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天童荒太さん、直木賞受賞!

2009-01-16 17:03:41 | ノンジャンル
 天童荒太さんが、ついに第140回直木賞を受賞されました。昨日の報道ステーションの最後で受賞を知った時は、思わず「やった!」と声を上げてしまいました。受賞作は「悼む人」。昨年の暮れから、厚木の有隣堂の新刊コーナーでも、大々的に宣伝されていた作品です。
 今日の朝日新聞の朝刊の「ひと」のコーナーに天童さんが取り上げられていたので、少し長くなりますが、引用させていただきたいと思います。
 「毎晩ベランダに立ち、その日のニュースで知った1人の死者のことを思い、その事件や事故の現場を訪れたと想像して日記をつけた。主人公の名を冠した『静人日記』。3年間続け、『悼む人』になりきった。
 『見ず知らずの人をこんな風に悼む意味があるのか、と疑う気持ちが、変化してきました。軽重をつけず人の死を悼めなければ、生きている人たちも公平には扱えない』
 アイデアの原型が生まれたのは、01年の秋。同時多発テロを受けた米国の軍事攻撃を知ったショックの中でだった。『報復の暴力を仕方がないと認めるのは、耐え難かった。悲劇の連鎖を食い止める砦として、自分や愛した人のことを覚えていて、ただ悼む人がいてくれれば、という思いが生まれたのだと思います。』
 誰も傷つけないヒーローを描きたいと思ったのは、虐待を受け、心に傷を受けた人たちを主人公としたミリオンセラー『永遠の仔』に寄せられた5千通に及ぶ手紙を見たときだった。『何でも書ける作家』であることはやめ、傷を受けた側に寄り添って物語を作ると決めた。
 この7年間、休まず書き続け、酒も口にしなかった。『浮かれたことをすると、何かが逃げてしまうような気がして‥‥。賞に選ばれ、励ましてくれた人たちと杯をあげたい』
 誠実を通り越し、小説に求道的にまで向き合う。『いい小説には、作家の意識を超えて同時代人の希望や怒りが入っているはずです』」
 これ以外にも、朝日新聞の受賞を知らせる記事の中では、「作品を通して読者とやりとりをしてきて一番の到達点になった。こういう作品を描けて幸せです」と天童さんは語り、直木賞選考委員の井上ひさしさんは「『悼む人』は、求道者のような作者の姿が浮かぶ力作。文学は世界に対して何ができるかという問題にぶつかっている」と評しています。また、スポニチの記事では「僕は傷ついた人たちの立場で書く。受賞はあなた方の生が肯定されたことでもあると伝えたい」と天童さんは述べ、井上ひさしさんは「人間の生と死と愛を一度に相手にした力作」と述べたと書かれています。
 この記事を読んでいて、涙が出て来てしまいました。おそらく天童さんの弱者に向けた優しさと、そのナイーブなまでの真摯さが、胸を打ったのだと思います。
 天童さんは48歳。私とほぼ同じ年であることも再確認しました。背も高く、ハンサムな男性。これからも応援させていただきたいと思います。なお、天童さんの作品に関して詳しくお知りになりたい方は、私のサイト(http;//www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)の「Favorite Novels」の「天童荒太」の方を是非ご覧ください。