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金城孝祐『教授と少女と錬金術師』その1

2014-06-02 09:06:00 | ノンジャンル
 工藤栄一監督の'65年作品『任侠木曽鴉』をスカパーの東映チャンネルで見ました。自分を無実の罪に落とした仇を木曽に追ってきた男・新太を大川橋蔵、彼を助ける十手持ちで実は国定忠治とその子分を大友柳太郎と内田良平、新太に思いを寄せる娘を助ける女女衒を丘さとみ、新太の仇を天津敏、天津敏とつるみ、また新太に思いを寄せる娘を手に入れんとする山奉行を遠藤辰雄が演じ、ワンシーンだけコメディリリーフとしてミヤコ蝶々と南部雄二が出演していました。極端な縦の構図、ロングショット、逆光、闇に浮き上がる人物、殺陣での手持ちカメラが印象的な映画でもありました。

 さて、朝日新聞で紹介されていた、金城孝祐さんの'14年作品『教授と少女と錬金術師』を読みました。
 六百年前、フランドルにヤン・ファン・エイクという画家がいた。彼は油を使った絵画技法を完成させた男だった。そして彼は錬金術師でもあった。
 私は小安駅そばの旧いマンションに住んでいる。ガールフレンドの幸菜はバーテンダーの仕事をしていた。私は薬学部の大学院生で、路地を入ったところにある「さわら薬局」で働いているが、免許もまだないモグリの薬剤師で、自分で作った上質の油を飲食店に売っている。
 ある日、教授の江藤先生から先輩の永田を紹介される。彼はハゲ頭を油でテカテカに光らせていて、彼の職場である塾では、そのハゲのおかげで、生徒たちのアイドル的存在だった。私は永田と1日をともにし、翌朝頭に何層もの油膜をつけたまま、彼とともに塾に行くが、女生徒の荻にその油膜を剥がされてしまう。塾が終わり、私と永田と一緒にやって来た荻は、私の頭についていた膜をなめて自分の額に貼ると、そこから激しい光が溢れ出す。
 翌日私が大学に行くと、他の学生は江藤先生がいよいよボケてきたと言う。教授の頭にはボケ老人に特有のキノコが生えていた。
 数日後、私は荻を幸菜の店に連れていくこととなり、幸菜から要求された手土産として「体験入塾歓迎!魚、サービスいたします」という看板を出している店で、生け簀から金目鯛を手に入れるが、そこの店員の目は焼き上がった死んだ魚の目をしていて、消防署に電話すると、電話の向こうでは叫び声が聞こえ、駆けつけた救急隊員は店員を立続けにぶん殴り、金目鯛の血抜きをしてくれる。
 幸菜の店に着くと、そこへ幸菜の師の錬金術師・楊(ヤン)が現れる。幸菜は楊に教わった術「水難」をしてみせ、両手の間から私に向かって水を放出する。私が牛脂に香りをつけて石鹸を作る話をすると、荻は花を採りに遠出しようと言い出し、私は歩いていける範囲で唐空寺を提案する。そこで荻が花をもいでいると、若い坊主が注意し、場所を廊下に移すと、荻は錬金術で廊下を光らせ、そこにやって来たさっきの若い坊主は、その光の中で姿を消されてしまう。
 翌日大学に行くと、他の学生が教授の頭から採取していたキノコがみるみる伸びて、シャーレの蓋を押し上げてはみ出しはじめていた。教授はそれはキノコではないし、私はボケてもいないと言い、タバコを吸うと、その煙は教授の頭の上で天使の光輪のようになった。私は学生に花のたくさんある場所を訊くと、学生は横須賀のくりはま花の国を教えてくれる。
 私は荻を連れて横須賀のくりはま花の国を訪れ、荻に教授に会ってほしいと言うが、荻は見返りを欲しがり、私が花の冠を作るため白いポピーを集めようとすると、荻は黄色のポピーも摘み、私がそれを指摘すると、荻は怒って走り去ってしまう。私はくさくさした気持ちを幸菜にぶつけ、嫌がる彼女を路上で押し倒す。増々自己嫌悪に陥る私。(明日へ続きます‥‥)

 →「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/