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チャーリー・チャップリン監督『サーカス・サウンド版』その3

2014-07-16 08:44:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 そこへ親方がやって来て「薬は?」と言います。「来い!」「医者に行く!」。親方に尻を蹴られると、口から薬が出てきます。親方は藁を積む仕事を指示して去ります。娘「こんな仕事をさせるなんて。ショーの人気者なのに」。本当?という表情のチャーリーに「もちろんよ。お客はあなたに拍手してるのよ」「やっぱり!」。盗み聞きしていた団長が現れ、娘をぶちます。「彼女を殴るなら僕はやめる!」と言って藁をひねりちぎるチャーリー。「正当な報酬を要求する」「週50ドル払おう」首を振るチャーリー。「60ドル!」「倍出そう!」「100ドル以下は嫌だ」。握手する2人。チャーリーは娘と手を取り合います。フェイドアウト。
 “次のショー”の字幕。入口に殺到する客。“放浪者の成功で娘と彼自身の生活は楽になった”の字幕。葉巻をくわえるチャーリーに下手に出る団長は、娘にも優しい態度で接します。占い師「マーナ、あんたの運勢を見てあげるわ!」。チャーリーは盗み聞きをしています。「恋愛と結婚がぼんやりと見えてるわ。美男子が近くにいる」。チャーリーは鏡を見て、はしゃぎ、道化を蹴飛ばします。尻っぱねする馬。チャーリーの頭に落ちてくる砂袋。チャーリーは娘に会うと照れて、また道化を蹴飛ばします。“追加アトラクション。綱渡りのレックス”の字幕。綱渡りの道具箱に足を乗せて靴を履いていた娘にレックスは「失礼」と言い、娘がどこうとすると「構いませんよ」と言います。一方、チャーリーは道化の指環を見て「5ドルで譲れよ」と言い、靴から札を出し、また道化を蹴飛ばします。娘「私、恋に落ちたわ!」チャーリーは盗み聞きしています。「相手は綱渡りよ。今そこで出会ったの」。うつむくチャーリー。「急げ、君の出番だ!」。積んだ皿を持ち、馬に追いかけられるチャーリー。フェイドアウト。
 “ショーが終わって”の字幕。レックスと娘が話し込んでいます。やって来たチャーリーに団長は「どうした? 客が笑わんぞ!」と言います。腰掛けたチャーリーの分身がレックスを殴り倒し、足で砂をかけます。娘はレックスにチャーリーを「私の友人よ」と紹介します。レックスの出番となり、チャーリーは娘と奥に行こうとしますが、娘に引き戻されます。「僕は綱渡りが嫌いだ」と言ってあくびをするチャーリー。娘は拍手します。レックスが足を踏み外そうとすると、拍手をしてはしゃぐチャーリー。やがてチャーリーは自分も綱渡りしている気持になりますが、バランスを崩しそうになったレックスが元に戻ると、舌打ちします。自転車に乗り、無事地上に戻ると、娘は拍手し、チャーリーは憮然とした表情になります。フェイドアウト。
 “月日とともにサーカスの様子も変わった。希望と野心が新たに生まれた”の字幕。娘とレックスは歓談していて、チャーリーは通り過ぎます。“彼の新しい野心”の字幕。綱渡りの練習をするチャーリー。現れた団長「綱渡りなんかよせ。お前は面白おかしくやればいいんだ!」。フェイドアウト。
 “次の出し物――客は1人も笑わない”の字幕。チャーリーにあきれる道化。娘は慰め、肩をそびやかすチャーリー。団長は「いいか、もう一度だけチャンスを与える」と言い、娘を荒っぽく扱います。怒るチャーリー。親方「レックスは?」サーカスの一員「綱渡りのレックスの姿が見えません」団長「レックスは?」チャーリーに「お前にできるか?」。チャーリーは激しく拒みます。「やらないならクビだ!」チャーリー「やるぞ、彼の衣装を!」道化といろいろ探していると、1つの箱からたくさんの猿が出てきます。驚くチャーリーと道化。チャーリー「服はあそこだ!」。服の上に猿が乗り、近づくチャーリーを威嚇します。出番を終えて去る娘を指差して、団長はサーカスの一員に「彼女の後を追え!」。服を着ようとするチャーリーを猿たちが邪魔します。親方「自殺と同じですよ」団長「心配するな、彼に保険をかけた」。道化「急ぐことない、他のショーがある」現れた娘「その姿はどういうこと?」チャーリー「彼に代わって綱渡りをする」「死ぬわ」「大丈夫、俺は不死身だ」。チャーリーが格好つけると、杖が針金に触れ、それによって吊られていた砂袋が頭上に降って来ます。砂袋を吊っていた男にチャーリーは「5ドルやるから頼む」と言って、針金で自分のベルトを吊ってくれるように言うと、男は引き受けます。「絶対秘密だぞ」とチャーリーは言い、手を叩いたら針金を引っ張るように打ち合わせをします。(また明日へ続きます‥‥)

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チャーリー・チャップリン監督『サーカス・サウンド版』その2

2014-07-15 09:32:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 “テスト”の字幕。「客を笑わせろ」。チャーリーは足を跳ね上げ、がに股で歩き、杖を股に入れてグイッと上げて脚を伸ばします。団長は頭を抱え「見てられない」「ウィリアム・テルをやれ」「これをよく見て要領を覚えるんだ」と言います。チャーリーは団長の椅子に座り、団長は後ろにそっくり返ります。2人の道化がリンゴを食べ合い、チャーリーは大笑いしますが、団長が笑ってないのに気づき、急に真顔になります。チャーリーの番になりますが、チャーリーが食べたリンゴには虫が入っていて、チャーリーは食べられず、自分の持っていたバナナを食べて、その皮を頭に乗せます。団長は怒り「床屋のショーをやれ」と言います。また団長の椅子に座ろうとしますが、間一髪元に戻すのに間に合います。2人の床屋が1人の客を奪い合い、最後には皆の顔が髭剃クリームだらけになるコント。チャーリーはまた大笑いし、団長の顔を見て急に真顔になります。チャーリーの番になりますが、チャーリーはクリームを避けてしまい、やっと顔にクリームを受けると、今度は目が見えなくなり、「ちょっと待て」とコントに割って入った団長の顔にクリームを塗ってしまいます。怒る団長にチャーリーは「まだ契約はしていない」と言って胸を張りますが、結局逃げ出します。「早く出て行け!」という団長の声に、クリームだらけの顔のまま去るチャーリー。馬と顔が会うと、馬は猛然と追いかけてきます。やっと追い払った後、娘と会い、顔を洗います。「はじまるぞ!」の声。「中に入りません?」と言う娘に首を振るチャーリー。「行ってしまうの?」「契約ができなかった」「玉子をありがとう」。娘が去ると、また馬が追いかけてきます。フェイドアウト
 “ショー”“小道具係とのトラブル”の字幕。「俺たちの給料は?」「仕事にかかれ!」「やめるよ!」。幕の穴から娘の姿を覗くチャーリー。去る小道具係が殴られ、失神すると、その体を横たえ、その上に乗って覗くチャーリー。親方「奴らはやめました」団長「代わりを探せ」チャーリーに「仕事がほしいのか?」。うなずくチャーリーの首根っこを持って親方が連れていき、積み上げた皿を舞台に持っていくように言います。そこに馬が現れ、積み上げた皿を持ったまま客席に飛び込むチャーリー。客はまた大受けです。親方に樽の中へ放り投げられるチャーリー。奇術師から「ボタンに触るな」と言われ、机を舞台に運び込みますが、結局ボタンを押してしまい、机の上に置かれたシルクハットから鳩や風船やアヒルや小豚が出てきて、また大受けします。目を剥く奇術師。机がひっくり返ると、地面に掘られた穴から人が出ています。「彼は人気者になるぞ。小道具係に雇っておけ」と団長。フェイドアウト。
 “サーカスは繁盛したが、小道具係は前と同じ。娘にはつらい日々が続いた”の字幕。空中ブランコの上にいる娘。チャーリーは食べ物を投げてやろうとしますが、団長が来たので、ジャグリングの練習をしているように見せかけます。団長が人と話している間に皿ごと投げて、その皿が団長の話相手の顔を直撃し、鳥のせいにするチャーリー。「奴には忙しい思いをさせて、人気者だと悟らせるな」と団長。親方は床の拭き掃除をしていたチャーリーに金魚鉢も磨けと言います。金魚を磨くチャーリー。“病気の馬”の字幕。「この薬を馬の口に吹きこめ」と言われたチャーリーは薬を飲み込み、喉を詰まらせます。「馬が先に吹いた」。また例の馬に追いかけられ、ライオンの檻に逃げ込んでしまい、扉の鍵も知らずにかけてしまいます。眠っているライオン。隣の檻に行こうとして虎に吠えられるチャーリー。犬が吠えかけてきて、自分の耳に栓をするチャーリー。犬はピョンピョンと飛び跳ね始め、チャーリーのズボンを噛みついたところで、娘が通りかかりますが、失神してしまいます。娘を目覚めさせようと水をかけていると、大あくびしたライオンは目覚めますが、チャーリーのそばに来ても何もせず、また檻の奥で寝転びます。娘がやっと気がつき、扉を開けてくれますが、チャーリーは余裕を見せ、ライオンに近づきます。咆哮するライオンに逃げ出すチャーリー。娘が見上げると電柱の上にしがみついています。手離しをしてみせたチャーリーは、やがて滑り降りてきます。「ライオンは危ないと注意したのに!」と娘。後ろにやって来た子猫に驚くチャーリー。(また明日へ続きます‥‥)

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チャーリー・チャップリン監督『サーカス・サウンド版』その1

2014-07-14 08:03:00 | ノンジャンル
 チャーリー・チャップリン監督・製作・脚本・音楽・主題歌歌手・主演の'28年作品『サーカス・サウンド版』をスカパーのイマジカBSで再見しました。
 空中ブランコを練習している娘。星が破られると、それは馬上の娘によって破られた紙に書かれていたものであることが分かります。舞台を後にした娘にサーカスの団長は「またフープをしくじったな」と言い、「許して、お義父さま」という娘の手首を取って突き飛ばします。「今晩は罰として食事は抜きだ」と言う団長。次に舞台を引けてきた道化たちは下を向き、団長は「客が笑うと思ってるのか」と罵倒して去ります。落ち込む道化たち。泣き続ける娘。フェイドアウト。
 フェイドイン。“見せ物小屋を歩いて腹がへり、金もなくなる”の字幕。新しい小屋の建設現場を見物している人たち。そこへ放浪者のチャーリーが加わると、隣の男が左の男の財布をすって、右にいるチャーリーのズボンのポケットに入れます。財布をすられた男はスリを捕まえますが、スリの体から財布は出てきません。チャーリーは彼らから離れ、ハンバーガー屋の前に行くと、話し込んでいる男が抱く子供をあやし、その子供が持っているハンバーガーに食らいつきます。一方、財布をすられた男はスリを警官に引き渡しますが、スリは隙を見て逃げ出します。追いかける警官。やがてチャーリーはズボンのポケットの中の財布に気づき、ハンバーガーを買って食べます。そこへ財布をすられた男がやって来て、財布に気づき、返すように言います。警官が現れ、逃げ出すチャーリー。追う警官。やがてチャーリーとスリは隣り合って走り、また違う方向へ逃げて行きます。チャーリーは先程の建設中の見せ物小屋に逃げ込み、鏡の部屋に入ります。方向感覚を失い、落とした帽子を拾おうとして何度も鏡に頭をぶつけるチャーリー。やがてスリもそこへやって来て、チャーリーに財布を返すように言いますが、チャーリーは見せ物小屋から逃げ出します。しかし、小屋の出口には警官がいて、チャーリーは仕方なく、仕掛け時計の一部になりきって身を隠します。騙される警官。しかし出て来たスリはすぐにチャーリーを見抜き、2人は揉み合いになりますが、警官が振り向くと、すぐに2人は仕掛け時計の一部と化し、チャーリーはスリの頭を何度も殴って失神させます。そこで警官にばれ、チャーリーは結局鏡の部屋で警官に捕まりますが、警官が出方で困っている隙にまた逃げ出し、サーカス小屋に逃げ込みます。道化の回転台の上で警官と追いかけっこをするチャーリー。客は大受けです。人間の瞬間移動の奇術が始まると、その装置の中に潜んでいたチャーリーは、また奇術をめちゃくちゃにさせ、客に大受けします。舞台から逃げ出したチャーリーは、そこにたまたまいた財布の持ち主と警官に財布を返すと、小屋の裏の手押車の中でに座り込みます。道化たちのつまらなさに罵声を浴びせる観客は、「さっきの面白い男を出せ!」と言います。眠り込むチャーリー。フェイドアウト
 “ショーの後の食事”の字幕。落ち込む娘に道化たちは食事を勧めますが、娘は「お義父さんに怒られる」と言って遠慮し、泣きます。団長は手押車の中で眠るチャーリーを発見します。「仕事をしたいか?」。うなずくチャーリー。「明日の朝にテストをするので、ここに来い」。
 “次の朝早く”の字幕。ポケットから塩を出してお湯に入れたチャーリーは、横切っていく鶏を追い、玉子を手に入れ、お湯に入れ、その場を一旦去ります。小屋から出て来る娘。“お腹がへって”の字幕。娘はチャーリーが置いていったパンを見つけ、かぶりつきます。戻ってきたチャーリーはパンを取り上げ、怒りますが、後ずさっていくうちにお湯の上に尻餅をつきます。パンを分けたチャーリーは、かぶりつく娘に、ゆっくり食べるように言いますが、娘はあっと言う間にたいらげます。やがて娘はしゃっくりをし始め、チャーリーにもそれが移り、チャーリーは娘に残りのパンを渡します。チャーリー「家に帰りなさい」娘「私の家はここよ」。そこに団長が現れ、娘からパンを取り上げ、殴ります。団長に連れていかれようとしたチャーリーは「ステッキを忘れた」と言って戻り、娘にゆで玉子を渡します。(明日へ続きます‥‥)

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ジェイムズ・キャメロン監督『アビス』&伊藤大輔監督『この首一万石』ほか

2014-07-13 09:36:00 | ノンジャンル
 ジェームズ・キャメロン監督の'93年作品『アビス・完全版』をWOWOWシネマで見ました。超高速で移動する物体を追っていて崖に激突し沈んだアメリカの原潜の乗組員の救出のために派遣された、海底の石油採掘クルーたちに起こる出来事を描いた映画で、ハリケーンのによる海上のクレーンの崩落で陥る海底基地の危機、原潜から取り出した核弾頭を起爆させようとする狂った大尉との戦い、浸水した深海艇から海底基地に戻る際、1人分の酸素を使って妻を仮死状態で運び蘇生させる現場リーダーの決断、液体酸素を使って海溝に降り、核弾頭の起爆装置を破壊する困難、それを行なった現場のリーダーを救う宇宙生命体との遭遇、その生命体によって人類を滅ぼすために起こされる巨大津波、そしてラスト、海上に現れる巨大な宇宙船というように、次々と用意されるイベントに3時間弱の長さもちっとも退屈でなく、深海艇のきれいな照明や、宇宙生命体の造形は、まさに海底版『未知との遭遇』でした。

 また、伊藤大輔監督・原案・脚本の'63年作品『この首一万石』もスカパーの東映チャンネルで見ました。御用道中に雇われたものの、人足代を嵩増した武士の責任を負わされ、殺されてしまう人足を大川橋蔵、橋蔵と相思相愛の長屋育ちの武士の娘を江利チエミ、その父を東野英治郎、橋蔵の人足仲間を堺駿二と大坂志郎、人足頭を吉田義夫、代官を平幹二朗、良い武士を水原弘が演じていて、ラストの橋蔵が槍を持った血みどろの殺陣が印象的でした。

 また、伊藤大輔監督・脚本の'65年作品『徳川家康』もスカパーの東映チャンネルで見ました。家康の母の嫁入りから桶狭間の戦いまでを描いたもので、織田信長を中村錦之助、家康を北大路欣也、家康の父を田村高廣、母を有馬稲子、祖父を加藤嘉、家康の重臣を内田朝雄と天津敏、家臣を山本麟一、今川義元を西村晃が演じ、他にも桜町弘子、山本圭、三島雅夫、千田是也らが出演していました。幼い家康が激しい波が打ち寄せる浜辺で拉致される、おどろおどろしい場面などもありましたが、台詞と演技が演劇的なのが気になりました。

 さて、山田太一さんがアフォリズムが満載されていると言っていた、フォースターの'36年作品『フォースター評論集』を読みました。
 表紙に「フォースター理解の鍵とされる」と書いてある「私の信条」の冒頭部分を引用させていただくと、「私は絶対的信条を信じない。しかし現代は信念の時代で、無数の戦闘的信条が横行しているから、自衛上誰も自分の信条を作らざるをえない。宗教的、民族的迫害によって引き裂かれた世界、無知がのさばって、本来なら支配者の位置についていいはずの科学が卑屈なおべっかつかいになりさがっている世界では、寛容とか善意、同情などでは間にあわないのである。寛容、善意、同情、ほんとうはこういうものこそ大事なのであって、人類が滅亡を免れるとすれば、遠からずまたこういうものが前面に出てくることだろう。だが、目下のところは、それは役に立たず、こういうものの働きは、軍靴に踏みにじられる一本の花も同じになっている。寛容、善意、同情といった精神は、たとえそのためにいささか粗野になろうと、みずから硬化する必要があるのだ。信条というのは、おそらく硬化というか、いわば心の糊づけであって、糊はなるべく少ないほうがいい。私は糊は嫌いである。こういうつっぱるものは、それだけで嫌なのだ。その点で、私は絶対的信条の価値を信じる世間の人たちとは違っているのだろうが、彼らにはあの程度しか信じるものがなくて気の毒に、と思うばかりである。私の立法者はエラスムスとモンテーニュであって、モーゼでもパウロでもない。私が詣でる社があるのはモリアの聖山ではなく、背徳者でさえ入れてもらえるというギリシャの極楽――エリューシオンの野である。私は『神よ、私は信じません――どうか許したまえ』をモットーとする。‥‥」
 この本も数ページ読んだだけで、先を読むことを断念しました。理由は『歴史とユートピア』と同じです。「プルースト」、「T・S・エリオット」、「ヴァージニア・ウルフ」、「ジョージ・オーウェル」など、魅力的な章立てがあっただけに残念でした。

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/

ニコラス・ローグ監督『美しき冒険旅行』&マキノ雅弘監督『玄海遊侠伝・破れかぶれ』他

2014-07-12 12:07:00 | ノンジャンル
 ニコラス・ローグ監督・撮影の'71年作品『美しき冒険旅行』をスカパーのイマジカBSで見ました。オーストラリアの砂漠の真中に車でやって来た父が自殺し、残された姉と弟が放浪の末に、16歳で仲間を離れて生活する“WALKABOUT(放浪)”をしている先住民の青年と出会い、姉にプロポーズして断られた青年が自殺した後、姉と弟が鉱山の廃墟に至り、最後にはその放浪を懐かしむという幻想的な映画で、野性の動物が多く見られました。
 また、マキノ雅弘監督・共同脚色の'70年作品『玄海遊侠伝・破れかぶれ』もスカパーの日本映画専門チャンネルで見ました。明治30年に朝鮮での出稼ぎから強制送還され、北九州の若松に帰ってきた、料亭の跡取ながら石炭の仲仕として働く吉田磯吉を勝新太郎、勝の姉で料亭の女将を京マチ子、朝鮮で勝とともに働き、結核を患いながら勝の味方として戦う剣士を松方弘樹、勝が跡取の料亭の座敷きに出て、勝と相思相愛ながら勝のために身を売り、最後には自殺する女を安田道代、勝の弟分の仲仕を津川雅彦、若松を支配下に置こうとするヤクザの親分を山本麟一、その代貸を岸田森、山本のバックにつく代議士を天津敏、勝が跡取の料亭の支配人を水島道太郎が演じ、アクションが終わる前のフェイドアウト、ラストの暗闇の中での殺陣は画面に物を映さないようにするかのような意図が見えるようでしたが、勝と安田の2度にわたる濡れ場はどちらも水辺に設定され、高架の上を走る機関車も二度現れ、安田が自殺して崩れ落ちる構図は見事なものでした。
 また、ベルナルド・ベルトルッチ監督・共同脚色、デヴィッド・ボウイ主題歌の'12年作品『孤独な天使たち』もWOWOWシネマで見ました。学校のスキー教室をさぼって、自宅の地下室で過ごす14歳の少年と、彼と一緒に1週間を過ごすことになる彼の義姉の物語で、主演の少年が『時計じかけのオレンジ』のマルコム・マクダウェルにそっくりでした。
 また、マキノ雅弘監督の'67年作品『日本侠客伝・白刃の盃』もスカパーの東映チャンネルで見ました。先代(内田朝雄)から銚子の魚のトラック運送業を継ぎ、堅気になった社長を菅原謙二、先代の子分で組を継ぎ、馬車人足たちを捨て、新たにトラック運送会社を始めて菅原の会社をつぶそうと画策する男を天津敏、先代の代貸で刑務所に入っている間に妻を天津に犯され、天津に殴り込みに行くものの、逆に返り討ちされてしまう男に大木実、その自殺する妻を松尾嘉代、先代の子分で今はトラック運転手らが立ち寄る飯屋の親父ながら、大木と天津に殴り込みをかけ、やはり返り討ちされる男に伴淳三郎、菅原の許で働くトラック運転手で、天津の店で働く娘(宮園純子)に惚れ、天津にスカウトされて情報を渡してしまい、かつての同僚を死なせ、結局天津に殺される男を長門裕之、菅原の許で働くトラック助手を砂塚秀夫、病気の妻(藤純子)を連れ、銚子にやって来て、菅原に雇われ、最後に天津を殺す元侠客を高倉健が演じていて、長門と宮園の濡れ場は二度とも水辺に設定されていましたが、やはり画面を黒で塗り込めていくようなフェイドアウトが印象的な、静かな感じの残る映画でした。
 また、カトリーヌ・コルシニ監督・共同脚本の'12年作品『黒いスーツを着た男』もWOWOWシネマで見ました。数日後に社長の娘との結婚を控え、社長の店の支店長になったばかりの若者が、不法滞在の男をひき逃げで殺してしまい、その目撃者の女性を通して、被害者の妻に金を渡すことによって、全てを失っていく姿を描いた映画で、構図の映画というよりも、演出の映画であるように思いました。
 また。加藤泰監督の'58年作品『風と女と旅鴉』もスカパーの東映チャンネルで再見しました。暴れん坊の父とともに町を追放され、流れ者となった風間の銀次(中村錦之助)が、やはり流れ者の刈田の仙太郎(三國連太郎)と故郷に戻り、山賊の鬼鮫の半蔵(進藤英太郎)に対する用心棒として町に雇われ、甚兵エ(加藤嘉)の家に住み、町の有力者(殿山泰司)の娘(丘さとみ)と恋に落ちますが、自分に冷淡な町民に嫌気が差し、一旦は半蔵に味方するも、結局仙太郎を見捨てることができずに、半蔵に刃向かい、最後は1人旅に出るという物語で、既にローポジションのカメラの見事な構図の画面が多く見られ、真っ暗闇の中の殺陣が印象的でした。

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