韓国「戦時作戦統制権の返還条件を早期に整える」…
米国「時間を要する」ブレーキ
登録:2020-10-16 06:46 修正:2020-10-16 08:13
韓米国防、安保協議会の共同声明
未来連合司令部の能力を検証評価
コロナ禍により日程に支障をきたし
「戦時作戦統制権の議論をさらに進めることに」
米国、決心したかように防衛費増額を迫る
「韓国の安保により多くの寄与を」
声明書から「在韓米軍の現在の水準を維持」が除去
共同記者会見の計画も突然取り消し
「主要な懸案での意見の相違のためでは」観測
ソ・ウク国防長官(左側2番目)とマーク・エスパー米国防長官(1番右)が14日(現地時間)、米国ワシントンの国防総省の庁舎で開かれた第52回韓米安保協議会の(SCM)で向かい合い、案件を論議している=ワシントン/AP・聯合ニュース
ソ・ウク国防長官と米国のマーク・エスパー国防長官は14日(米国時間)、安保協議会議(SCM)を開き、戦時作戦統制権(戦作権)の返還問題を論議したが、早期返還の日程の不確実性をうまく解消することはできなかった。韓米間の戦作権早期返還をめぐる不協和音の火種は、完全には消えないとみられる。
両長官は会談後に発表した共同声明で「戦作権が未来連合司令部に転換される前に、相互で合意した戦作権転換計画に明示された条件が十分に満たされなければならないという点を再確認した」と明らかにした。韓米は2014年に戦作権返還の条件として、共同防衛を主導する核心軍事能力▽北朝鮮の核とミサイルの脅威への対応能力▽朝鮮半島および域内安保環境などに合意したことがある。韓国側の早期返還要求に対し、このような条件が先に満たされなければならないという基本の立場が、再び強調されたのだ
第52回韓米安保協議会(SCM)共同声明の主要内容//ハンギョレ新聞社
軍当局はこれまで戦作権の早期返還を推進してきた。昨年、未来連合司令部の第1段階の基本運営能力(IOC)の検証評価を終えたのに続き、今年は第2段階の完全運営能力(FOC)、来年には第3段階の完全任務能力(FMC)の検証評価を完了する計画だった。しかし、今年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、2月の合同演習が中止となり、8月の合同演習は縮小施行され、日程に支障をきたした。当時、韓国側は「縮小した合同演習を検証評価を中心に実施し、戦作権の早期転換に支障をきたさないようにしよう」と主張した。しかし、米軍側が「合同防衛態勢の強化を中心に訓練しなければならない」と対抗し、検証評価は来年以後に延期されたのだ。
両国は共同声明で「戦作権の転換条件の充足に大きな進展があったことに注目した」と返還条件の達成の有無などを評価するために設置された「特別常設軍事委員会」(SPMC)の活動を取り上げた。しかし、韓米間で合意した評価はまだないことが分かった。ウォン・インチョル合同参謀議長は8日の国会国政監査で「昨年の特別常設委員会で韓米間の共同評価を行った。私たちは戦作権の転換条件のうちの一つの『韓国軍の核心軍事能力』を大部分確保したと評価するが、これで最終的に韓米間の見解が一致しなければならない」とし、現時点では韓米間で評価に意見の相違があることを示した。
この日の冒頭の発言でも、ソ長官は「戦作権転換の条件を早期に整え、韓国軍主導の合同防衛体制を抜かりなく準備するよう共に努力するだろう」と明らかにしたことに反し、エスパー長官は「戦作権を韓国軍司令官に渡すためのすべての条件を完全に満たすには、時間を要するだろう」とブレーキをかけた。これについて国防部高官は「意見の相違があるというより、まだ正確な結論に到達することができず、議論をさらに進めることにした」と説明した。
エスパー長官は防衛費分担に関しては、決心したかのように増額を迫った。エスパー長官は「私たちは、共同防衛の費用を分担する、もう少し公平な方法を探さなければならない」とし、「韓国とNATOや他の同盟国が集団安保にさらに多く寄与することを促す」と述べた。彼はまた「在韓米軍の安定的な駐留を保証するために、できるだけ早く防衛費分担金で合意することの必要性に、全員が同意することを希望する」と述べた。韓米防衛費分担金の交渉は意見の相違が大きく、中断された状態だ。米国は当初5倍の増額を要求し、50%増額に水準を下げたが、韓国の13%増額案とはいまだに隔たりが大きいことが分かった。
両長官はまた、共同声明で在韓米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に関連し、「星州(ソンジュ)基地のTHAAD砲台の安定した駐留条件を用意するために、長期的な計画を構築することにした」と明示した。現在進行中の一般環境影響評価を終えた後、恒久的な星州基地の建設を明文化したものとみられる。THAAD配備に反対してきた中国の反発が予想される。
今回の共同声明からは、昨年の韓米安保協議会の際には含まれていた「在韓米軍の現水準を維持する」という表現が抜けた。「在韓米軍の縮小の余地を残しておいたのではないか」という指摘に対し、国防省高官は「大した意味があるのではない。さまざまな運用の融通性を持つということだが、共同声明に備える態勢に問題がないようにするという内容はある」と説明した。
両長官はこの日の会議後に共同記者会見を開く予定だったが、急に取り消された。戦作権返還問題など会議内容をめぐる意見の相違のためではないかという観測が出たが、国防部関係者は「エスパー長官が前日、米国大統領選挙が行われている敏感な状況を理由に記者会見を取り消すよう要求し、これを受け入れた」と説明した。
パク・ビョンス先任記者、ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )