ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

カッカしない!

2010年11月08日 | ひとりごと
昨日の夜から大荒れに荒れた空が、やっと落ち着きを取り戻してきました。
両側の家の前庭の落ち葉が、右に左に、すごい勢いで吹き流されていく中を、車で走り抜けながら仕事に行きました。
雨でも雪でもなく、葉っぱのためにワイパーを動かしたのは初めてでした。

こんな日は、たとえ車から生徒達の家の玄関までの短い距離でも、温かな帽子が必要です。
息子達が、何年か前のクリスマスに買ってくれた毛糸の帽子。突風が吹いても大丈夫。



今日の気功は、今月からホリデイシーズンに突入したということもあり、人間関係を潤滑に築くための気をたくさん取り入れていました。
感謝祭やクリスマスには、普段遠く離れて暮らしている家族や親戚達が一同に集います。
そして何日か、長い人では1週間以上もの間、同じ屋根の下でいきなり一緒の時間を過ごすことになります。
久しぶりに会った瞬間は皆興奮して嬉しいものですが、その興奮も覚めてくると、我がままが出る人、我慢を強いられる人、マイペースな人、迎える準備をずっとしてきてクタクタな人、すごくストレスを抱えていて、皆と会ったら余計に落ち込む人、などなど、いろんな感情がそこに集います。
そこで、自分の感情、特に負の感情(怒り、心配、恐れなど)を、うまくコントロールしたり、できるだけそのような感情に至らないようにするのは、気功の訓練により可能である、ということで、いろいろな方法を教えてもらいました。

その中のひとつに、ペアを組んでするものがありました。
ペアのうちのひとりは導く者、もうひとりは従う者を担当します。
導く者は軽く握った拳を差し出し、従う者はその拳に軽く手のひらを被せ目を閉じます。
始めてください、という講師の合図で、導く者が拳を好きなふうに動かし、従う者はその動きに合わせて、体全体を移動させていくのです。
パートナーを替えていくと、それぞれに動きの特徴みたいなものが発見できたし、導く時、従う時の自分の動きや思いが微妙に違うことが面白かったです。
講師のマリアムが、「これは一見、導く者に従う者、という構図に見えるけれど、本当はどちらも自分自身を導き、自分自身に従っているのですよ」と言った時、ああ、これは仏教の教えにも通じているなあ、と思いました。

『自分の中にある自分を深く掘り下げ、見つめ、思いに従う。教えはあなた自身の中にある』……この教えです。


あさこから貸してもらった本の中にも、病気を呼び寄せる、または、ある一定の病気にかかり易くする感情は『怒り・心配・恐れ』である、と書かれてありました。
特にすぐにカッカする人は気をつけないといけない。

最近はよくレッスンでもカッカしてるし、鍵盤のことでもカッカしてたし、旦那がやったちっちゃなことでもカッカしてたし、こりゃアカンのではないかと大反省。
そこで、今日のレッスンでは、気功の呼吸法やミニ瞑想などを駆使して、極力穏やかに、自分自身の反省も込めて、冷静に教えることに努めました。
なかなかうまくいって、生徒達もわたしもハッピー。その話を旦那にしたら……、
「そやなあ、まうみ、ここ数年はすぐに怒るようになったもんなあ。まるでモントクレアに住む金持ち女連中みたいに」
「そうかなあ……」
「そやで!日本に居た時はこんなにカッカカッカせんかったし」
「それは我慢してたからやんか」
「まあそれもあるやろけど、昔の方がかっこ良かった。今はちょっとかっこ悪いわ。すぐにちっちゃいことで怒るから、ガキみたいな大人や」
「だから今日から心を入れ替えてんねんやん!」
「あ、あ、またまた!」

深呼吸深呼吸……怒らない怒らない……チ~ン!
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米国『Baby Shower』の善し悪し事情

2010年11月08日 | 米国○○事情
昨日のお昼過ぎから、ニューヨーク州に住むT&T夫婦一家がやって来た。
旦那の、日本時代の合気道仲間で友人のTが、数日前から首が痛みがどんどん酷くなり、とうとう夜も眠れなくなって(わたしは心の底から同情できる)、それでSOSの連絡があり、急きょ旦那が治療をすることになった。

ミツワに買い物に寄って、それからやってきたTは、ゾンビかロボットか……、かなり痛そう。
運転ができないTの代わりに、慣れない道を、ニュージャージーの荒いドライバーに囲まれながら運転してきたT子もヘトヘトな様子。
お茶で一服して、Tと旦那は車で5分の旦那のオフィスに行き、わたしとT子、そして娘っ子ちゃん達(もうすぐ7才のSちゃん→「え~また車ぁ~」とおかんむりだった……と5才のAちゃん)は、コリアンマーケットに夕飯の鍋の材料を買いに出かけた。

その道中、T子とわたしはお互いの近況を報告し合っていたのだけれど、先日の『Baby Shower』の話になった時、「まうみはBaby Showerのことどう思う?」と聞かれ、う~ん……と黙っていると、T子はこんな話をしてくれた。

彼女の知り合いの話なのだが、極めて健康で順調な妊娠過程を過ごしていたある女性が、もうあと1週間ほどで予定日を迎えるという時に、お腹の中の赤ちゃんが逆子であることが判明した。
そこでその女性は、ある鍼灸師に治療を頼み(これは旦那も何度か治療を施したことがある)、逆子を元の正常な位置に戻してもらった。
それから2日後、それまでずっと元気良くお腹の中で動いていた赤ちゃんが、急に静かになった。
慌てて病院に行き、検査を受けた。
赤ん坊は、へその緒で首を絞められて窒息死していた。
その女性ももちろんBaby Showerのパーティをして、皆からのたくさんのお祝いをもらっていた。
それらは、赤ん坊のために用意されていた部屋ににぎやかに飾られ、家中のあちこちに赤ん坊のための道具が、誕生を当たり前のように待ち受けていた。
死産した赤ん坊を葬り、家に戻った女性は、かなり長い間立ち直れなかったらしい。
出産という、現代の医学をもってしてもなおリスクの高い物事を、必ずうまくいくと能天気に信じて祝うことに、誰も疑問を抱かないのか?というのがT子の疑問。

合理化が好きな人は多い。確かに、赤ん坊が生まれた後は、寝て起きて食べて、その原始的なことをくり返すだけで精一杯の生活が始まる。
そんな時に、やれアレが足りないだの、アレがあったらいいのになどと思っても、買い物に出かけて揃えるだけの時間とエネルギーも無い。
なので、そういう予想される物、経験上あったら絶対に便利だと思われる物が、すでに家の中に備わっているという安心は、それこそ一大事業を控える母親、もちろん父親にとっても、そりゃあ心強いものだとは思う。
けれどももし……T子の知り合いの女性のような事が起こったら……そこまでに至らないにしても、わたしのように大難産で、要る物の内容が通常の物と違ったりしたら……、それはきっと、尖った槍のような物で胸を突かれるような痛みを与える合理的思考になると思う。


『Baby Shower』という行事。少し調べてみる必要がありそうだ。


ちなみに、鍼灸師である旦那に、「出産の1週間前でも、もし頼まれたら逆子治しをする?」と聞いてみた。
「多分」と答えた旦那にこの話をして、「もしその患者から赤ん坊殺しで訴えられたりしたらどうするの?」と聞くと、
「だからボクは今はもうやらないことにした。そういうリスクに備えるための保険は月々十万円ほどかかるし、そもそもそういうことを引き起こす可能性があるようなことはしたくないから」

自然な方法で産みたかったからこその治療だったのだし、その鍼灸師にしても、その気持ちを叶えてあげたかったからこその治療だったのだろう。
でも、いつも当たり前のように思っていることが当たり前でなくなる時はあるし、そしてそれはいつだって、ある日突然にやってくる。
だから慢心してはいけない。臆病になったり心配し過ぎるのもいけないけれど、今あることに感謝する気持ちを忘れずに、いい意味で慎重に、自分がやろうとすることについて考えながら行動しなければ。
そんなことを思った日曜日。

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さようならピンキー

2010年11月07日 | ひとりごと
昨日、わたしが新しい命の誕生を祝いに家を離れている間に、うちと庭続きの家に50年近く暮らしていたピンキーが亡くなった。
おしどり夫婦でこの近所でも有名なピンキーとポールは、わたし達がこの家に引っ越してきたその日から、とても親切に迎えてくれた。
ポールが心臓の手術の途中に、全くの想定外だった危篤になり、すでに難しい癌の末期を迎え、医者から余命数週間と宣告されていたピンキーに見送られて亡くなったのが9月の終わり。
亡くなる当日の午後に、ありがとうを言いに行ったわたしにピンキーは、「こんなになっちゃった彼を見ているのは辛いけど、もうそれも終わるわ。そしてわたしがすぐ後に逝くから、彼はきっとあんまり躊躇しないと思う」と言っていた。

ポールのお葬式が終わり、ピンキーが独り、今まで彼と暮らしてきた家に戻った。
けれども彼女の容態も急激に悪化したので、ポールのために遠くから戻ってきていた娘や近隣の親族が、そのまま彼女の世話のために残った。
家はいつもとても静かで、窓も戸もすべて閉ざされていた。
わたしは今回、さよならを言いに行かなかった。
ポールを見舞った時に、そっと、でもきっと彼女にはわかっただろう「さよなら」を、心の中で言った。

こんなふうに、両親を亡くす人達のことを思った。

うちの向かえの、小さな家の前庭に、売り家のサインボードが立った。
この家の家族も、ずっと長い長い間、ここに住んでいた。
わたし達は多分、この小さな世界の、新旧の入れ替わりの時期に越してきたのだろう。

「ねえ、ずっと誘ってるのに、なんで泳ぎに来ないの?」

水着姿の長身のピンキーが、プールの中に立ち、ちょっと怒ったような顔をして、窓越しにわたしを誘う声が聞こえる。
低めの、ちょっとドスが効いた、けれども優しい声だ。

とうとう泳がずにふた夏が過ぎた。
ごめんねピンキー、ごめんねポール。そのことだけは後悔してる。

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米国今日から冬時間事情

2010年11月07日 | 米国○○事情
今朝(といっても夜中ですが)の2時で、今年のデイライト・セービング(夏時間)が終わりました。
ということで、今日から標準時間、日本との時差が14時間になります。
時差が13時間から14時間に……この1時間が、日本の人達との会話に微妙~に影響します。
朝、こちらがホッと一息つけるようになる頃にはもう日本は夜中。逆も然り。
なので、スカイプや電話などの、直接話せる嬉しい時間を持つことがなかなか難しくなってしまうのです。仕方が無いんですけどね。

さて、今朝もキリキリッと冷えております。
昨日はまるで五平餅のような、横長の美味しそぉ~な雲がいっぱい浮かんでいたのに、今朝はすっかり押し流されて真っ青な青空。
秋の青はほんとに澄んでいて、凛々しくて、きっぱりとなにかを決めた後のような清々しさがあります。


この時期、うちはちょっと困ったことが発生します。これです。


でっかい松の老木からのお土産です。もうアスファルトとコンクリートの境が見えなくなるほどのにぎわいです。


この枯れた松の針のような葉っぱは、靴の裏にへばりつき、家の中に入る前に泥落としでちゃんと擦ってもなお、どんどん侵入してきます。
さて、今年はどんな手を使おうか……。

食いしん坊は誰でしょう?日に日に小さくなっていく『?』かぼちゃ。


その横でずっと齧り手が無かったこのかぼちゃにも!


こんなに寒くなったのに、健気に咲いてくれているマリーゴールド。


すっかり家の中(しかもヒーターの真ん前)がお気に入りになったショーティ。たまに頭のてっぺんをくっつけて寝ているので、「頭寒足熱やろ!」と叱っています。


葉っぱが4枚とも続けざまにパラパラと落ちて、もう死んじゃうのか?!と、とても心配した青桐の赤ちゃん。


数日前から、先っぽの方からかわいい芽が出てきました。良かった!


我が家のリス達の遊び場も、葉が落ちてよく見えるようになりました。






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Emmy's Baby Shower

2010年11月06日 | 家族とわたし
旦那のいとこエミリーは、来月の中旬にママになります。
それで今日はBaby Shower!
近い将来、凄い経験をするおかあさんと これから産まれてくる赤ちゃんの健康を祈って開かれるパーティーで、男子禁制、女達だけのパーティです。
エミリーはフィラデルフィアに住んでいるので、彼女の実家のワシントンD.C.と他の出席者の中をとって、旦那姉アードリィの家で行われました。

そこで今回はひとり旅。一路ペンシルバニアに向かいます。
すっかり晩秋の景色になった山々。


これぞペンシルバニアな景色なり!


子供達が取り残したカボチャがいっぱい。


アードリィの一人娘エメラ。今日は彼女はフランス人になったんだそうな。6才とは思えない大人びた表情。彼女がヘアカットした相棒の人形と。
 

アードリィの家は素晴らしくきれいな公園の真ん前にあります。そこはまるで森の中のよう。この家は山小屋風で相性ばっちり!


プレゼントが山積み。シャワーと呼ばれる所以なのかも……。


中庭にはエメラのお気に入りトランポリンが新しく設置されていました。この家の庭はとんでもなく広く、ソリ遊びが悠々とできます。


ここが玄関ホール。広々としています。石の床は床暖房で気持ちいぃ~! 


さて今日は、トラディショナルにいきましょうということで、ゲームもオーソドックスな物が選ばれました。

まずはベビーフードの味当てごっこ。5つの瓶に入ったベビーフードを、匂ったりちょいと食べたりして、何が入っているのかを当てます。


わたしはベビーフードという物がまだ新しかった時代の母親で、おまけに大いなる田舎に住んでいたので、ひたすら野菜を茹でてつぶして与えていました。
なので、このゲームはあかんやろなあ~と思っていたら、いやあ、味がとっても自然なんですね~今どきのは。それでなんとなく勘で書いてたら、きゃ~!勝っちゃいまして、景品をいただきました!

続いては、お腹の周りは何インチゲーム。
右からエミリー、ジョアン(エミリーのおかあさん)、クリスティーン(エミリーのおにいちゃんの恋人)のスリーショット。


このテープを予想する長さに切って、エミリーが最後に測るまで待ちます。


おいおい、君がやってどないする?


じゃじゃ~ん!


わたしのはかなり長過ぎてアウト!

続いて、赤ちゃん用の品物を枠の中に適当に書き込んだビンゴゲーム。
 

山のように積まれていたプレゼントが次々に開けられていきます。アードリィとエメラはお手伝い。


途中でわたしは3回目のビンゴ!けど、申告は1回だけにしておきました。大和撫子ですから……ほほほ。

これは旦那母からのプレゼント。めっちゃかわいぃ~!


赤ちゃんて、なにかひとつ、ずっと手放さない物ってありますよね。
わたしはボロボロになった毛布でした。
拓人は縫いぐるみのキリンさん。恭平は……それが、彼にはコレという物が無かったのでした。そのかわり、わたしにへばりついておりました。

今日はこの家でベビー・シャワーをしますよ~という目印風船。みんなが集まってからは家の中で浮かんでいます。


残念なことに、オードブルとランチの写真を撮り忘れてしまいました。
お祝いのケーキです。



オムツをどれにするか。それが今のエミリーの一番の思案どころのようです。
赤ん坊のことを考えると、できるだけ自然の物を使いたいと思っているのだけれど、だからといって布オムツだけにするほどの勇気が無い、と言っていました。
わたしとは時代が二昔以上違うけれど、わたしの時でさえ、わたしが布オムツだけで育てているのを知ると、誰からもビックリされました。
布オムツは布オムツの良さがあると思うけれど、あの洗濯の大変さと、ひとまず漂白剤が混ざった水に浸けておいたりすることを考えると、赤ちゃんの肌にとって一番良かったのかどうか、今もわたしにはわかりません。
拓人は真冬の子だったので、洗濯はもちろんのこと、干した途端にパシッと凍ってしまい、わたしの手もあかぎれだらけになって本当に大変でした。
それに引き換え、恭平は真夏の子だったので、洗濯をするのも楽しく、季節でこんなにも違うんだなあ、としみじみ思ったものです。

どのような物を使っても、そこに育て親の思いやりと細やかな注意があれば、赤ちゃんは健やかに育つんじゃないか、というのがわたしの持論です。
エミリーが小学生の頃に、わたし達は初めて会いました。
前にもブログに書いたのだけど、日本から初めてアメリカを訪れたわたし達をエミリーは、優しく懸命にもてなしてくれました。
特に言葉が全く通じない拓人と恭平に、飼っていた小さな動物や昆虫を見せて、それを手に持たせてはニッコリ、彼らが少しでも楽しくなるように、あれこれと世話を焼いてくれました。
しっかり者で気遣いができて優しいエミリー。きっときっといいママになると思います。

おめでとう!エミリー!

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ビリー・キルソン(Billy Kilson)恐るべし!

2010年11月05日 | 音楽とわたし
ビリーの奥さん、もとかちゃんから、「ビリーが明日の晩、NJPAC(New Jersey Performing Arts Center)で演奏するんですが来ませんか?」とメールが送られてきた。
「行く行く行く!」

NJPACはうちから車で15分。マンハッタンに渡る時のように橋の通行料(8ドルなり!たっけぇ~)も不要。駐車もセンターのすぐそばにあって14ドルでお得!
いやいや、そういう理由ではなく、ビリーのドラムを聞けるのなら、どこまでだって行きまっせ~!
ということで、お言葉に大甘えして、旦那とふたり、いそいそと出かけた。

ビリーはスーパーエキサイティングなドラマー。彼のドラムを言葉で表せったって無理!もう会場に行って、見て、聞いて、彼の全身から伝わってくるエネルギーと楽しさを波動で感じ取るっきゃない。ほんとにどうしようもないんだから。
クリス・ボッティがスティングのバンドから独立して自分のバンドを作ることになった時、どうせならスティングが羨むようなすごいドラマーと一緒に組みたいと思って選んだのがビリーだった。もうそれは7年も前のことになるらしい。
彼の判断は正しく、ビリーはコンサートのたびにクリスの胸をワクワクさせる演奏を見せ続けている。
バンド自体、みんなすごい才能の持ち主ばかりだから、もちろん演奏は楽しいのだけど、ビリーがひとたび叩き出すと、さらに音楽がビシッと決まり、感情が揺れ始め、心地良いうねりがそこかしこに現れる。
他の演奏者達が心底彼のドラムに惚れていて、観客のように楽しんでいて、彼と一緒に演奏できる喜びがほとばしる。
ビリーはたった二本のスティックと足で、まるで魔法のように、会場全体を惹き付ける。本当に素晴らしいジャズマン!



ここがNJPAC。毎回来ては思う。どうしてもっとここに来ないんだろう。


中に入ると、螺旋状の階段がスウッと天上近くまで続いているのが見える。


まずはボックス・オフィスに行き、チケットを受け取る。


4階までのロビーにあるバルコニー。


会場の中に続々と人が入ってくる。きっと今夜も満員なんだろう。


本番前の舞台をパチリ。多分これが今夜の最後の写真。


と、思っていたら、クリスが演奏中に客席に下りてきて、もうみんなは大騒ぎ。パチパチカメラで撮影し始めたので、わたしもそれじゃ~とばかりに。


バンドの主がくつろいでいる間に、せっせと働く方々。


彼の名もビリー(Billy Childs)。彼もすごい。深くて重くて軽やかでパンチが効いてて柔らかで、ピアノを喜ばせることができる人。


わぉっ!目と鼻の先!慌てて撮ったのでピンぼけ。


彼女の歌も圧巻だった。



ジャズの演奏家達は即興が命。もちろんそれは知っている。
けれども今夜の演奏の中で、なんぼなんでもそれはできんやろ?ちょっとぐらいの打ち合わせとか、一回ぐらいの合わせとかしたやろ?という瞬間がわんさかあった。
たまらずに、コンサートの後でビリーに詰め寄って聞いた。
正直に言んさい!ちょっとは示し合わせとかしたんじゃろ?じゃろ?

「ハハハ!ジャズは即興だよ。そんなことしたらジャズじゃなくなっちゃうよ」
「いやしかし、あれはなんぼなんでも……」
「いやいや、ボクらは舞台の上以外では、音楽の話は一切しない。今夜だってバスケの話してたんだ」
「けど……」
「クラシックとジャズは、演奏する、音楽を作るっていう成り立ちが全く違うから、理解しにくいだろうけど、あれはもう予感とか感じとか共感とか、そういう『感』の世界で、その場の一瞬一瞬で音楽を互いに織り込んでいくんだよ」

ぎゃぁ~ん!!めっちゃうらやましいっ!!3年も、一応わたしなりに頑張って、頑張って頑張って、やっぱり無理やった世界やん!!
ほんでもって、今日はまた新しい演奏法を披露してくれたビリー。彼がソロをやり出すと、会場がもうウキウキし出す。皆が身を乗り出してノリノリで聞く。今夜もめっちゃイケてる演奏(ダンス?カンフー?)だった。

ギターのマイクはいつものごとく超~うまの、軽く聞こえるけれどほんとはすごいテクニック!なギターを聞かせてくれた。
今夜ベースを担当した若者もうまかったのだけど、テクニックの方に重点を置いている時期なのかもしれない、他のメンバーと比べると歌が無かったのが残念!
彼らはマンハッタンのブルーノートで、来月から新年にかけての40日間以上、毎晩ぶっ続けのライブを敢行する。
お近くにお住まいの方にはぜひぜひお勧め!ほんとに素晴らしいバンドなので、直に行って楽しんでほしい!

ビリーの最愛のべっぴん奥さんもとかちゃん、エヴァン君(最近けったいな顔をしたいらしい……うちの息子らと同じだよ)、アキラちゃん(めちゃ利発で可愛い)。


今夜のお礼をなんとしょう……。なんだかどんどん『失礼』がたまっていっているような気がする……やれやれ……。






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悩ましいお客さま

2010年11月05日 | お家狂想曲
昨日からまた、去年と同じ、とてもかわいいお客さんが来てくれています。
後ろの庭の、台所に近い木の上のどこかです。
去年も丁度この頃で、朝ご飯を食べている時に、やって来たことを告げてくれたのでした。

それはそれは美しい高音の口笛のような声で、3つの音を音程も正しく歌ってくれるのです。
最初の音はシの♭、2番目はラの♭、それから最後にファまで下りて、そのファの音を微妙に揺らしながら伸ばします。
本当にきれいな声なので、最初に聞いた時は驚いて、寒いのに外に出て長いこと聞いていました。

今年こそは彼の正体を突き止めようと、朝から旦那とふたりでインターネットで必死に検索したのですが、う~ん……見つかりません。
その中で、一番近かった鳥がこれ、Black-Capped Chickadee さんです。



最初のふたつの音は、本当に似ているのだけれど、彼はみっつめを歌いません。あの最後のファのヴィブラートが楽しいのに……残念!
→ここで彼の歌が聞けます。http://www.birdjam.com/birdsong.php?id=12

どことなく雅楽の陽旋法のような響きがするこの鳥さんの歌。

いったいあなたは誰?
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フダンソウはうまいぞう!

2010年11月04日 | ひとりごと
今日は冷たい雨。夜が明ける前からずうっと一日中降っています。

新しい生徒がふたり、今日からレッスンを始めました。
ふたりは学校の仲良しさん。今年の6月まで、大学生にピアノを習っていたのだけれど、もうちょっと本格的に習わせようってんで、うちに引っ越してきました。
初めてのレッスンは、どちらもそれなりに緊張します。ふたりとも、手のひらは割合にしっかりしていますが、指の関節が固過ぎたり柔らか過ぎたり、いいとこもあり、これからうんと矯正が必要なとこもあり、でもまあ可愛い11才の女の子達なのでした。

朝からひとり、大人の男性(彼は人前で弾くことにものすごいトラウマがありました)のレッスンから始まり、ピラテスのクラスを挟んで、夜の7時過ぎまで、一分の休みも無しに教えていて、発表会前の緊迫感も相まって、夕飯なんて作るどころではありません。
そんなんで、今夜は旦那が、ちょっといつもよりは奮発して、おいしいテイクアウトを持ち帰ってきてあげようと言ってくれたのでした。

で……わたしが教えている最中に家に戻ってきた旦那。
けれども、7時が近づいてきてもいっこうに出かける様子が無く……まあ今夜はお任せなんだからと、お腹がグルグルと鳴るのを誤摩化しながら教えていました。
そして、やっとレッスンが終わり、片付けをしていると、台所の方からカタカタと音が聞こえてきました。
え?

ドアを開けるといい匂い……。これだ~!


そしてこれ!


と、これ!


ありがとぉ~旦那!
昨日は散々扱き下ろしたくせに、今日は拍手喝采、感謝感謝!
いっただっきまぁ~す!


この野菜はSwiss Chard(フダンソウ)という名前で、茎の色がとってもカラフルでおいしいのです。わたしはこれを使って料理をしたことがないのですが……。


今日の疲れがスッコ~ンと取れました。さて、シンクに山盛りの鍋やフライパン、洗いましょう~


なんて言ってたら、大学から帰ってきた恭平。
帰りがけに、鶏肉があるかどうかを電話で聞いてきました。
友人のみゆきちゃんと一緒に帰ってきて、スパニッシュライスを炊き、チキンカツをジャ~ンと揚げながら、ブラックビーンズを煮ております。


恭平の十八番。いつも突然コレが無性~に食べたくなると、せっせと、しかもかなり素早く作ります。

今日の我が家は男の料理なのでした。


もういっちょおまけの写真。

突如、エレピで遊び出した旦那。


このエレピは、今からう~んと昔、ハンプティ・ダンプティという、わたしにとってはすごく意味のあるバンドのキーボードを担当していたあきちゃん(彼女は無謀にも、わたしにジャズを教えてくれようとした)から譲り受けたもので、ローズに似たとてもいい音を出します。
旦那もこの音がだぁ~い好き。けど、そこまで足開いて弾かんでも……。
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米国ブラックメール事情

2010年11月03日 | 米国○○事情
先月の20日、鍵盤修理専門のマイクが、わたしのピアノの鍵盤を預かったまま一向に音沙汰が無いのに痺れを切らし、彼の携帯に旦那が電話をかけた。
旦那が、と言ったが、彼自身は全くそういうことをしたくなくて、わたしがあまりにしつこく頼むので、嫌々ながらかけてくれたのである。

思い起こせばマサチューセッツ州の彼の元から、鍵盤運送用の特別仕様の箱が送られてきたのが8月のはじめ。
近所に住む調律師アルバート(彼がマイクを強く推薦した)に協力してもらい、鍵盤をピアノ本体から抜き出してその箱に詰め込んだ。
それを旦那とふたりでどっこらしょと車に乗せ、わざわざ宅配会社の本社まで行き、無事向こうに着くよう祈るような気持ちで送ったのが8月の4日だった。

それから始まった待ち地獄。
無事に届くかどうか心配なので、着いたら連絡して欲しいとメールをした。
し~ん……。
着いているはずだと思うが、請求されている見積額の個人チェックを送りたいので、アルバートから聞いた額でいいのかどうか、それを確認したいので連絡してほしいとメールした。
し~ん……。

心配になって旦那に言うと、「今は夏やで。アメリカ人にとってはヴァケーションの季節。もうちょっと気長に待ったら?」
それならそれで、そんなあやふやな時期に、鍵盤を送らせるのがおかしいちゃうん?と思いつつ、これもまた国民性なのかもしれないと我慢した。
夏も終わり、9月になって、なんぼなんでもあんまりや!と思い、電話が無理ならメールでいいから送って!と旦那に強く頼んだ。
そこで初めて、旦那が少しだけ厳しいめの文面のメールを送った。
即返事が送られてきた。
「確かに鍵盤はこちらに着いています。そろそろ修理に入ります」

そろそろって……と絶句したが、とりあえず安心して、それからまた待ちの態勢が続いた。

9月が過ぎた。
2台ピアノの練習を待つ人が痺れを切らし始めた。練習したくなくてウソついてるんちゃう?と疑う人まで出てきた。
コンサートが続いたけれど、残った生徒用のピアノで練習するしかなかった。
上級者のレッスンに活用していたので、それができずに不便した。
その間にも、無駄なこととは思いつつ、わたしはメールを数回送った。
し~ん……。

頭の中に、ポツポツと毒キノコのように生え出した不満が、ベトベトの怒りの膜で包み込まれてしまって、とうとう脅迫めいた文句がブンブンと唸りをあげて、わたしの口から出るのを待つようになった。
気がつくとマイクに呪の言葉をつぶやいている。
この英語は正しいのだろうかと、呪いながらもそんなことを考えている自分に情けなくなりながら。

10月も中旬を過ぎ、いくらなんでも3ヶ月はないだろうと思ったわたしは、もう一度、今度は電話をして直接話をつけてくれ、と旦那に頼んだ。
今回も嫌々ながら、とりあえずかけてくれた。
「どうしてこんなに時間がかかるのか、妻は理解できないでいる。もしかして、修理代の一部でも先に支払わなかったからなのかと心配している」
「いや、修理代はすべてが終わってから連絡するので、その後で送ってくれたらいい。そんなことは全く関係無い。もう修理は始まっていて、多分あと1週間で終わる。終わったら修理にかかった費用を請求します」
なんでもいい、その7日という数字が出ただけでもありがたいと思おう。

このことをブログに書いた。
皆が怒ってくれた。美代子さんなどは、「向こうに踏み台持参で行って、相手の顔をハンドバッグで叩いてやりなさい!」と、具体的な作戦まで語ってくれた。
もし7日経ってもまた連絡が来なかったら、今度こそはそうしてやろうと真剣に思っていた。

28日になって、29日になって、30日になった。
やっぱりし~ん……じゃないか!
わたしの胸の中はもう真っ黒。コールタールのような怒りが渦巻いてどうしようもなくなった。
「あのさ、1週間って言うてたやん。けど、またやっぱり連絡無いやん。どうなってるか聞いてくれへん?」
「いや、もうボクはかけへん。まうみ、あんたは理解できてないと思うけど、マイクはなんちゅうか、職人らしい偏屈っぽいとこがあって、督促の電話とかメールとか、そういうのを嫌がるっていうか、放っといてくれっていう感じの男やと思う。こないだかけた時、言葉にはせんかったけど、あ~も~うるさいなあ、鬱陶しいっていうメーッセージが声にこもってた。そやし、ああいう男にうるそう言うのはかえって良く無いと思う」

プッツン……。

これはわたしの辛抱線がキレた音。
あ、そう。

アホらしなって言葉が消えた。一番のアホはマイク。二番はアルバート。三番は旦那。もうええわ。アホトリオと真剣に付き合うたらこっちまでアホがうつる。
年末までに戻ってきたら良しとしよう。
戻ってきて、仕事が中途半端やったり、別に左程特別に優れてなかったら、訴えてやろうかとも思ったけれど、アホが相手だと、それこそ浪費になるのでやめる。
誠意の無い、人を思い遣れない男どもめ。
けど、やっぱり脅迫してやろうか。向こうからしたらたったの3ヶ月なんかしらんけど、わたしにとってはめっちゃ大事な3ヶ月やってんから!
よし、思いっきり嫌~な文章書いて送り付けてやろう!

今朝、突然、わたしのメールに、旦那から、宅配会社からの連絡メールが転送されてきた。
マイクが鍵盤を、調律師の元に送り返したという通知だった。
本人からの言葉はひとっことも無い。ただの宅配会社のサービスメールだ。
トラッキングをしたら、到着が明日になっていた。
8月4日に見送った鍵盤が、丁度3ヶ月後の11月4日に戻ってくるらしい。
おちょくっとんのかぁ~


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米国あかんたれ事情

2010年11月02日 | 米国○○事情
今日はオバマ政権が発足してから初めての中間選挙の日。
アメリカのマスコミはもうちょっと大人かと思てたけど、ふんっ、なんてことはない、やっぱりただの騒がせ好きな、スキャンダル好きな集団やった。

景気が悪いままやって、そんなことわたしでも知ってるわい!
失業者があふれてて、泥棒が増えてきて、昼中から年寄りの鞄をひったくっていくアホも出てきて、仕事を続けられてる人かて条件はどんどん悪うなるばかり。

けどな、なんでそれがオバマ政権のせいになるわけ?
こんなんにしたんは、共和党の政策と、戦争したがりの軍と、強慾にかられた銀行屋と、巨大会社の役員らちゃうん?
オバマは最初の最初っから、これだけ傷んだ国を立て直すには、何年もかかる。最初の4年でできるかどうかさえも約束できん。けど、僕は全身全霊かけて精一杯やるから、あなた達も一緒に我慢してくれって、はっきり何回も言うてたやん。
よっしゃわかった、お互いに我慢しながら頑張ろう!ちゅうて、選んだんはいったい誰?
それを、ええぞええぞ~言うて応援してたんはどこのマスコミ?

ティーパーティとかいう、草の根運動かなんか知らんけど、こそこそあっちゃこっちゃで根回しなんかして、オバマは無能や、帝国主義やってアホみたいなこと洗脳して、なにが小さな政府や!なにが国民に寄り添ったや!ようそんなこと言えるなあ共和党!恥知らず!
あんたらが政治を牛耳ってたあの8年間、わたしがこっちに引っ越した年からやからまるまる見てたけど、恐ろしいぐらいに偏ってて、可笑しいぐらいに無能で、痛々しいまでに国をボロボロにした張本人らが、いったいどの面下げて今の政治を非難できるん?

マスコミも今夜になって、オバマに責任を負わすのはいかがなもんかって……遅いっちゅうねんっ!

坂道をゴロゴロと転げ落ちるように堕落した国に、ぶっとい綱巻いて、歯ぁ食いしばって、手のひらズル剥けにして引っ張ってるっていうのに。
髪の毛ほとんど白髪になってまうまで、ウンウン唸っていろんな手段を考え出してるっていうのに。
なんでもうちょっと待たれへんの?なんで2年やそこらですっきり解決できるはずやって思えるん?

スーパーのレジで、思いっきりノロくさい店員に20分も待たされても、ポジティブ思考で文句言わんと待てる国民性はどこ行ったん?
しょうもないとこで寛容になれて、こんな大事なとこで短気やなんて、ここはあかんたれの集団が住む国か?
それとも、洗脳されやすい、脳みそスカスカの連中が多いんか?

クリントン前大統領の時も、同じ時期の中間選挙で、同じぐらいのダメージがあったらしい。
百歩譲って、これをまあ、調子に乗り過ぎんと、気を引き締めて、次の6年頑張りや!っていう、オバマ政権への教訓やと思おう。

めっちゃガッカリしてるけど、2000年のゴア氏が負けて共和党になった瞬間や、2004年のブッシュの再選が決定的になった瞬間を、テレビで観た時よりはマシ。

民主党の皆が素晴らしいわけないし、共和党にも優れた人がいる。
けど、政治家個人がいくら優れてても、それに群がる人間の中に阿呆が多いと話がややっこしなってくんねん。
その阿呆がまた、目立ったりするから、それをかっこええとかすごいとか思う、考え無しの一般市民の阿呆らが群がって、阿呆やからやたらと騒ぎを大きくすんねん。
それをまた面白がって見に行ったり話を聞きに行ったり、そればかりか、それを世間に映像にしてタレ流すマスコミの阿呆。
阿呆の連鎖ほど恐ろしいもんはないわ。
わたしらはそれを8年間、いやっちゅうほど見てきたんちゃうん?!

あ~ムカムカする!
コメント (8)
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