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山田詠美『ベッドタイムアイズ』

2006-07-25 15:53:34 | ノンジャンル
 今まで、昨年末の新聞に掲載されていた優香さんの対談で取り上げられていた本で、特に気に入った奥田英朗さん、瀬尾まいこさん、金城一紀さんの、手に入れられる本をすべて読破してきたのですが、今回山田詠美さんを読破するに当たって、今手許に集められた本は29册もあります。書かれた順に読んで行きたいと思いますが、しばらくの間、このブログも山田詠美一色になるかもしれません。その点、ご了解くださいませ。

 ということで、彼女の処女作「ベッドタイムアイズ」です。彼女は「ひとりの男を愛すると三十枚の短編小説が書ける」と言っているように、自伝的な作品が多いようです。この小説では「私」と、米軍基地を脱走してドラッグの卸しをしている黒人スプーンとの暮らしぶりが「私」の言葉で語られ、途中私の相談相手マリア姉さんがスプーンと一回だけ体を重ねるという事件がありますが、それ以外はずっとスプーンの体をどう味わい、彼にどのような思いを抱き、彼にどのような嫉妬をし、彼をどのように怒り、彼とどのような喜びをともにするか、が延々と語られます。そこで語られるのは、精神に対する肉体の絶対的優位で、これが彼女の小説を単なる一人称小説にしていない、魅力なのだと思います。
 短い小説ですので、一晩でも読めます。興味のある方、オススメです。