな。
こちらではまず、専門の科で診てもらう前に、ファミリードクターに診てもらわなあかん。
いわゆる、急を有する時には、二度手間になる。
けどしゃあない。保険会社の規定に従わなあかん。
ファミリードクターに電話した。
今日の午後3時15分しか空いてません。と言う。
う~ん……今日は3時半から仕事やしなあ……と迷てると、
あなたね、そんな状態になってる体と仕事と、どっちが大事?と、叱られた。
今日の生徒に、レッスンの中止と替えのレッスン時間を伝え、病院に行く。
診断は腎臓結石。
とりあえず様子を見て、来週にまた、血液検査を受ける。
検査は尿だけ。
血液すら採らんかった。
診察をしてもらうのに30ドル。
これは、病気でも病気でなくても、とにかく診てもろたら払うお金。
それから、5日分の痛み止めの薬、これは保険が利いて1ドル60セント。
スペシャリストに診てもらう時はまた別に、50ドル払う。
これも、治療を受けようが受けまいが、そこに行って診察室に入るなら、とにかく払わなあかんお金。
さて、もうそろそろ寝なあかん。
今日は絶対パソコンはせんとこうと思たのやけど、とりあえず報告だけはしとこうと思て。
たった数時間やったけど、痛みが強烈やと、体のあちこちがボヤッとする。
旦那に、腎臓結石と痛みのための鍼を打ってもらう。
最近、ふと思てた。
こんなふうに、無事に、何事もなく、病気もせんと、毎日毎日過ごさせてもろてることは、ほんまにありがたいと。
今日本では、深刻な放射能汚染が、体に悪さをせんかと、気にしながら生きてはる人がいる。
もちろん、体に悪さをするのは、なにも放射能汚染だけとちゃう。
いろんな、体に悪いもんがある。
けども、放射線は匂いも刺激も味もせえへん、五感で感じることができん物質やから、
忘れようと思たらなんぼでも忘れられる。
考えんとこう思たらなんぼでも考えんでもいられる。
体の中も、わたしらの目には見えへん。
体の中で、わたしを守ろうとしてくれてる細胞や器官と、じわじわと傷つけようとする物質が、
音もなく、わたしが生きてる間中、闘うてる。
自分は大丈夫かなあ。
最近また、大事にしようという気がなくなってきてるんちゃうかなあ。
この指が、当たり前のように物をつかんでくれる、この足が、当たり前のように歩いてくれる、
この目が、当たり前のように周りの物を見てくれる、こういうことはほんまにありがたいことやとわかってるのに。
気功瞑想するたびに、感謝してるのに。
見えへんのをええことに、感じひんのをええことに。
悪なる日は、いつも、突然やってくる。
その時になって、取り返しのつかへんことをしたと、後悔の念と痛みにまみれて苦しまんでもええように、
もっともっとしんけんに、自分を大事にしようと思う。
こんな、クソったれな世の中の、生きて一日を無事に終えられることが奇跡みたいな毎日に、
こつこつと生きてくれてる自分を、もっともっと大事にしようと思う。
時計を見ると、7時前やった。
痛みは右側の、背骨と脇の間ぐらいの、肝臓の後ろあたり。
今年の5月のはじめに、旦那の両親と一緒に行った韓国旅行の直前に、いきなり痛んで3日間苦しんだ場所とよう似てる。
その時も、かすかな痛みが右脇に、と思てたら、みるみるうちにイタイイタイオバケが襲ってきて、しまいには寝ることも座ることもできんようになった。
とうとうのとうとう、めちゃくちゃキツい痛み止めと睡眠のための錠剤を一錠飲んだら、うそみたいに治ってしもた。
けったいなぎっくり腰もあるもんやと思いながら、まあ治ってよかったよかったとホッとした。
え?また?
なんもしてへんのに……。
いや~な予感がして、そろそろと起きる。
すると、痛みも一気に目覚めたみたいに、あれよあれよという間に、おヘソを中心にして、腰といいお腹といい、どこもかしこも痛み出した。
あれあれ、これはなんかヤバいかも。
予感が実感になった。
なんというか、救急で駆け込んで、そのまま入院!みたいな規模の、おまけに今回は、強い吐き気もする。
これはえらいこっちゃ。
どないしょ?めんどくさいからと、昨晩はお風呂に入らんと寝てしもた。
これは多分、かなりヤバいから、診てもらう時に臭ないようにシャワーしとかな。
ハアハア言いながら、なんとか間に合うて!と神さんにお祈りしながら、大急ぎで髪の毛を洗い、体も、と思たとこで万事休す。
もう立ってもいられへん。
そのまま出てきて、くの字に折りながら体を拭き、なんとか服を着て、
ほんで、顔の産毛を剃った……ハアハア言いながら……なにしてんねんワタシ……と思いながら。
旦那が起きてきて、なかなか状況が把握できんままで突っ立ってる周りを、痛い痛いと言いながら、ただただ歩き回る。
ソファにしがみつこうが、四つん這いになろうが、くの字に折ろうが、ふらふらと歩こうが、
どうしようもない痛みと吐き気が、しつっこくつきまとう。
56年もの人生で、片手で数えるぐらいしか吐いたことのないわたしが、3回も吐いた。
吐いても、胃の中は空っぽやから、なんも出てけえへん。
それまでずっと、躊躇してた言葉が、とうとう口から出た。
救急に行く。
けど、救急車とちゃう。家の車で行く。
この間1時間半。
こんな痛うて恐い思いしながら、救急車なんか呼んだら1万円、救急で治療なんか受けたらもっとえらいことになる……と、
どうしても911にかけられへんこの国のクソったれ健康保険。
やっとのやっと、オバマケアが認められて、今月から施行されようとしてたのに、それを邪魔するクソったれティーパーティ。
病院までの車の中で、ウンウン唸りながらのたうち回り、ヨロヨロと受付に入ったら……よかった、わたしも前には2人しかいはらへん。
座ってることもできんから、待ち合いをゆらゆら歩いた。
前の2人が姿を消し、次はわたしやと思てたら、後から入ってきた人を、トリアージで優先した受付さん。
そんな殺生な……と、半ばヤケクソになって、待合室の壁に頭のてっぺんをゴリゴリ押し付けてたら、なんとなく痛みが引いてきた。
30分、40分と待ってるうちに、なんかもう、こんな痛みやったら、なんも別に救急でのうてもええわ、と思えてきた。
とうとうのとうとう、ドアが開いて、向こうから「まうみ?」と呼ばれた時、決めた。帰ろ。
家に戻った頃には、ほとんど痛みも吐き気も無くなってた。
ただ、おしっこが赤かった。
え?え?え?
なんでおしっこが赤いん?腰痛ちゃうん?膀胱なん?
旦那が言うた。
背骨のディスクかと思てたけど、ちゃうな、腎臓結石やな。
こちらではまず、専門の科で診てもらう前に、ファミリードクターに診てもらわなあかん。
いわゆる、急を有する時には、二度手間になる。
けどしゃあない。保険会社の規定に従わなあかん。
ファミリードクターに電話した。
今日の午後3時15分しか空いてません。と言う。
う~ん……今日は3時半から仕事やしなあ……と迷てると、
あなたね、そんな状態になってる体と仕事と、どっちが大事?と、叱られた。
今日の生徒に、レッスンの中止と替えのレッスン時間を伝え、病院に行く。
診断は腎臓結石。
とりあえず様子を見て、来週にまた、血液検査を受ける。
検査は尿だけ。
血液すら採らんかった。
診察をしてもらうのに30ドル。
これは、病気でも病気でなくても、とにかく診てもろたら払うお金。
それから、5日分の痛み止めの薬、これは保険が利いて1ドル60セント。
スペシャリストに診てもらう時はまた別に、50ドル払う。
これも、治療を受けようが受けまいが、そこに行って診察室に入るなら、とにかく払わなあかんお金。
さて、もうそろそろ寝なあかん。
今日は絶対パソコンはせんとこうと思たのやけど、とりあえず報告だけはしとこうと思て。
たった数時間やったけど、痛みが強烈やと、体のあちこちがボヤッとする。
旦那に、腎臓結石と痛みのための鍼を打ってもらう。
最近、ふと思てた。
こんなふうに、無事に、何事もなく、病気もせんと、毎日毎日過ごさせてもろてることは、ほんまにありがたいと。
今日本では、深刻な放射能汚染が、体に悪さをせんかと、気にしながら生きてはる人がいる。
もちろん、体に悪さをするのは、なにも放射能汚染だけとちゃう。
いろんな、体に悪いもんがある。
けども、放射線は匂いも刺激も味もせえへん、五感で感じることができん物質やから、
忘れようと思たらなんぼでも忘れられる。
考えんとこう思たらなんぼでも考えんでもいられる。
体の中も、わたしらの目には見えへん。
体の中で、わたしを守ろうとしてくれてる細胞や器官と、じわじわと傷つけようとする物質が、
音もなく、わたしが生きてる間中、闘うてる。
自分は大丈夫かなあ。
最近また、大事にしようという気がなくなってきてるんちゃうかなあ。
この指が、当たり前のように物をつかんでくれる、この足が、当たり前のように歩いてくれる、
この目が、当たり前のように周りの物を見てくれる、こういうことはほんまにありがたいことやとわかってるのに。
気功瞑想するたびに、感謝してるのに。
見えへんのをええことに、感じひんのをええことに。
悪なる日は、いつも、突然やってくる。
その時になって、取り返しのつかへんことをしたと、後悔の念と痛みにまみれて苦しまんでもええように、
もっともっとしんけんに、自分を大事にしようと思う。
こんな、クソったれな世の中の、生きて一日を無事に終えられることが奇跡みたいな毎日に、
こつこつと生きてくれてる自分を、もっともっと大事にしようと思う。