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マーティン・スコセッシ監督『アビエイター』その13

2017-09-25 06:05:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 「機内からお届けします。ハワード・ヒューズの世界最大200トンの飛行機。軍需契約の調査が行われた、いわくつきの大空の巨人です。ヒューズ氏は言いました。“水上走行試験では何が起こるか分からない”と」。“1947年11月2日 ロング・ビーチハーバー”の字幕。「マンモス機の外壁が大波をかぶるかもしれません。本格的な空の飛行は来春から。まだまだ未知の飛行機のようです」ハワード「諸君、まだ拍手は早い」。「記者席はヒューズ氏の後ろです。窓から見事な眺望が広がります」。「教授も前に来てくれ。シートベルトを締めて眺めを楽しもう。みんな、行くぞ。始動だ。第一エンジン、第二オーケイ。第三、第四オーケイ。第五、第六オーケイ。第七、第八オーケイ。スロットル全開」オーディ「スロットル全開」「大声を出さないと自分の声も聞こえません」。「プロペラ始動」「了解」「ふフラップ15度」「フラップ15度。ハワード、飛ぶには時速112キロが必要だぞ」「分かってる」。「南カリフォルニア沿岸は雲一つありません。澄んだ青空。温かい日差し」。オーディ「時速40キロ。48キロ。56キロ」。「このエンジンですから、かなり揺れるはずです」オーティ「落ち着いて行け。時速64キロ」「右スロットを使って180度旋回」「右スロットを使って180度旋回」。「クルーは4名ですが、この処女滑水に11名の整備員を動員。飛行艇の各所に配置して万全のチェック態勢です」「エンジン音は?」「問題ない。教授」「何か?」「頼みがある。窓から見て風速を教えてくれ」「およそ15ノットの風だな」「つまり向かい風だな。教授」「その通り」。
 「審理中はどうぞ静粛に願います。立って誓約を。400万ドルを受け取りましたか? 100機のXF--11偵察機を製造し、空軍に納入するために」「はい」「アメリカ空軍に何機納入しましたか?」「ゼロです」「もっとマイクに近づいて」「ゼロです」「1300万ドルは受け取りましたか? 飛行艇“ハーキュリーズ”の試作機製造費として」「受け取りました」「それで納入は?」「してません」「あなた自身が今認めたように4500万ドル受け取った。アメリカ政府から未納の軍用機の代金として」「その通り」「ではお尋ねするが、そのお金はどこに?」「それ以上のカネを飛行機に注ぎ込んだ」「それ以上? 他にも横領にかかわった訳ですか?」「自分のカネを注ぎこんだということです。自分のカネだ。つまり……」「ヒューズさん、あなたの財力は……。彼の話を聞こう。続けて」「私の最大の関心事は何と言っても飛行機だ。自分のカネを注ぐのは大きな喜びだ。その結果大金を失った。今後も失うだろう。それでも構わない。戦時中に政府のカネを使い込んだと言うなら、こう考えてほしい。他に60機以上の発注を受けたロッキード、ダグラスなども納入していない。総額8億ドルが発注されたが、1機も飛ばない。さらに60億ドルを超える兵器が納入されていない。なのに5600万ドルのヒューズ・エアクラフトだけが調査委員会に召喚された。飛ばない飛行機よりも、TWAの問題だからだ。指摘の通りだ。待て。この委員会にもう一つ言うことがある。“ハーキュリーズ”について。私に悪い評判が立っている。気まぐれだとかプレイボーイだとか。エキセントリックとも言われるが、嘘つきじゃない。“ハーキュリーズ”は記念碑的な大事業だ。史上最大の飛行機で、高さは5階建てビル。幅はフットボール場並み。1街区の規模だ。私の心血を注いだ名誉ある作品だ。だから表明した。“飛行テストが失敗したら祖国を去って戻らない”と。本気だ。ブリュースター議員、何度でも召喚しろ。逮捕するがいい。私が逃げたと公表するがいい。茶番にはウンザリだ。失礼する」。立ち上がり、去るハワード。拍手する者、握手を求める者も。
 トリップ「もうテレビは消せ」「まだです」「終わった。CABは通過しない。TWAはNYからパリへ飛ぶ。パリからモスクワ、日本、ハワイ、もちろんロサンゼルス、そしてNYへも。負けた」。
 「パワー全開」「パワー全開」「ヒューズ氏は“警告”していました。“すごい馬力なので、しっかりつかまれ”と。時速は40キロ、48、56、64。スロットルを開けて。64、72、80、88、96、104、112、120」。離陸して揺れが収まる。「一瞬静かになって空中に浮きました」。拍手。「飛んでいます。ハワード・ヒューズの快挙です。皆さん、本当に空を飛んでいます。ヒューズ氏の巨大な飛行艇がL.A.ハーバー上空を飛行しています。まさに感動の瞬間です。ヒューズ時代の到来を予感せずにはいられません」。(また明日へ続きます……)

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マーティン・スコセッシ監督『アビエイター』その12

2017-09-24 04:47:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 散乱しているハワードの家。エヴァ「私のために服を着たのね。入っても?」「ああ、どうぞ、入ってくれ。よく来たな」「まずお酒を一杯」「待て、動かないでくれ。ここなら安全だ。無菌ゾーンだ。分かるか?」「試してみるわ」「ダメだ、行ってくれ」。紙テープを張り巡らされている部屋。「まるで豚小屋ね。さあ、いい男にしてあげる」。髭を剃るエヴァ。「いつワシントンへ?」「1週間後、いや、一週間以内。今日は何日?」「焦らないで」「だが僕には見える」「分かるわ。顔を洗って。手を濡らして石鹸で洗うの。私はどこにも行かないわ」「クリーンか?」「クリーンなものはないわ。ベストを尽くすだけ」「ああ」。顔を洗うハワード。
 鏡を見るハワードはパリッとしたスーツ姿。「どう? パリっとした?」「いい感じだ」「素敵よ」「結婚するか?」「私に夢中なのね。帰るわ」「ああ、ありがとう」。頬にキスして「頑張って」と言い、去るエヴァ。
 記者の放列。“1947年8月6日 ブリュースター議員の公聴会一日目”の字幕。ハワード着席。照明がたかれ、複数のテレビカメラがハワードの方を向く。「お静かに。皆さん、審理中はお静かに願います」。貧乏ゆすりをするハワード。「ヒューズさん、誓約を。当委員会に語る内容について真実のみを語ることを神に誓いますか?」「誓います」「大きな声で。君が難聴なのは知ってる」「そいつはいい。難聴を隠さないで済む」。笑い。「委員会の目的は……」「その前にヒューズ氏からの声明があります」「では読み上げてください。ヒューズさん」。テレビカメラがハワードをアップに。「声明文を」。ハワードは書類をジャックに手渡す。「私は公聴会で正直に話すつもりだ。評判は失墜した。今の持ち札は全て出す。上院議員、真っ赤な焼きごてを私に押しつけなければ、あなたのスタンドプレーに喜んで敗北宣言をしただろう。私は一介の市民だがあなたは上院議員、権力を持っている。だが、こんな臭い芝居はたくさんだ!」「そこまで」「嘘つき呼ばわりされた。“泥棒”、“戦争成金”」「発言を控えて」。ハワード、立ち上がり、「真実を言ったらどうだ? 真実を言えばいい。この調査が始まったのはTWAが欧州就航を決めた日だ。TWAがパンナムの領空を侵犯した日だ」「着席を」「TWAが航空界の常識に挑戦した日。偉大なパンナムの大西洋利権に対して」「演説は禁ずる」。(中略)
 「ジョニー・メイヤー氏からの17万ドルの領収書です」。“2日目”の字幕。「彼は部下ですね」「そうです」「彼の役職は?」「部下は大勢いるのでよく知りません」「ならばTWAの広報担当が勝手に空軍の代表に17万ドル支払ったのですか?」「知りません。本人に聞けば?」「手配を」「手配? 既に先週3日間彼を証言台に立たせた」「それでも再喚問したい。呼び戻してくれないか?」「呼び戻しません」(中略)「空軍に渡った17万ドルの使い道は、ホテルの宿泊代、TWA株、女性との交際費。これらはワイロだと考えられませんか?」「ワイロでしょうな」「もう一度」「ワイロと考えられると言いました」「もう少し説明してください」「航空機ビジネスをご存じないだろうが、空軍幹部への接待は日常茶飯事だ。大口契約を取るために主要メーカーは皆やってる。善悪はともかく違法行為ではない。あなたは立法府の人だ。空軍幹部の接待を禁じる法案を通せばいい。喜んで従おう」。
 「あなたの話は嘘だらけだ」。“3日目”の字幕。「質問事項は議長に提出を」「聞きたいことは200から500ある」「そう思うのは冨と権力の奢りだ。委員会のメンバーを脅迫する気か? 質問は議長に」「ズバリ聞こう。2月12日メイフラワー・ホテルで、あなたはこう言わなかったか?“私がTWAをパンナムに売れば公聴会を中止する”と」「言ってない。質問は提出を」「ホアン・トリップは?」「よく知ってるが今は関係ない」「この前の選挙戦で彼から2万ドルの寄付を受け取ったはずだ。便宜供与の代償に。パンナムからタダ券をもらい、CABの根回しをしたのでは?」「違う」「法案の起草者は? 実際にCABを書いたのは? あなた自身か? 法案があるので思い出してほしい。“民間航空法改正のための法案5--987”。パンナム幹部が書いた法案だ。パンナムが国際線を独占するために、そのために法案をネジ込んだ」「私には世界中から託された任務がある」「メーン州の議員が何のためにペルーに行く?」「わが州の特産品の販路を開拓するためだ」「ペルーでロブスターを? この3ヶ月にトリップ氏に会いに何度NYに行きましたか? 私から言おうか」「いや、いい。彼は立派なアメリカ人だ。パンナムは数十年来、全国の航空事業を推進。トリップ氏は愛国者だ。儲け主義の男とは違う」「パンナムの株主は喜ぶでしょうな」「これで閉会します」(また明日へ続きます……)

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マーティン・スコセッシ監督『アビエイター』その11

2017-09-23 05:57:00 | ノンジャンル
 また昨日からの続きです。
 ブリュースター「とりわけムダな巨大プロジェクトについて。空飛ぶ物置場のような飛行機について。“木のガチョウ(スプルース・グース)”だ。召喚する」。
 スクリーンを見て「美しい風景だ。砂漠が好きだ。砂漠は暑いがクリーンだ。眠らないと。その前に何か飲もう」。6本の並べられたミルク瓶にスポットが当たっている。「待てよ。酸っぱいかも。もし腐ってたら? ミルク瓶を右手で取るな。右手はダメだ。左手で瓶のふたを取ってはいけない。ポケットに入れとけ。左のポケットに」。ドアにノック。「ハワード、ケイトよ。話があるの。聞こえる? 入るわよ。今すぐ」。ドアには鍵がかかってる。「ドアを開けて」「それはできない」「嫌なの? 顔を見せて」「ヒゲを剃ってない」「私だってノーメイクよ。お願い。中に入れて」「声は聞こえる。エンジンのうなる操縦席にいても」「私の声がバカでかいからね。お礼を言いたいの。彼と私のために密会写真を買い占めてくれて」「愛してるのか?」「彼は私の全てよ」「役に立ててうれしいよ。もう帰ってくれ」「お願い、開けて」「帰ってくれ。きっとすぐにまた会えるさ。また一緒に遊ぼう」「そうね。また飛行機に乗せて。私が操縦するわ。そこにいる? ハワード? いるの? 返事して。聞いてる?」
 サンドイッチにたかる蟻たち。
 荒れ放題の試写室。「ミルクを持って来い。ミルクを持って来い。ミルクを持って来い。ミルクを持って来い。(髭面)ミルクを持って来い。ミルクを持って来い」。
 「右手でバックを開ける。45度の角度でバッグを差し出せば、バッグの中に手が届く。紙に触れずに済む。最初から繰り返せ。最初から繰り返せ。最初から繰り返せ。(全裸)これらの指示にたとえわずかでも変更がある場合には、全ての手順を繰り返せ。最初から。繰り返せ、最初から。ミルクを持って来い」。ミルクの空き瓶の列。「R・N・T・Q・U・E・I・N・E・N・E・E・I」。「ハワード」「誰だ?」「ホアン・トリップだ」「ホアン、ホアンか?」「会う約束だったな」「覚えてるさ。風邪をこじらせて、うつすと困るから外で座ってくれ」「座ったよ。会計報告を持ってきた。パンナムの株価は13ドル63セント、TWAの株価は4ドル25セント」「やめてくれ。株価の話はやめろ! TWAも売る気はない。君に買えるもんか。国内線は2倍の価値がある」「パンナムの株価はTWAの3倍だぞ」「君の言い分は通らない。僕が言っているのは君には国内線がないことだ。地球を支配する気か? 僕は売らない。絶対に。忘れるな。ブリュースターが味方だろ?」「私の力じゃない。メーン州の有権者のお陰だ」。パイプに火をつけるトリップ。鍵穴から煙。「僕が公聴会に出たら厄介なことになるぞ。みんなにとって」「困るのは君だろ? 米国兵士が戦死している間に君はハレンチな映画を撮り、飛ばない飛行機を造った」「フェアじゃない。XF—11は1時間45分も飛んだぞ。君も乗ればよかったな。爽快な空の旅さ」「“木のガチョウ”の言い訳か?」「“ハーキュリーズ”だ! ちゃんと飛ぶぞ!」「そう願うね。1300万ドルは国民に還元すべきだ」「TWAは絶対に売らないぞ!」「だろうな。分かるよ。だが必ず手に入れる。君は公聴会で名誉を失い債務不履行に。TWAへの追加融資は受けられん。ヒューズ・エアクラフト社の経営ミスも暴かれる。倒産の憂き目だ。だがヒューズ・ツール社がある。ヒューストンで再建しろ。君のためだ。パンナムはTWAを買収する。“コンステレーション”はブルーと白に塗られ、君が戻る頃にはパンナム機になってる」「追いつめる気だな。僕を苦しい立場に」「公聴会ではもっと苦しいぞ。さらし者だ。カメラの放列。記者ども。君は人込みが大嫌いだろ? その点は何とかしよう」「気を遣わせて悪いな、ホアン。親切だな。感動するよ。嬉しいよ。ノアが空港まで送る。安全な旅を。無事で」「君も早く風邪を治せ」「心配するな。すぐ治るさ」。トリップ、去る。
 「公聴会に出れば世界中に知られるぞ。彼は正気じゃない。公聴会は3日続く。部屋から引きずりだせ」。
 カラーの画面。マシンガン。空中戦。床で苦しむハワード。
 ハワード、試写室の外へ。髭ボウボウ。女性「ヒューズ社長?」「靴がない。用意しろ」「靴を。オーケイ」。(また明日へ続きます……)

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マーティン・スコセッシ監督『アビエイター』その10

2017-09-22 05:12:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
ハワード「いつまで足止めだ?」ジャック「事故調査が終わるまであと数ヵ月。1400万ドルの赤字だ。早く旅客機を飛ばさないと」「国際線で取り戻す」「CABが通ればパンナム以外は国内線だ」「法案と闘う」「その間のTWAの運航はどうするつもりですか? “ハーキュリーズ”にカネを注ぎこんでも空軍は発注しません」「ジャックは楽観的だが僕は帳簿を見ている。ハッキリ言って深刻な状況だ。どっちかを選択しなければならない。飛行艇で破産か、航空会社で破産か。信託銀行のT・パーキンソンに会い、TWAの全施設と資本で融資を引き出せ。飛行機も担保に。ペンもデスクも担保にして4000万ドル借りる」「債務不履行になれば?」「トリップが買い上げるさ」。
 エヴァ「私のベッドに盗聴器を仕掛けたわね!」「君のことが心配だったから。車の男は誰?」「私を一日中見張ってる」「君を守るためだ!」「危険人物はあなたじゃないの? 私は所有物じゃない。10代の娼婦や飛行機とは違う」「盗聴器は全て外す。君の居所を知りたいだけ」「なぜ?」「心配だからさ!」「ウソよ! “盗聴器全て”? “全て”って何よ?」「他にもある」「いくつ?」「さあ、12個ほどかな」「電話にも? 電話にも仕掛けてあるの? 電話を盗聴?」「そんなマネは絶対にするもんか。通話履歴を読むだけだ」「何を知りたいの? 昨夜A・ショーと浮気したこと? 一昨日フランク・シナトラと寝たこと? 頭がいかれてる。ケイトが捨てるはず」「黙れ!」「出てって、変態野郎! 出てけ!」。ハワード、去る。
 ジャック「大丈夫ですか?」「盗聴器を外せ。寝室の電話はそのままに」「FBIが家宅捜索です」「強引すぎる」。
 ハワード「ここにあるのは私物ばかりだ」。弁護士も来る。警官「捜査令状だ。邪魔するな」。部屋を散らかし、汚すFBI。「ヒューズ邸に来客。美人女優でなくFBI」。
 ハワード「ノア、助けてくれ。これで10回目の捜索だ。噂によれば黒幕はブリュースター議員。FBIが飛行家の屋敷を占拠。奴らが触ってる。ベタベタと」「落ち着いて。すぐ行きますから。ハワード?」。ハワード、受話器を落とす。
 “1947年2月12日 メイフラワー・ホテル ワシントンD.C.”の字幕。トリップ「ハワード君、また会えましたね。中へ。(メイドに)ランチの支度を」「素敵な部屋だ。内装も趣味がいい」「ありがとう。イスにかけて。よく来てくれた。2人だけで話したかった。オフィスの外で」「望むところです」「CABに強く反対してるんだな?」「あなたはゴリ押しだ」「私が出した法案だからな。率直に言ってアメリカの国際線は一社で手一杯だ」「それがフェアだと? 国際線の一社独占が」「独占? そうじゃない。一社の方がうまくいく。ムダな競争がない。旅客のニーズを第一に考えるべきだ」「あれは何の絵かな? あの動物は? ヤクの仲間かな?」「いや、ラマだ。妻がぺルーで買った絵でね」「すごいな。本物のラマか。ペルーで?」「一年前だ。そうだ」メイド「ランチです」トリップ「食事にしよう」「本物のラマを?」「いや、絵を買っただけ」「興味深い動物だ。本で調べてみよう。“ラマ”の綴りはフェルナンドラマスと同じ?」「いや、動物のラマはLが2つだ」。料理がテーブルへ。「カワマスは好きかな?」「好物だ」「君は酒を飲んでないから水でいいかな?」。コップに指紋。「どうも」と指紋を避けてコップを持ち、水を飲む。「では仕事の話を。捜査官は見事に悪事を暴いてくれたよ。明るみに出ると困るだろ? 君を助けたい」「ご親切に」「私の委員会は公聴会を開く権限がある。君を救いたい」「今さら」「いいかね。戦争成金として歴史に悪名を残したいか? そうか? どうしたい? 私の法案を支持してくれるなら、公聴会は開かない」「断る」「なぜ?」「CABはTWAの命取りだ」「TWAはパンナムに売却すればいい値で売れる」「売れば公表しないと?」「調査は終わりだ。誰にも悪事はバレない。みんな安泰だ」「ブリュースター議員がどうも気になるんだ。あの絵は去年購入したのか?」「ああ」「船でペルーに?」「いや、空路だ」「飛行機か?」「ああ。私に挑戦する気か? 戦争を仕掛ける? 戦うのは私ではなくアメリカ政府だ。ドイツと日本に勝ったが君は何をした?」「トリップに伝えてくれ。花のお礼を。僕にゴマすってもムダだってな」。ハワード、去る。廊下で崩れ落ちるハワード。
 「詳細なリストを入手した。ヒューズ氏はアメリカ政府から5600万ドル搾取している。戦争のさなか、ノルマンディーで兵士が死んでる時に彼は税金を横領していた」。
 ハワード、試写室で「眠るぞ。この部屋で」。
 ブリュースター「ワシントンの公聴会に引きずり出し、嘘を暴く」。
 試写室。「僕の部屋だ。寝床だ」。
 ブリュースター「彼にはいろいろ証言してもらう」。
 ハワード「椅子もある」。(また明日へ続きます……)
 
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マーティン・スコセッシ監督『アビエイター』その9

2017-09-21 05:03:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 オーディ、操縦桿を手にして「8000種類も見たはずです。ここから一つを選んでください」「これだ。感触が一番しっくりくる」。清掃する老人。「清掃している男だが、雇っている男か? 見たことあるか?」「ニックという男です」「僕を見てる」「そうかな」「クビにしろ。今後は濡れモップを使え。呼吸器疾患で訴訟されると困る」「オーケイ。計器盤はどれにするか決めてください」「青写真を見せろ」「ハワード、グズグズしてたら戦争が終わってしまう。この場で決めてくれ。映画からも手を引いてくれ。従業員があなたの決断を待ってる」「オーディ! 落ち着け。君のプレッシャーは分かるが、そう焦るな。数時間休め。リラックスして奥さんに会って来い。青写真を見せろ。青写真を全て見せろ。本気だぞ。青写真を見せろ。青写真を見せろ。青写真を見せろ。青写真を見せろ。とにかく早く見せろ。青写真を見せろ。青写真を見せろ。青写真を見せろ」「ハワード!」。
 車中。ハワードの心の声「伝染病予防のための隔離、Q・U・A・R・A・N・T・I・N・E、Quarantine」。
 “1946年7月7日 XF-11 テスト飛行”の字幕。ハワード「少佐、大佐、ご苦労様です」。
 操縦席についたハワード「オーディ、聞こえるか?」「よく聞こえる」「全て作動を」「幸運を」「操縦桿にグレーフがない」「落ち着いて行け。音は?」「僕に囁いてる」。離陸。「飛んだぞ!」「おめでとう。車輪を引っ込めて。高度1524メートルへ。方位2---7---0」
「車輪を引っ込めて。高度1524メートル。方位2---7---0へ。メチャ速いぜ。対気速度は?」「時速467キロ。320まで下げろ」「嫌だね。雲の上に」。
 “1時間45分後”の字幕。「地上に戻れ。予定の1時間45分を過ぎた。方位0---9---0へ」「あと10分」「ダメだ。すぐ帰還せよ」「分かった。方位をセット。0---9---0。降下準備」。機体、突然バランスを崩す。「右翼が傾いた。エンジンがおかしい。毎分2800回転に上昇」「右エンジンの回転数が上昇」「ダメだ! 機体が降下してる」「気圧を調べろ」「問題ない」「右のプロペラは?」「待て、回ってるが右に傾いてる」「他を試せ」「方向舵と補助翼を一杯にしても安定しない」「現在地は?」「高度510メートル、ビバリーヒルズか。457メートル、どんどん降下してる! カントリークラブの9番ホール辺りだ」「ゴルフ場だな。回転数を1000に下げろ」「突っ込むぞ! 操縦不能だ!」。人家の屋根や電信柱を壊しながら火を噴く機体。火に包まれた機体から、何とか脱出するハワード。ズボンの火を消してくれる男。「他に誰か乗ってるか? 同乗者は?」「いない。僕はハワード・ヒューズ。飛行家だ」。
 「全身の78%がヤケド。肋骨が9本粉々に。鼻、アゴ、頬骨、ヒジも同じ状態。裂傷は60箇所。胸骨が折れて左肺がつぶれ、心臓が右に移動してる」「ひどいな」「今輸血中です」「誰の血を?」「何と?」「血は?」「ストックです」「彼は嫌がる」「ディートリッヒさん、好き嫌いでは済みませんよ。申し訳ないが」。医者、去る。
 眠るハワードを見つめるノア。
 オレンジジュース。ハワード「病院が出すオレンジジュースは新鮮じゃない。だからここで作らせている。この姿を見ろ。モンスターだ。オレンジジュースの栄養価は高い。窓の外に蠅がいた」「そうさ、ハワード坊やの好物は柑橘類だ」「だから原因は?」オーディ「オイル・シールが右プロペラからはがれた。圧力が低下し、プロペラが逆ピッチに。分かりますか? 残念ながらもう一つ悪い報告があります。言っても?」「ああ」「空軍が“ハーキュリーズ”の契約をキャンセルです。戦争が終わって、もう必要ないそうです。今夜はどうします? スタッフの解雇を?」「どれだけかかる?」「完成までに半年」「いや、金額だ」「700万ドル。それに人」「造れ。完成させる」「ハワード、“コンステレーション”がレディングで墜落した。全機に飛行停止命令が出た。知ってるか? トリップが花をくれた。他の花は?」「部屋から出した。アブラムシがつくからな。アブラムシは恐ろしく小さい虫だ。だが、この花は毎日でも見ていたい」。
 「史上最大の飛行機、白い象は本当に飛ぶのでしょうか? そびえたつ巨体。ヒューズ氏の造った飛行艇は5階建てビルよりも高く、全長67メートル。電線を切っての移動です。カルヴァーシティから48キロ先の太平洋まで60トンの移動は技術的にも大変です。巨大な機体が果たして飛び立てるのか。片翼だけで49メートル、エンジンは4つ搭載、翼を広げれば2倍の長さ、まさに山に匹敵する大きさです」。(また明日へ続きます……)

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