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中川信夫監督『女吸血鬼』

2012-11-03 07:52:00 | ノンジャンル
 中川信夫監督・共同脚本の'59年作品『女吸血鬼』をスカパーの日本映画専門チャンネルで見ました。
 新聞記者の民夫は許嫁の逸子(池内淳子)の誕生パーティーに向かいますが、途中で女性をはねます。車を降りてみると、女性の姿はありません。ケーキを切る時に指を切る逸子。逸子の父の松村は、妻の美和子が20年前に失踪した時も妻が指を切ったことを思い出します。逸子の屋敷に着いた民夫は、先ほどの女性が屋敷に入るところを目撃します。暗い廊下を歩く和服の女性。屋敷は停電し、2階の開かずの間のベルが鳴り、執事が向かうと、部屋のドアの窓には女性の影が見えます。改めて執事と松村が向かうと、そこには意識を失った美和子(三原葉子)が20年前の若さのままでいました。天草の血を引いた者の呪いではと疑う松村。翌朝になっても眠ったままの美和子を置いて去る民夫に、逸子はこのことを記事にしないように頼みます。
 上野の二期展に行った民夫と逸子は、作者不明の特選の絵のモデルが美和子に酷似していることに気づきます。逸子に話しかけて小人と去るサングラスの男(天知茂)。男は逸子を尾行して彼女の屋敷を確かめると、その夜、二期展の特選の絵を小人に盗ませます。窓から月光が入ると苦しみだす男。ホテルのメイドが男の声を聞いてやって来ますが、吸血鬼に変身していた男はメイドを襲います。殺しの現場に急行する民夫は、特選の絵が盗まれたことも知ります。
 絵は逸子の屋敷に届けられ、夜にその絵に月光が当たると美和子は目覚め、絵の前まで来て絵を見ると怖がり、失神します。駆けつけた松村と逸子の前で目が覚めた美和子に、松村は美和子は天草四郎の子孫で、20年前、松村と島原に旅行していた時に失踪したことを語り、美和子は絵を描いていた男の元へ導かれ、男が差し出した花の匂いを嗅いで失神した話をします。目覚めると男の地下の城の中で、入道や小人、老婆が囲み、男は自分は天草四郎であり、自害した勝姫の血を吸って不死となったことを語り、自分の愛を受けなければこうなると言って、ロウで固められた女性たちを見せるのでした。美和子はすきを見てやっとそこから逃げ出して来たのだと言い、月が出ている間は男は来ないとも言います。
 松村は絵の件を警察に通報し、男も警察で事情聴取を受け、帰りが遅くなると、帰りの車の中で月光を浴びて苦しみだし、バーに駆け込みます。そこへ付いて来た小人が暴れ、壊れたバーの窓から月光が刺すと、男は苦しみながら吸血鬼に変身し、次々と女性を襲った後、車で逃げます。それを目撃していた民夫は、男が残していったスケッチブックを手に入れます。
 絵の上に置かれた金の十字架を見て、男が自分を連れに来ると怯える美和子。玄関のブザーが鳴りますが、逸子が出ると誰もいず、その後、美和子の部屋のドアが無人のまま開くと、部屋に男が現れ、美和子をさらっていきます。絵のサインとスケッチブックのサインが同じであることに気づいた民夫は、男が島原に美和子を連れていったと推理して、後を追います。
 島原の警察に着いた民夫と逸子は、地元の強盗が盗んだ金を隠そうとしていて化物のいる城を見つけたという話を聞き、警察とともに強盗に同行して、その城に向かいます。途中で銃撃に会う民夫ら。逸子は一人になったすきに男に拉致され、城に連れていかれて、血を吸われそうになります。そこへ間に合った民夫は男と乱闘となりますが、やがて警察がやって来ます。強盗は隠した金を掘り出そうとして壁に穴を開けると、そこから月光が射し込み、男は白髪の老人と化し、自ら毒の池に身を投げます。老婆は城を爆破し、ロウで固められた美和子を残して、民夫らは脱出するのでした。

 バーで吸血鬼と化した天知茂が、路上の女性を次々と襲う場面は、通り魔の犯行を見ているようで迫力がありました。ラストの乱闘場面は、いかにも弱そうな民夫が強そうな天知と渡り合う点など、残念な作りとなっていましたが、冒頭の部分など、照明で怖さを出す部分などは見ごたえがありました。女吸血鬼が出てこない吸血鬼映画です。

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/