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山田詠美『ハーレムワールド』

2006-08-15 17:12:30 | ノンジャンル
 77年前の今日、ビル・エヴァンスがニュージャージー州プレインフィールドで、ウェールズ人の父、ロシア系アメリカ人の母との間に生まれました。時は1929年。世界大恐慌の始まった年です。彼は第二次世界大戦とともに青春を送ることになります。彼がまだ生きていれば77歳。多分まだピアノを弾いていたでしょうね。

 ところで、山田詠美作品は今まで書かれてきた順に紹介してきましたが、今回の本はつい最近入手したので、紹介する順番ということに関しては例外となります。この本は「蝶々の纏足」と「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」の間に書かれた本で、直木賞受賞の直前に書かれたものです。
 父が黒人である主人公のサユリには、アジア系の留学生でインドネシア料理店でバイトするティエン、アメリカ軍人の黒人スタン、日本女性をナンパする黒人を軽蔑する日本人のシンイチ、妻子のいる外交官で、サユリに他に恋人がいると知るとすぐに去ってしまうクラウス、といった複数の恋人たちがいます。ティエンだけがすべてを知っていてサユリの相談相手になっています。以前にはコバヤシというごう慢な男と付き合い、バカにしてふったばかりに恨みを買い、包丁でさされそうになったこともありました。コバヤシは自分で勝手にころんで包丁を自分に突き刺して死にます
が、時々幽霊となってサユリの前に現れ、彼女を悩ませます。そしてラストではティエンとサユリが愛しあう場面で終わります。
 愛の行為の描写満載で、またサユリが自分に素直に生きる生き方がすがすがしく、好感が持てます。人によって様々な愛し方があるのだなあ、と勉強になったりもする本でした。