ローマ法王が中東歴訪
「和平進展に寄与」表明
【カイロ=松本眞志】ローマ法王ベネディクト十六世は八日、ヨルダンの首都アンマンを訪れ、二回目の中東歴訪を開始しました。
法王は到着後の記者会見で、「イスラム社会に対する深い尊敬の念を表明する機会を与えられたことに感謝したい」と述べ、ヨルダンのアブドラ国王がイスラムへの理解の促進に寄与しているとたたえました。
法王の中東歴訪は「文明間の対話」の一環であると同時に、過去のイスラム教「批判」発言による反発を払しょくする狙いもあります。
法王は二〇〇六年、東ローマ帝国皇帝の言動を引用してイスラム教と暴力を結び付けた発言でイスラム諸国から抗議を受け、謝罪しました。
今回の訪問では中東和平プロセスへの対応も注目されます。法王は十一日までヨルダンに滞在し、イスラエルに向かいます。ヨルダンに向かう機内で法 王は、「私は個人としてではなく、ローマ・カトリックの名において和平に貢献するつもりだ。われわれは政治勢力ではないが、精神的な影響力をもち、この力 は和平プロセスの進展に寄与できる」と語りました。
ローマ法王庁はイスラエルとパレスチナの「二国家共存」への支持を表明しているため、パレスチナ国家実現に消極的なイスラエル新政権の対応が注目されます。