ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

I GOT RHYTHM 変奏曲

2010年01月11日 | 音楽とわたし


昨日の朝、声も高らかに、アルベルトから電話がかかってきました。
「ヘ~イまうみ、元気?アルベルトだよ。どう?いつぐらいに仕上がりそう?」
「……(本気で絶句しているわたし)」

あのなあ~、楽譜をコピーしてくれた38枚の紙、必死こいて今テープでつなげてるとこやねん!まだ1音も弾いてへんねん!

「えっと、う~ん、今まだ楽譜作ってるとこやから、いつって言われても予想がつかへんし……ボソボソボソボソ」
「そっか~、じゃ、2月は無理っぽいな。3月ってとこかな?」

ちょっとおっさん!この曲を来月のコンサートでわたしに弾かせるつもりやったんかぃっ!

「えぇ~っとぉ~、もちろん2月は絶対に無理で、3月は五分五分、4月やったら確実って言えるかも……」
「あははは!まうみがそんなに時間かかるわけないって!」

明るく断言すなっ!!

ということで、今朝からせっせせっせと練習に取りかかっております。
やらにゃあかんこと、家事とかもあるんですけど、ひとまず希望の灯りが確認できるまで、とりあえず音読みぐらい終了しとこうかと……。
アルベルトは、いったいいつ寝てんねん?!と皆から真剣に心配されるほどの、いつでも全開、フルパワーの人です。
自分だって超忙しい会社役員をしていて、シングルおとんで、協会の会長としてあちこちの団体と交渉したり開拓したり……まったくもう……。

さっきから一通り何回か弾いて、脳みそがしびれてきたのでひとやすみひとやすみ……ち~ん
さてと、ヨガに行ってこよ~っと!




P.S. ししははちゃんへ
ついさっき、ししははちゃんからのコメントを読んで超うれしくなって、練習用楽譜の写真を撮りました。



ちょっと暗くてよくわかりにくいかもしれませんが、影ができているのは枚数が多い→めくりがある部分です。
こうやって一通りザアッと見られるようにしておくと、曲の流れや、どこにクライマックスを持っていくかなど、全体的な動きが見やすくなるような気がします。
それと、なによりもページをめくる時に演奏がパタッと意味無く止まってしまい、それが度重なると癖みたいになってしまうので、まあ、わたしなりにいろいろと意味があるので、毎回この作業をしています。
これを専門にやってくれる人がすぐ近くにいたら……思いっきり目がウルウルしているわたしです。ガハハ!
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女心

2010年01月10日 | 友達とわたし
昨日も寒かったけど今日も寒い!零下はもう慣れたけど、やっぱ寒い!
家のセントラルヒーティングのボイラーはゴウゴウ言いながら働きっ放し。いったいどれだけかかるんやろ……光熱費……。
室温20℃ってのはちょっと贅沢なんかなあ……もうちょっと下げてみよっかなあ……けど、せっかく風邪治ったとこやしなあ……。

けれども今日は下げずに、いつも通りに設定しました。
旦那の親友、背ぃ高のっぽのアンドリューのガールフレンドモーリーがおめでただとわかり、つわりを軽くして欲しいと旦那の鍼治療を受けに来たからです。
アンドリューは44才、彼女は39才、アクシデントでのおめでたらしいけれど、授かった命はふたりで大切に育てようと決心したそうです。
アンドリューは今からもう15年ほど前に、長いこと付き合ったガールフレンドと結婚し、わずか1年足らずで、お互いにとことん傷つけ合って別れました。
その後遺症が心の中に深く残り、その後はとっかえひっかえ、時には複数の女性と付き合ったりしながら、それでもこの人!という女性には出会えないまま時間だけが過ぎていき、その経過の一部始終をわたし達は見守ってきたのでした。
モーリーと彼が出会ったのは今から数ヶ月前。彼女は障害を抱える子供のカウンセラーをしていて、地に足がしっかりついた素敵な女性です。
今までの彼のガールフレンドには無い、コントロールフリークの気があるアンドリューをうまくあしらいながらも彼を不安にさせない、いい意味でのどっしり感があるモーリー。旦那もわたしも密かに、今回はうまくいくかも、と思っていました。

旦那がモーリーの治療にかかっている間、アンドリューとわたしはふたりでいろんなことを話しました。
なぜだか彼は、なにか女性のことで悩んだり問題を抱えたりすると、わたしにいろいろと聞いてきたり、話をしたがるのでした。
「彼女とは、ドキドキ感もワクワク感もなくて、なんじゃこりゃ?って感じなんだけど……」
「その、なんじゃこりゃ?がええんちゃう?」
「これまでボクは、いつだって○○が足りないとか、△△が無かったらいいのにとかよく思ったけど、彼女に関しては、なんかそういうことはどうでもいいっていうか、別にあっても気にならないっていうか……完璧じゃないのにね……」
「あのさ、完璧な人も、完璧な結婚も、そんなもんこの世には存在しないと思うよ」
「でもボクは、ついついもうちょっともうちょっとって、上を見てしまう癖がある」
「上も下も見たら見るほどキリがないよ。それより自分のことや、足元のことをきっちりじっくり見た方がよっぽどいいと思うよ」
……ちょいと中略……
「あのさ、今回ボク達、結婚をするつもりは無いんだ」
「ふ~ん……」
「妊娠したから結婚するっていうのはなんかイヤなんだ。結婚はそういうことで決めるんじゃないと思う。彼女の存在が1番の理由であって欲しいもんな」
「じゃ、ふたりで子供を育ててみて、ああ、やっぱり彼女だ!って思ったら結婚するってこともあり得るってこと?」
「もちろん。こんな考え、多分おかしいと思われると思うけど……」
「別に。それがお互いの納得の上で決められたことやったらそれでいいんとちゃう?Bの弟だって、毎年更新する契約同居で、2人の子供育ててるよ」
「そうだったのか……」
「どんな形式であれ、そこに確固とした愛情と信頼と責任があったら、それはれっきとした家族やと思うけど」

モーリーは妊娠がわかってすぐに親元に知らせたそうです。
アンドリューはまだ。安定期に入って、事が確実になってからでないと知らせたくないと言います。
それを聞いている時のモーリーの表情が少し曇りました。
その、なんとも寂し気な、けれども仕方が無いと半分納得したような彼女の顔を見た時、あの時の自分の思いがザアッと思い出されました。

わたしは田舎の長男の所に嫁いでいったにも関わらず、8年近く妊娠することができませんでした。
見るからに安産型の、しかも若い女が、どうしてこれほどに子供を産めないのか、同居する両親や小姑、それから近所や婦人会の会員にまで、
時には病気扱いをされ、時にはなにか内緒で避妊しているのではないかと疑われ、散々なことを言われたり噂されたりしましたが、
とうとうのとうとう、ほとんどあきらめた頃にTがお腹に宿り、わたしはもう天にも昇る気持ちで、産婦人科の近くにあった公衆電話から家に電話をしたのでした。
すると、
「ほんまに妊娠か?なんか他の、腹の病気と違うんか?ほんまに医者が妊娠してるって言うたんか?」となんとも暗い声が返ってきました。
家に戻って、仕事から帰ってきた元旦那に報告しても、今いちパッとしない表情です。
あれれ?この人達は、今の今まで、ずうっと待ち続けていたのじゃなかったのか?とわたしがかなり疑わしい顔をした時、
「とにかく、このことはまだ誰にも言わんように。ちゃんと持つかどうかもわからんしな」と義父がヒソヒソとわたしに言いつけたのでした。


彼らのために、旦那がチキンのインド料理を、わたしが青梗菜としいたけの炒め物を、そして彼らも、レンタル豆のスープを持参してきてくれました。
どれもこれも美味しくて、モーリーもいつもより食欲があると言ってよく食べてくれました。
鍼治療中、彼女はもう、それはそれは深く、まるで赤ん坊のようにスウスウと寝息をたてて眠っていたそうです。

彼女の身ひとつの間の生活が、幸せに満ち満ちた、それでいてエキサイティングな毎日になりますように。
初めての妊娠は、そりゃもう不安だらけで、大小含めて山ほどの問題を抱えていたけれど、
あの時の、自分の身体の中にもうひとつの別の命が育っているんだという、なんともいえない満ち足りた嬉しさは、何物にも代え難いことでした。
おめでとうモーリー!おめでとうアンドリュー!
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米国リス太&リス子の新年のご挨拶事情

2010年01月10日 | 米国○○事情


ええっと、あけましておめでとうさんです。
ええっと、ボクちゃんたちのこと、おぼえてくれてますか?
ええっと、ボクらの遊び場の木の真ん前に住んでるおばちゃんが、こともあろうに、ボクらがほにゃららしてるのをパパラッチして、それをさらに、こともあろうに、みなさんに自慢して見せびらかして?!その哀れな被害者ですねん。

この木、ボクらほんまに好っきゃねん。
左っかわにいる、ボクのカワイ子ちゃんが覗いてる穴、これがまたおもろいとこで、いろんな鳥さんも遊びに来たりするから、いっぱい意地悪もできるし。
あ、ボクは右っかわの、ほにゃららの舞台になったとこでみなさんの方向いてるんやけど、ちょっとわかりにくいかなあ……。
今日もよう晴れて、お日さんのひかりは気持ちええねんけど、やっぱ風吹いたらこたえるわ~、なんぼ冬用の毛皮着てても。
これからちょっと毛繕いして、また彼女とあっちゃこっちゃ追いかけごっこしたりほにゃららしたりして、身体をあっためよっと。

ほな、さいなら!
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久しぶりのマンハッタン

2010年01月09日 | 音楽とわたし
去年の後半は、週に数回の割合でマンハッタンに行っていたので、ほぼ3週間ぶりの今日は、なんだかとっても久しぶりの感じがしました。
今日の演奏ミーティングは聞きに行くだけなので気楽なもんです。
会場でアルベルトから、彼のリクエスト曲の『I GOT RHYTHM VARIATIONS』の楽譜とCDをもらいました。
うちにピアノが2台揃ったというので、2台ピアノの曲をやろう!というメンバーが出てきました。
カーネギーで無理なら、月一の演奏ミーティングでその憂さを晴らそうということで、今月から続々とうちにやって来る予定になっています。
アルベルトのガーシュイン好きは有名で、彼は心底楽しそうにガーシュインの曲を演奏します。
今回は彼からのリクエストだったので、もちろん彼がソロパート、わたしはオーケストラパートを弾くつもりでいました。
「で、わたしはどっちを練習したらいい?(←とりあえず社交辞令として聞く)」
「う~ん、まうみはソロパートがいいと思う」
「え?でも、この曲を選んだのも、弾こうと誘ってきたのもあなたなんだから、そりゃもうソロはあなたでしょ」
「いや~でも~……」
「いや~もでも~も無いわ!わたしはオーケストラパートを練習するからね!」
「じゃ、じゃあ~ボクはソロで」と超嬉しそうなアルベルト。
それでよしそれでよし

今日のミーティングには、新しい演奏者が半数以上。きっとみんな、カーネギーへのオーディション狙いなんだと思います。とてもよく弾ける人ばかりでした。
あ~あ、門がどんどん狭くなっていく……
オーディションは3月27日の土曜日。そして、講評用紙の内容を集計し、実際のコンサートをイメージしながら演奏者を決める会議が4月3日に決まりました。
1日にこちらに到着するA子とわたしは、3日までに合わせをして、演奏を録画しなければなりません。
クリスマス前から、忙しさと体調不良を理由に、かなり練習をさぼっていたので、明日から気を引き締めて、またガンガン練習に励まねば

ジェーンはまだパートナーを見つけることができずにいます。
彼女はピアノトリオかクァルテットをしたいので、メンバーを探すのがとても難しいのです。
ACMAにはとてもいい演奏者がたくさんいるのだけれど、なぜだか弦楽器に関しては「まあまあ」という人が多く、いわゆるタイソン君レベルの人はまだいません。
わたしの知り合いにも当たってみましたが、もう今は弾いてないとか、引っ越してしまってたりとかで、彼女に朗報を伝えることができないでいます。
なんとか力になりたいと思うのだけど、ソロと違って相手がいることなので、とても難しいのです。

いつものミーテイングとはひと味違う、いい意味で緊張感のある、新しい人達との演奏会でした。
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ラグジュアリーな大人のおもちゃ

2010年01月08日 | ひとりごと
うちには嵩の高い、ラグジュアリーな大人のおもちゃが2台もございます。
どちらもかなり高齢で、いぶし銀どころか、自生の苔が生えてきそうなほどの歴史を抱えてらっしゃいます。

ちょくちょくお体の調子を悪くされ、あっちが痛い、こっちが怠いと文句を言われるので、しょうがなくホームに入っていただくのですが、
それがまた、ほんのちっちゃな傷なのに、なんとも高額な治療費で、治療を施してくださる方々にも「こんなお金のかかる大人のおもちゃを持ち続けるなんて、おたくも余程の好き者か変わり者なんだねえ……すご~く普通に見えるんだけどさぁ~」などとからかわれる始末。

どちらのおもちゃも、旦那父、旦那母からのおさがりで、おさがりの時点ですでにかなりのご高齢であそばしました。
特に、旦那父のフェアレディなどは、運転せずに屋外に放置したまま早5年以上が経っていて、エンジンの下などは、野生の動物達の寝ぐらと化していたくらい。
旦那母のアウディは、大きな追突事故を受けてしばらく経った頃の、丁度もう買い替えようとされていた時のもの。

けれどもうちでは大切に乗り継がれ、本当にこと切れる瞬間まで使わせてもらおうと、故障が多くなってはきましたが、とりあえず無事に過ごしておりました。

去年の終わり、息子Kがモール近くをドライブをしている時に、若い女の子が乗った車が横っ腹にガツンと当たり、アウディはまたまた哀れな姿に。
けれども、まるで手続きとかを進めないK。旦那もわたしも、呆れながらも何も言わずに、彼に任せたのだからと、物事の成り行きを静観していました。
でももうなんぼなんでも動けよ~!ということでお尻を蹴飛ばしたところ、ようやく昨日、相手の保険会社から、損傷の状態を調べる方がやってきてくれました。
前の、わたしがやった追突事故の時もお話したと思いますが、事故が起きて警察に連絡をし、やって来た警察官に当事者が別々に主張した話をレポートにまとめ、
そのレポートをもとに互いの保険会社が交渉し、そこで事故の責任が誰に○%かを見極めるのですが、状況によっては100%責任を持つ、という結果もあり。
わたしの時も、急に道路に飛び出してきた車にわたしがぶつかったというのに、向こうが100%悪かったということで、破損部分を無料で直してくれました。
今回のKの事故もやはり、相手の女の子に100%の過失があったということで、彼女の保険会社がすべて賠償するという結果が出ています。

そこで、昨日の検査の結果、破損部分を直すのにかかる費用が43万円と出てきました。
にゃ~んでそんなに高いねぇ~ん?!とびっくりしながら、続きを聞くと、もしこの車を今廃車にして、新しい車を買うのなら、50万円出します。
え?
にゃんのこっちゃ

そこで旦那、俄然張り切って、脳みそ全開で計算を始めました。
こちらの補償の仕方は、わたしには思いっきり不思議なんですが、向こうが勝手に○○ドルかかると数字を出してきて、その数字の小切手を送ってくれるのです。
それで終わり。ほんとにそれっきりです。
なので、その小切手をどう使うのか、受け取った側の自由なのです。
そこがわたしにはまだ理解できないところです。
宗教的に、ずるいことを考えたり、悪知恵を働かす者は、神様からのバチが当たる。
だから、きっとみんなはいい子にするに決まってると信じられてるって感じです。
小さなことを例にすると、コピーなんかをした場合にも、店の人は枚数を数えません。何枚?って聞かれるので、○枚って答えて、その枚数分のお金を払います。
トウモロコシだって、大量に詰め込んだ透明の袋をレジの人が掴み、何個?って聞かれ、わたしが申告した数だけ分の料金を払うのです。

旦那はなんとかして、安く直してくれる修理工場を見つけ、まあまあこれでええんちゃう?ぐらいの程度の修理を頼もうと意気込んでます。
わたしはせっかくやから、無料で済むのやから、この際ピカピカに直して余生を大事に乗らしてもらおうと思います。
旦那の頭の中は、残るお金をどこに回そうか、今はもう矢印だらけになっていると思います。

でも、50万を頭金にして、我々の暮らしの身の丈に合う、わたし達を知る誰もが納得する、中古のトヨタを買う、という案も捨て難いところです。
ただ、ローン嫌いの旦那、家のローン以外に払わなければいけない場所ができることにはかなり抵抗があるようです。

ラグジュアリーな大人のおもちゃが似合う生活には、まだまだほど遠いわたし達なのでした。
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無心で音楽をつくる

2010年01月07日 | 音楽とわたし
すっかりあきらめきっていた、A子とわたしのカーネギーへの挑戦。
それが叶うことがわかって、わたしはここ数日有頂天

カーネギー出演を決めるオーディションが3月の第4土曜日に決まり、万事休す、やっぱり4月からしかこちらに来られないA子とは演れない!と断念し、
「オーディションのお誘いメールをありがとう。でも今回、パートナーのA子が間に合わないので、今回のコンサートはあきらめます。でも、彼女の歌はぜひぜひみんなに聞いてもらいたいので、毎月の演奏ミーティングでは絶対に演奏するから!」というメールを送りました。
そしたら即、「4月の第1週目の間にこちらに来られるのなら、ボクがまうみの家に行って、ふたりの演奏を録音するから、それを決定会議中にかけてみんなの裁定にかけよう」とアルベルトから返事が送られてきました。
こんなこと、日本でやったらどうなるか?えこひいきだの、平等でないだの、まさにその通りなので、非難囂々の大騒ぎになると思うけれど、
それをしつっこいぐらいに彼に聞いても、「そんな、物理的に無理なんだから、それぐらい特別に大目に見ても誰も文句言わないよ」、と断言する彼。
もちろんわたし達にしてみれば、文句無しの嬉しいオファーなので、大喜びでいただくことにしました。

わたしは今回のカーネギーには、まずは彼女との共演を夢見ていて、けれども留学のタイミングとメンバーになる期間が、出演者全員に課せられる条件と合わなかったので、泣く泣くあきらめたのが去年の夏の終わり。
そして、それならと、彼女に代わる演奏者ということで、わたしが勝手に共演をお願いしたタイソンくん。
ところが彼も、去年の末に突然、仕事仲間と大げんかをして、会社を飛び出したっきり無職になってしまい、今は実家のカリフォルニアに戻って就職活動中。
今回のカーネギーの共演はあきらめてほしい、という連絡が入ったのがついこの間のことでした。
もうおしまいや~!とかなり気落ちしていたところに、オーディションのお知らせが会員全員に送られてきて、ふんふんと読み進めていくと……、
ちょ、ちょっとちょっと、これならA子がもしオーティションの日に間に合うようにここに来られたら可能性アリやん!?という条件に変わっていたのでした。

オーディションを受けさせてもらえることが決まり、さあ、曲を決めにゃ~!と張り切って曲を検索し始めたわたし達。

すると突然、びっくりするような思いが、心の真ん中から吹き出してきたのでした。
ACMAのピアニストには、記念演奏会ではソロを演奏することは許されず、誰かの伴奏か連弾のみ。しかも伴奏は1曲のみという厳しい規定が課せられます。
ピアニストの人数が多過ぎること、他の楽器や歌手の演奏家をもっと増やしたいこと、それが理由です。
なので、ピアノ弾きにとって、カーネギーの舞台の上でイニシアティヴを得ることはとても難しくなります。
たった1曲、しかも10分以内の間の夢の舞台。本当はソロ、もしくはせめて2台ピアノの演奏で立ちたいピアニスト達。
そのモヤモヤを一気にA子に向かってぶつけてしまいました。

すると……、

『私は4月から初心に戻って音楽を学び直そうと思ってるの。
「先生」でいる期間が長いと出来てない事も出来てるつもりになってえらそ~になってくるのよ。恐ろしい事に知らず知らずにね。
だから自分を戒めるためにも、自分に足りなかった事を見つめ直し、上達出来るように頑張ります。

留学をNYって決めたのも、まうみがいてくれるというのが第一のきっかけだったし(覚えてる?決意は佐渡の海岸だったよ~)、
まうみの真剣に音楽している姿勢に共感してのこのプラン。
そりゃ、やる気まんまんよ~!もち、あこがれのカーネギーだからってのもあるけどね。わくわくします。
(あ、また受かった気でいるわ。落ちたらホント恥ずかしくない~私達ぃ~?)

S子と沢山練習して一緒に音楽作ったあのウィーンの学生時代のように、
時間をかけて、ちょっとしたフレーズにこだわって、あーだこーだ言いながら音楽を共につくる楽しみを、またまうみとできるなんてフシギなご縁。
とても楽しみにしています。
大人になっちゃうと時間がないからどうしてもやっつけ仕事が増えるし、
リサイタルも素晴らしいピアニストと共演するとそれは色々一杯もらえて楽しいけど、
合わせが2、3回で本番(一人で一晩でないコンサートは合わせ一回なんて事もザラよ)となるとちょっと消化不良……。
彼らのせっかくのアドヴァイスも、後でやろう、と引き出しに入れたままになってどっかいってるし。
音楽で仕事しなくて良いなんて私にとっては贅沢の極み。

まうみとはこの贅沢な「無心で音楽を作る作業」を楽しみたいと思います』


S子は、このブログでも時々紹介している、わたしの幼馴染みであり、親友であり、妹である、ウィーン在住の素晴らしいピアニストです。
A子と知り合えたのもS子のおかげ。A子とS子は、素晴らしいパートナーシップでもって互いの音楽を高め合い、数々の国際的なコンクールで賞を取りました。

わたしにはかくも素晴らしいすてきな友人がいて、そしてその人があと3ヶ月もするとここにやってきて、無心で音楽を作る作業にかかります。
曲選びといっても知らない分野だけに手探りの状態。
そこでS子にSOSのメールを送ると、日本から戻ったすぐの、疲れや無理から体調を崩している最中にも関わらず、早々に何曲か、候補になりそうな曲を書いたメールを送ってくれました。
わたしは彼女達の足元にも及ばない、経験も力量もまるで足りないピアノ弾きだけど、今回ばかりはもう竹馬にでもなんでも乗って、思いっきり背伸びして、ついでにほんとに背を伸ばしてみようと思っています。
おばちゃんでも、めちゃくちゃその気になったら、背が伸びるねんで~

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こんがらがって~ほぉ~いほいっ!

2010年01月07日 | 音楽とわたし
カルロス氏のピアノの鍵盤が、新しいフェルトをまとったハンマーと一緒にうちにやって来たのが去年の末。
弾いてみたら、新しい平らなフェルトにぶつかる弦の響き独特の、モコモコとした音が出た。
それはまあ仕方がない。これからフェルトに弦の跡が少しずつついていくにつれて、どんどん音が鳴るようになるだろう。
そう思いながら、曲の練習を続けた。
でも違う!新しいからとかいうのと違う!この閉塞感!指先に感じる感覚と音が全く一致しない期待外れの多さ!
こりゃ絶対におかしい。なにかがおかしい。

心の中にウツウツとした薄ら暗い影が広がってくる。
カルロス氏だってきっと、こんな音になったピアノを哀しんでいる。

今回のハンマーの相替えは、ピアノ専門運搬会社の誰かのミスで、高音部のハンマーの柄の部分が折れたことから始まったのだけれど、
保険でその破損部分だけを直すか、$500余分に払って、ハンマーの相替えをするかと聞かれて、相替えの方をお願いしたのが11月の末のことだった。

連絡がなかなかとれなくて、いろいろと遅れて、それでも根気よく待って、やっとのことで鍵盤が入り、そして代金がわたしの講座から引かれた。
$650なんでやねぇ~ん約束の調律がいつなのかも音沙汰無し……疲れました……さすがに……

そして、お金の取られ過ぎの報告と、調律のお願いをするべく電話をかけたところ、
「ああ、調律はもちろん行かせますがね、でもあの鍵盤だと調律だけでは済まないからねえ~」ときた。
「ピアノタッチの調整やらアクションの調整やらが必要だから、あの鍵盤は。うちの調律師はあの鍵盤を見たらきっと絶対にそう言うと思うよ」
「じゃあ、それをお願いした場合はどうなるんでしょうか?」
「1時間90ドルでやらせてもらうから、でも、あの鍵盤にかかる時間が何時間になるか、それはわからないからねえ~」
「最悪ではどれぐらい?」
「まあ、10時間かかる場合もあるわなあ」

今、何社かのピアノ修理専門の会社に問い合わせているところ。
古いピアノを買ったのだから、しかも、その主は重い病気にかかっていて、長い間ピアノどころではなかったのだから、
引き取ったわたしが責任を持って、良い状態にしなければならないことは覚悟していたけれど、なんか物事の進み方が妙にグネグネしていて気持ちが良くない。
でも、どうやら、鍵盤の全体的な、そして徹底的なリニューアルが必要なことだけは確か。それは弾き手のわたしが1番よくわかっている。

またまた大きな出費になりそうだけど、旦那は薄々覚悟してくれているようで、それだけでもかなり気持ちが救われる。

一日も早く、カルロス氏が楽しんでいた頃のピアノに戻れるようにしたい気持ちは山々だけど、はいはいと調子良く進めることはできない。
でも、凹まず、後ろ向きにならず、きっといつか良くなることを信じて、コツコツ足音たてて歩いて行こうと思っている。
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男も女も

2010年01月06日 | 家族とわたし
おとんもおかんも、むすこもむすめも、みんなもう大人やねんから、それぞれの立場や都合もあるやろけど、家族として家事の分担しよう。

とりあえず、誰が1番ひまとか、誰が1番汚すとか、誰が1番働いてるとか、誰が1番稼いでるとか、誰が1番家に居る時間が多いとか少ないとか、そういう個人的なことは横に置いといて、まずは夕飯当番を決めよ~ではないか!ということになりました。

で、月曜日はわたし、火曜日はT、水曜日はK、木曜日は旦那、金曜日はお楽しみの外食かみんなで作る簡単料理、土曜日と日曜日は多分わたし、と相成りました。
食器洗いは、作った人以外の者で協力してする(←これがまたなかなか、協力という部分がグレーでして、誰がどれだけやった、やってないでもめるもめる!)
しかも、料理人によっては洗い物の量と汚れ具合がかなり違います。
わたしは料理をしながら器具とか他の物をどんどん片付けていくので、食べる頃には、テーブルの上に並んでる食器以外に洗い物がありません。
なかなかに不公平な現象が毎晩現れてくるのですが、そこまで要求するのは酷かということで、主婦歴30年のわたしは黙ることにしました。

洗濯は、かなり前に各自でって決まったけれど、結局はわたしが……。Tも大学から戻ったすぐは自分でせっせと洗ってたけど、今ではソソッとかごに入れてるし。
掃除は、3階は住人のTとKで、2階はオフィスと治療室のある旦那が、1階はわたしがってなってたはずが……結局掃除機運んで掃いてるのはわたし……。

ま、特に大変ってこともなく、月曜日は床掃き、火曜日は床拭き、水曜日は水回りの掃除……とかって、結構楽しんでやってるのでいいんですけど……。

って……、朝の9時から夕方の5時まで会社勤めして、帰りにスーパー寄って買い物して、着替える間もなく夕飯作って家族に食べさせてるお母さんに比べたら、なんとまあ楽ちんなこと!
わたしの従姉も、ほんの数ヶ月前まで、朝は5時起きして成人息子&娘&旦那用のお弁当を4つ作り、バタバタと掃除やら洗濯やらして会社勤めしてました。
彼女の場合は忙しい母親の中でも特別やったけど、いつか身体が悪なってしまうから、そんな自分が自分がって思わんと、ちょっとでもええから子供(もう子供じゃない!)と旦那に分担してもらいって言うても、みんなが喜んでるからってやめようとせず、
結局身体を悪くしてしもて、働けないようになって、そしたら子供や旦那が優しくしてくれたのかっていうととんでもない!邪魔扱いしたり我がままやって言うたり、彼女はそれはそれは傷ついて、ひとり家から出てしまいました。

彼女の例は極端かもしれないけど、多かれ少なかれ、そうやって無理したり我慢したりしてるお母さんって多いんでしょうね。
わたしはその点、もう20年近くも、我慢と無理を毛嫌いしている男がすぐそばに居るので、かなり感化されておりまして、
多分もう、以前のまうみには戻れないだろうと思われ……なので、以前のわたしをご存知の方々が今のこの体たらく見たらなんと思われるか……よよよっ

家事の分担ほど、よい教えは無いと思います。
人間が生きてたら、そこにはせなあかんことが山ほどあります。
みんなそれほど難しいことではないけれど、めんどくさかったり、時間が合わんかったり、
けど、そういうことが当たり前にできて、さらにそういうことを自ずから進んでしたいと思えるようになったら、
それはもう、一緒に暮らす人だけじゃなく、自分自身をも幸せにできる人になれるはず。
男も女も、おとんもおかんも、息子も娘も、みんな自分のため人のため、できることいっぱいあるで~
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とうとうガシッとつかまった!

2010年01月06日 | ひとりごと
昨日の夜から、いきなりガガッと、風邪大王が住む深い谷底に引きずり込まれてしまいました。
なんとなぁ~くもやもやっとしたしんどさがいつもあったのですが、誤摩化しながら家事とか仕事とかやっていて、
パソコンの前にも相変わらず長いこと座ってて、ついつい夜更かししてしまい、こんなこっちゃいつかきっと……と思っておりました。ただのアホですはい。

昨夜は11時までにベッドに入り、湯たんぽで温まりながら、なんとか少しでも地上に這い上がれたらと祈りながら眠りましたが、
朝起きて、ちょっと食べ物を口に入れ、小さな用事をちょこちょことしているうちに再び悪寒が……また寝床に入り、2時間ばかり眠りました。

これから仕事です。けれども、家の中でできるので助かります。今日のわたしには、零下の空の下、車に乗ったり降りたりする勇気はございません。
今日は生徒達の手に触れないように、唾が飛ばないように、かなり離れた所からレッスンしようと思います。

ベッドの中にもぐっている間に、息子Tは再びマンハッタンにインタビューを受けに行き、息子Kは矯正歯科の予約時間に間に合うよう出かけていきました。
わたしが心配して、「ちょっと時間、大丈夫ぅ~?」と聞く必要もなく、居なきゃ居ないで、物事はそれなりにちゃんと進んでいくのです。
心配性の母親が独り相撲を取っている。旦那によく言われる言葉です。わかってんねんけどなあ……。

とにかく、自業自得を絵に描いたような風邪ひきです。恥ずかしいので、最短時間でキリッと治るよう頑張ります
↑なんてことを、こうやってパソコンに打ってるぐらいなので、ご心配には及びません。大したことはないのです。お騒がせしてすみません
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息子よ

2010年01月05日 | 家族とわたし
今朝、旦那とわたしのゆっくり朝食が終わる頃、ダダダッと階段を下りてきたT。
即効シャワーに入り、念入りにきれいにし、またダダダッと階段を上っていきました。

ふむふむ、気合い充分な様子。もう以前のように、こっちが時間を気にしたり、頭のてっぺんから湯気を出しながら起こさなくてもよくなりました。
成長したもんだ……まあ、23才の大人がそんなことできなくてどうする?っていう話なんですが……。

けれども、ふと気になったので、聞いてみました。
「どこで会うのか、地図とか調べたん?」
「まだ」
「電車の時間とか調べたん?」
「まだ」
「会う場所によっては、電車かバスか、駅からの距離やスケジュールで選ばんと、ギリギリになったり早く着き過ぎたり、最悪間に合わなかったりするやん!」

うるさいなあ~とばかりにパソコンで調べ始めたT。日本の都会と違って、ニューヨーク郊外といえど、ラッシュアワー以外は1時間に1本しかない電車です。
案の定、うまくかち合う電車が見つからず、変に早過ぎる電車に乗るっきゃないとわかり、焦って準備をし始めました。

もしかしたらバスがうまいこといくかも……しかも、バスターミナルは今日の待ち合わせの場所に電車よりもかなり近いし。
そこで調べてみると、ありました!とってもいいタイミングのバスが!
それを伝えると、「ラッキー!それで行くわ」と調子のいいT。

待ち合わせの場所も、グーグルで出すと???な位置が表示されて、向こうに再確認しなければなりませんでした。
ひょっとして、彼らはわざと、充分な情報を伝えずにおいて、相手の出方を観察してるのではないか?、などと、疑ってしまったわたし。
面接などに際して、その人間がどういうふうに準備していくか、そういうことも含めて知ることができるしなあと思うのです。
Tはそういう意味ではまだまだ。ちゃんと調べておいた方がいいよと昨日の朝から言っても、「わかってる」で終わり。
全然わかってないけれど、それを学ぶのは彼自身が失敗を経験して、苦い思いをして、これではあかんと自分で気づくまでは仕方がありません。

でも、今日は手伝ってしまいました。まだまだ口も手も出る甘い母です。

さっきバス停まで送ってきました。
時間通りに来ないのは当たり前だけど、零下の気温の、吹きっさらしの道ばたで待つ、痛いぐらいの寒さの中では、1分だってすごい長さに感じられます。
バス停で降ろしてさっさと去ろうと思っていたけれど、なんだか心配で、近くの銀行の駐車場に車を停めて、彼の横に立ち、さり気なく風よけ役をしてました。
ようやくバスがやって来て、「よかったよかった、じゃ、楽しんでおいで!」と見送ろうとすると、
バスはなんの疑いもなく、勢いよくわたし達の前を通り過ぎ

「へェ~イッ」と大声出して手を大振りしバスを止めたのはわたし。
「あんがと!」と、礼を言いながら、Tはダッシュして行ったのでした
Tよ、ほんまにあんた、やっていけるんか


P.S.
旦那に事の一部始終を話すと、23才にもなった息子を甘やかし過ぎ!面倒見過ぎ!と叱られました。
自分でもそう思うけれど、今日の場合、バスに乗れたのと乗れなかったのとでは、かなり展開が違ってきます。
停留所によっては、わたしはあなたのバスに乗りたい者です!と手を思いっきり振って訴えなければ、バスは停まってくれない、ということを学んだT。
実は今日、わたしもそれを学んだのでした。ダハハ!

P.S.ふたたび。
今日のリクルーターさんとの面接で、いきなり新聞を読まされたんだそうです。
ほんで、「漢字2個、読まれへんかった」……そうです。
がんばれぇ~!!
コメント (13)
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