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山田詠美『快楽の動詞』

2006-08-22 17:11:15 | ノンジャンル
 今日の山田詠美作品は「快楽の動詞」です。これは小説仕立てであったり、評論仕立てだったり、章によって異なりますが、特定の言葉あるいは言葉の使い方についての本です。
 第一章「快楽の動詞」は、セックスの最中の女性が言う「いく」「死ぬ」という言葉についての話、第二章「否定形の肯定」は、性行為における女性の「いや」という言葉についての話、第三章「駄洒落の功罪」は、駄洒落を言う人間を殺してまわる女性についての話、第四章「逆説がお好み」は、知的な男性が好きという女性が作家に狙いを絞り、本を読みはじめるが、その結果、「逆説」という言葉から作家の女性の好みが始まると思うと言う話、第五章「文体同窓会」は、文字どおり様々な文体が集まり語り合う話、第六章「口の増減」は、文通の相手の募集で手紙を送ってきた自意識過剰の男「ふえず口」と、それに付き合う「へらず口」の文通についての話、第七章「ベッドの創作」は、性行為をポルノ小説風に書く時と、純文学風に書く時とどのような差が出るか、という話、第八章「不治の快楽」は、文学界に提案された快楽禁止令についての対談を読んで、今後を心配するイクイクとヌクヌクという文学に住む生物(?)たちの話。
 私が特に面白かったのは、第七章の「ベッドの創作」で、ポルノ小説風の方は「いやっ」とか「止めて」とか、描写が即物的なのに対し、純文学風の方はまさに山田詠美さんの小説風なのが笑えました。実際、山田詠美の小説を読んで勃起したことはありませんでしたが、この章のポルノ小説風の文章には勃起してしまいました。山田詠美さんの小説は官能小説などと言われますが、今まで読んでて勃起したことがないことに初めて気付いた次第です。
 言葉にこだわって、それだけで一冊の本にしてしまうのは、珍しいことなんじゃないでしょうか?まだ読んでない方にはオススメです。