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石井輝男監督『花と嵐とギャング』その2

2011-08-26 04:49:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 その頃、会長はマサオの母(清川虹子)を呼びつけて、今回の不祥事のけじめをつけるためマサオを殺すことを告げると、マサオの母は逆に「自分が今まであんたにいろいろと便宜を図って来た恩も忘れて、マサオを殺すようなことをしたら、あんたの方こそ命が危ないよ」と言い放ち、会長の元を去ります。マサオの母は大金を抱え恋人とやって来たマサオに、割に合わないギャングなどさっさと辞めて堅気になれと言い、恋人と一緒にブラジルに逃がしてやるからと言って、金の入ったカバンを預かります。
 ツンパを連れて会長の元を訪れたスマイリーは、マサオを探し出して金は必ず返すのでマサオの命だけは助けてほしいと会長に懇願すると、会長はマサオを探し出すまで人質として「女」を預かると言い出します。「女」はねちっこい目で自分を見る会長に耐えられずに逃げ出し、会長は会長の情婦によって「女」に盛られた毒を誤って飲んでしまい死にます。一方、マサオと恋人は母から返してもらった金とともにジョーのヨットに匿われ、そこへツンパが多数の部下を引き連れてやってくると、ジョーはツンパが乗って来たボートに金を持ったマサオと恋人を乗せて逃がし、自爆するふりをしてツンパらを海に突き落とします。
 マサオの恋人の実家である牧場にマサオらを探しに来たスマイリーとウィスパーは、無事にマサオらと会うことができますが、そこへツンパ一味と会長の手下たち、それに生き延びて病院を抜け出していた「楽隊」がやって来ます。銃撃戦が始まり、「ウィスパー」と「楽隊」は相撃ちで死に、ツンパの手下と会長の手下も全滅しますが、マサオをかばったジョーも死んでしまいます。ツンパはマサオの恋人を人質にして大金を奪って逃げ出しますが、誤って火山の噴火口に落ち、死にます。マサオの恋人は助け出され、突然現れた「女」も火口で大金を拾い、喜々として火口の淵まで登ってきますが、ジョーの死を知ったスマイリーは絶望の叫び声を上げるのでした。
 
 冒頭のシーンは、夜のロケとジャズの音楽がマッチした、メルヴィルの映画をも彷佛とさせるものでしたが、登場人物たちのリアリティのなさ(江原真二郎の異常性格者などは魅力的だったのですが‥‥)が画面構成の面白さを相殺しきれていない感じで、途中から退屈してしまいました。上記以外にも、山本麟一さんや関山耕司さんら、いい役者さんが沢山出ていたので残念です。一応、高倉健の出世作ということになっている映画です。

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石井輝男監督『花と嵐とギャング』その1

2011-08-25 05:16:00 | ノンジャンル
 蓮實重彦先生が著書の中で絶賛(?)していた『犬猫』の監督、井口奈己さんが監督・共同脚本・共同編集を手がけた'08年作品『人のセックスを笑うな』をWOWOWの192チャンネルで見ました。永作博美さん、松山ケンイチさん主演、美術は何と木村威夫さん、敢えて奥行きを消した画面で構成された映画でしたが、確かに冒頭のシーンを見た限り、結構面白そうだったのにもかかわらず、2時間超の時間を付き合う気にはなれず、早送りで見させていただきました。申し訳ありません。

 さて、石井輝男監督の'61年作品『花と嵐とギャング』をスカパーの東映チャンネルで見ました。
 羽田に着いた香港ジョー(鶴田浩二)は両脇を外人に固められ、拉致されそうになりますが、外人の車には彼の義理の弟のスマイリー(高倉健)が先回りしていて事なきを得ます。神戸の会長の元へ金を届けたジョーは会長から、ジョーの弟のマサオに最初の仕事として裏切り者の山田(潮健児)を始末をさせようと思っていると打ち明けられますが、仕事の話に私情は挟みませんと言って、ジョーは立ち去ります。マサオは原っぱで山田を射殺しようとしますが、家族がいると言って命乞いをする山田をなかなか殺すことができません。するとそこに現れたジョーは、お前に殺しは無理だと言って銃をマサオから取り上げ、殺すところを見ていたいかとマサオに言って、マサオをその場から遠ざけると、山田を沖縄に逃がしてやります。
 スマイリーが刑務所で3年を過ごしている間に、会長の片腕として伸し上がったツンパはスマイリーに銀行強盗の話を持ちかけ、実行部隊のリーダーにされたスマイリーは、スマイリーの妻でジョーの妹、マサオの姉でもある「女」と話し合い、マサオ、女癖の悪い「ウィスパー」、それに以前に何度も自分の女に手を出されたことを怨みに思い、ウィスパーの命を狙っている「楽隊」(江原真二郎)を加えて、銀行強盗の計画を立てます。しかしツンパは部下を強盗現場に潜入させて犯行のジャマをし、スマイリーを現行犯逮捕させて刑務所に逆戻りさせようとしているのでした。犯行当日。突然の雷雨の中、順調に犯行は進みますが、ツンパが送り込んでいた部下(八名信夫)が「楽隊」に掴みかかり、「ウィスパー」は反射的に二人もろとも撃ち、ツンパの部下を射殺、「楽隊」にも大ケガを負わせます。大金を無事に得た彼らでしたが、色気を出したマサオは金を一人で持ち逃げしてしまいます。ツンパとウィスパーはスマイリーと「女」にマサオとぐるなんだろうと言いますが、スマイリーは犯行を邪魔しようとした男がツンパの部下であることを見抜き、逆にそのことを会長に黙っていてやるから、マサオを許してくれるよう、一緒に会長に詫びを入れるようツンパに命じます。(明日へ続きます‥‥)

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柴田トヨ『くじけないで』

2011-08-24 00:19:00 | ノンジャンル
 トビー・フーパー監督、スティーヴン.スピルバーグ共同製作・原作・共同脚本の'82年作品『ポルターガイスト』をWOWOWで見ました。不吉な雲と稲妻、光に吸い寄せられる幼児、子供を取りかえす親という話。『未知との遭遇』の続編であることは明らかで(幼児の容貌までソックリ)、ラストの「これでもか、これでもか」というコケオドシには笑ってしまうほど楽しませてもらいました。

 さて、朝日新聞の特集記事「読んで感じる 時代の声」で紹介されていた、柴田トヨさんの'10年作品『くじけないで』を読みました。42編の詩からなる本です。
 柴田さんは、98才で初めて詩集を出したことや、その反響の大きさなどからマスコミに取り上げられるようになり、私も「報道ステーション」でその存在を知ったのですが、元来のへそ曲がりの性格から、まったく期待せず読んだところ、不覚にも2度涙してしまいました。
 その2編とは「命日に」と名付けられた詩と「こおろぎ」と名付けられた詩。引用させていただくと、前者は「あなたの 夢を見ました 健一に話したら 俺も会いたかった そう 言ってました よく 親子ゲンカ してましたね 私 おろおろ するばかりだった 今 やさしく してくれますよ 二人で詩を作ってるの あなたも 参加しませんか」、後者は「深夜 コタツに入って 詩を書き始めた 私 ほんとうは と 一行書いて 涙があふれた 何処かで こおろぎが鳴いている 泣く人遊んであげない コロコロ鳴いている こおろぎコロスケ 明日もおいでね 明日は笑顔で 待ってるよ」という詩です。
 他にも「目を閉じて」と題する詩(「目を閉じると お下げ髪の私が 元気に かけまわっている 私を呼ぶ 母の声 空を流れる 白い雲 何処までも広い 菜の花畑 九十二歳の今 目を閉じて見る ひとときの世界が とても 楽しい」)、「風と陽射しと私」と題する詩(「風が 硝子戸を叩くので 中に入れてあげた そしたら 陽射しまで入って来て 三人で おしゃべり おばあちゃん 独りで寂しくないかい? 風と陽射しが聞くから 人間 所詮は独りよ 私は答えた がんばらずに 気楽にいくのがいいね みんなで笑いあった 昼下がり」)、「貯金」と題する詩(「私ね 人から やさしさを貰ったら 心に貯金をしておくの さびしくなった時は それを引き出して 元気になる あなたも 今から 積んでおきなさい 年金より いいわよ」)が、特に強く胸に響いてきました。
 上記に引用させていただいたものは、実際の本の改行などを正確に再現したものではなく、また人それぞれで心に響く詩も違ってくると思うので、是非実際に詩集を手にしていただきたいと思います。大きな活字で、余白も大きく、持っているだけで開放的な気分になれる、そんな詩集だとも思いました。

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西伊豆への旅その3

2011-08-23 05:24:00 | ノンジャンル
 昨日WOWOWで放映された『Why not ワーグナー』を見ました。イスラエルでは未だにタブー視されているワーグナーの曲を、ドイツのバイロイトで演奏したイスラエル室内管弦楽団のドキュメンタリーだったのですが、演奏の前に楽団員がホロコーストの犠牲者を追悼するバッジを胸につけるシーンを見ていて、涙があふれて止まりませんでした。ホロコーストの記憶は、これまで読んだ本や見た映画によって、私の中に今でも生々しく生き続けているようです。

 さて、またまた昨日の続きです。
 翌朝早く目が覚めた私は、仁科の散策に。ここは海からの水路が多く流れていて、ちょっと柳川のような雰囲気のある地区です。昨夕歩いた時には、水路脇に多くの小さなカニが歩いていて、思わず微笑んでしまいました。複雑に道が入り組んだ地区もあり、楽しい散策となりました。
 さて、午前8時には堂ケ島遊歩道の場所へ。ここから堂ケ島遊歩道の下にある洞窟への遊覧船が出ています。始発のデッキに立つと、横の夫婦は昨日露天風呂で私に会ったとのこと。遊覧の間、話に花が咲きました。外洋は波が高く、しっかりつかまってないと海に投げ出されかねないほどの揺れです。安代岬、三四郎島を巡って、いよいよ洞窟へ。島と島の間の狭い場所を通り抜ける見事な操船に歓声を上げた後、洞窟に入ると、そこはまさに「青の洞窟」の世界! 天窓を下から見上げる景色も、乗客の人が皆、嘆息を上げるほどの見事さでした。
 その後、松崎の海水浴場でシュノーケリング。岩場の苔を食べる魚たちの姿を間近に見られましたが、ウェットスーツの準備をしていなかったため、足や手の指が傷だらけになった上、調子に乗って沖に向かって泳ぎ、急に冷たくなった海水に驚いた上に、いつの間にか足がつかない場所に来ていることに気付き、一瞬パニクって溺れそうになるという恐怖を味わいました。次回の海水浴への課題です。
 その後、海岸沿いに国道136号を北上し、黄金崎遊歩道へ。西風によって傾いた木々の林は見ごたえがありましたが、富士山はあいにくの靄で見えず。
 しかし、当初は行く予定がなかったにもかかわらず、昨日もらった観光マップで見つけた三滝遊歩道へ出かけてみると、これが大正解! 山深い石畳の道を登っていくと、不動神社があり、半開きの本堂の扉を開けると、何とも無気味な表情の御神体が。天狗をも祭ってあるという、その神社に思わず手を合わせました。本堂の裏にある「二の滝」も見事な高さのある滝で、マイナスイオン出まくりといった感じ。苦労して登ってきた甲斐がありました。
 そして最後に訪れたのが大瀬岬。国道136号、そして土肥からは県道17号を北上し続け、伊豆半島の北西の端にある岬です。一旦は入り口を通り越し、このまま帰っちゃおうかなとも思いましたが、時間がまだ早いこともあり、引き返すと、これまたまた大正解! 南国気分漂う海水浴場、そして岬の先端にある大瀬神社には天然記念物であるビャクシンの見事な天然林あり、不思議な神池あり、裏に回れば大平洋の外洋に続く石浜あり、スキューバをしている人も沢山ありとありありづくし! 今回訪れた海水浴場の中では、ここが一番雰囲気のある海水浴場だったと思います。
 そして帰路。県道17号から国道414号へ左折し、東名に入ろうとするところから渋滞に巻き込まれ、事故が3件も起きていた東名上りでは、秦野中井から激しい渋滞に巻き込まれ、結局家に着いたのは大瀬岬を出発してから4時間後の午後8時でした。たまたま旅の直前に宮田珠己さんの本『スットコランド日記 深煎り』を読んでいて、高速が渋滞している時は追い越し車線ほどノロいというのを読んでいたので、この時間で済んだのかなとも思いました。
 ということで、西伊豆、結構ハマリました。近いうちにまた行こうと思っています。

西伊豆への旅その2

2011-08-22 00:35:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
  県道59号を仁科峠まで戻り、廃墟のコテージの横を通る県道410号で西へ進むと、宇久須の海岸。その近くにある神洞滝が次の目的地です。ここは滝のすぐ近くまで車で行くことができ、かなりの高さのある滝を一人占めしながら、おにぎりの昼食を食べることができましした。
 そして堂ケ島に着いたのが午後3時頃。これなら明日に予定していた遊覧船に今日乗れちゃうぞ、と思ったのですが、あいにく波が高く欠航とのこと。明日に再チャレンジすることにして、母へのお土産を物色した後、堂ケ島の散策へ。この時点では堂ケ島の土地勘が今一つだったため、まず、たまたま目の前にあった観光案内所を訪れ、堂ケ島の観光マップをゲット。最初に堂ケ島の中央部にあたる堂ケ島遊歩道を一巡して、そこから見える三四郎島の景観や、天窓の見事さに嘆息した後、車に乗って南の沢田公園へ。ここの遊歩道は人気がなく、最初の道は膝の上まで草でおおわれていて、サンダルにバミューダ姿では足が傷だらけになることが分かり、残念ながら先に進むことを断念。その先の別の遊歩道はよく整備されていて、奇岩のかぶと岩を上から見ることができ、その裏にある「秘密」の浜辺で海水浴する家族も見ることができました。沢田公園の散策から帰ると、沢田公園の駐車場の上にある露天風呂へ。洗い場はほとんどなく、ただ湯舟に漬かり、海を上から眺めるという露天でしたが、神奈川から日帰りで釣りに来たという、高校の時同級生だったという社会人のグループとも楽しく話すこともでき、午後の日差しを浴びて、全裸で海に向かって仁王立ちしたりして、壮快感を味わったりもしました。
 そこからまた車で南下し、仁科の民宿「かとれや」に着いたのが午後5時頃。目の前にある堤防のすぐ向こうには砂浜が広がるという絶好のロケーションでありながら、人気はあまりなく、堂ケ島遊歩道のあたりの喧噪とは無縁の落ち着いた佇まいです。今晩、隣の松崎の町で花火大会があり、それが堂ケ島の夏を終わりを告げるとのことで、「かとれや」は夏に一度のお休みモード。客は素泊まりの私一人だけとのことで、貸し切り状態であり、しかも、隣のビーチハウスにはオーナーである石川遼くんが家族を連れて1年に1回の避暑に来ているとのこと。民宿の人は気をきかして、そのビーチハウス側の2階の部屋に通してくれ、「ベランダに出てバーベキューをしている遼くんが見れるかも」と言ってくれましたが、海辺の部屋で静かに読書をして過ごそうと思っていた私は複雑な気持ちでした。でもちゃっかりすぐに母へ電話して、その旨伝えてしまったりしたのですが‥‥。
 その後、車で堂ケ島遊歩道に戻り、「日本一の夕陽」と言われる風景を写真に撮った後、仁科に戻り、「かとれや」から徒歩で行けて唯一生ビールが飲める店だという串焼き屋のチェーン店へ。1時間余りの間に生中を3~4杯、レモンサワーを2、3杯、それに焼き鳥多数とサラダボールを一つ食べ、花火を見られない従業員の人にねぎらいの言葉をかけてから宿に戻り、堤防に登って松崎の花火を海越しに鑑賞。静かな潮騒と子供の声を聞きながらの花火も、夏の終わりというか、死者の送り火というか、何ともいえない風情があっていいものでした。(またまた明日へ続きます‥‥)