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那須に行くと、かならず訪れる場所がある。
「ニキ美術館」
ニキ・ド・サンファル(1930-2002)のミュージアム。
わたしは「ニキ」に会いたくて、那須に行く。
わたしにとって、なつかしく、いつまでもいたい場所。
わたしはここで、ニキの作品と語り、ニキと出逢い、
本を読んだり、コーヒーを飲んだりしながら、
数時間を過ごす。
美術館の作品を収録した『ニキ・ド・サンファル』
(監修・文:増田静江/美術出版社/1998)
ニキとの出会いは、上野千鶴子さんの
『発情装置 エロスのシナリオ』
(筑摩書房/1998)
本の表紙は、ニキの作品だ。
ニキのことを語る上野さんのことばは痛切だ。
ニキを語りながら、じぶんじしんを語っている。
そのことばに、じぶんじしんを重ねるわたし。
「あたしの魂のふるさと」とニキが呼ぶ小箱を、彼女は今でも「ベッドの下」に隠し持っている。小箱を開けるたびに、ニキは5歳の子どもに返る。その秘密の小箱との孤独な対話の中から、彼女の作品は生まれてくる。
「ひとりぼっちだった子供時代から、孤独はあたしの創造にとって、肺に空気が必要なようにもなくてはならないもの。」 [de saint Phalle 1992 :p.151]
手紙の最後に、「この函があるおかげで」と、彼女は書く。「あたしは皮肉屋にもならず、幻滅もせずに生きてこれた。」
「これはパンドラの函。ありとあらゆる災厄が産まれたあとで、最後に残ったのは、希望。」 [de saint Phalle 1992 :p.151]
最後の一行に、わたしは思わず涙ぐみそうになる。この手紙が極東の島国に住む、このわたしに宛てられたものとかんちがいして。そしてニキの作品のすべてが、同じような「小箱」を隠し持っているすべての子どもたちへの、そしてかつて子どもだったものたちへの、彼女からの贈り物だったと知るのだ。 (『発情装置』p191)
------------------------------------------------------------
「あたしのどこがいちばん好き?」ニキは尋ねる。私もほかの女たちと一緒にこう答えよう--「ありのままのあなたのすべてがよ、ニキ!」
たったひとつの鏡に向かって、不安に怯えながら「この世で一番きれいなのはだーれ?」と尋ねたママに代わって、ニキは鏡を粉々にうち砕く。砕けた鏡をはめ込んだニキの作品は、陽光を反射して「この世にあるものは善も悪も、生まれた者も、産む者も、ぜんぶ存在する権利がある」と謳う。「パパ-ママ-娘」の近代のありふれた抑圧の物語から出発して、「女らしさの病」である神経症を自己治癒したあなたが、こんなに遠くまで行ったことを、わたしたちの「希望」だと喜びながら。(『発情装置』p204)
その大好きな「ニキ美術館」が、
存続のピンチだと、『We』6月号の記事、
「ニキ美術館訪問記 ニキ・ド・サンファルの魅力」で知った。
執筆は『We』編集長の、稲邑恭子さん。
記事の最後にこう書かれていた。
「増田さんを訪ねたその日、「実はニキ美術館は経営難で維持をすることが限界にきている」と告げられて言葉を失った。冬場はほとんど訪れる人もいないので2005年の10月末で「休館」の心積もり、とのこと。
誰にも開かれていて、そこにいるだけで楽しいと思ったり、エネルギーが湧いてくる。「人を幸せにする空間をつくりたい」と願ったニキの思いが息づく、美しい自然と静寂に囲まれたこの稀有な空間をなんとか存続させることはできないだろうか?
まだ見ていらっしゃらない方は、ぜひぜひ足を運んでいただきたいし、ニキ美術館存続のために、みなさまのお力とお知恵を借りたいと思っています。」(『We』6月号/発行・フェミックス・p34)
わたしも同じ思いである。
ニキ・ド・サンファルに興味のある方は
『ニキ・ド・サンファル』(ニキ美術館編/星雲社/1997)を。
「ニキ美術館」のことをもっと知りたい人は、こちらから。
ニキ・ド・サンファルを、ひとりでも多くの人に知ってほしい。
あなたも「ニキ美術館」に行ってみませんか?
PS・ちなみに、今日は最高裁判決の日。
ともちゃんは本会議なので、わたしひとりで判決をもらいに行く。
「うえの・ちづこ書店」も行くつもり。
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那須に行くと、かならず訪れる場所がある。
「ニキ美術館」
ニキ・ド・サンファル(1930-2002)のミュージアム。
わたしは「ニキ」に会いたくて、那須に行く。
わたしにとって、なつかしく、いつまでもいたい場所。
わたしはここで、ニキの作品と語り、ニキと出逢い、
本を読んだり、コーヒーを飲んだりしながら、
数時間を過ごす。
美術館の作品を収録した『ニキ・ド・サンファル』
(監修・文:増田静江/美術出版社/1998)
ニキとの出会いは、上野千鶴子さんの
『発情装置 エロスのシナリオ』
(筑摩書房/1998)
本の表紙は、ニキの作品だ。
ニキのことを語る上野さんのことばは痛切だ。
ニキを語りながら、じぶんじしんを語っている。
そのことばに、じぶんじしんを重ねるわたし。
「あたしの魂のふるさと」とニキが呼ぶ小箱を、彼女は今でも「ベッドの下」に隠し持っている。小箱を開けるたびに、ニキは5歳の子どもに返る。その秘密の小箱との孤独な対話の中から、彼女の作品は生まれてくる。
「ひとりぼっちだった子供時代から、孤独はあたしの創造にとって、肺に空気が必要なようにもなくてはならないもの。」 [de saint Phalle 1992 :p.151]
手紙の最後に、「この函があるおかげで」と、彼女は書く。「あたしは皮肉屋にもならず、幻滅もせずに生きてこれた。」
「これはパンドラの函。ありとあらゆる災厄が産まれたあとで、最後に残ったのは、希望。」 [de saint Phalle 1992 :p.151]
最後の一行に、わたしは思わず涙ぐみそうになる。この手紙が極東の島国に住む、このわたしに宛てられたものとかんちがいして。そしてニキの作品のすべてが、同じような「小箱」を隠し持っているすべての子どもたちへの、そしてかつて子どもだったものたちへの、彼女からの贈り物だったと知るのだ。 (『発情装置』p191)
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「あたしのどこがいちばん好き?」ニキは尋ねる。私もほかの女たちと一緒にこう答えよう--「ありのままのあなたのすべてがよ、ニキ!」
たったひとつの鏡に向かって、不安に怯えながら「この世で一番きれいなのはだーれ?」と尋ねたママに代わって、ニキは鏡を粉々にうち砕く。砕けた鏡をはめ込んだニキの作品は、陽光を反射して「この世にあるものは善も悪も、生まれた者も、産む者も、ぜんぶ存在する権利がある」と謳う。「パパ-ママ-娘」の近代のありふれた抑圧の物語から出発して、「女らしさの病」である神経症を自己治癒したあなたが、こんなに遠くまで行ったことを、わたしたちの「希望」だと喜びながら。(『発情装置』p204)
存続のピンチだと、『We』6月号の記事、
「ニキ美術館訪問記 ニキ・ド・サンファルの魅力」で知った。
執筆は『We』編集長の、稲邑恭子さん。
記事の最後にこう書かれていた。
「増田さんを訪ねたその日、「実はニキ美術館は経営難で維持をすることが限界にきている」と告げられて言葉を失った。冬場はほとんど訪れる人もいないので2005年の10月末で「休館」の心積もり、とのこと。
誰にも開かれていて、そこにいるだけで楽しいと思ったり、エネルギーが湧いてくる。「人を幸せにする空間をつくりたい」と願ったニキの思いが息づく、美しい自然と静寂に囲まれたこの稀有な空間をなんとか存続させることはできないだろうか?
まだ見ていらっしゃらない方は、ぜひぜひ足を運んでいただきたいし、ニキ美術館存続のために、みなさまのお力とお知恵を借りたいと思っています。」(『We』6月号/発行・フェミックス・p34)
わたしも同じ思いである。
ニキ・ド・サンファルに興味のある方は
『ニキ・ド・サンファル』(ニキ美術館編/星雲社/1997)を。
「ニキ美術館」のことをもっと知りたい人は、こちらから。
ニキ・ド・サンファルを、ひとりでも多くの人に知ってほしい。
あなたも「ニキ美術館」に行ってみませんか?
PS・ちなみに、今日は最高裁判決の日。
ともちゃんは本会議なので、わたしひとりで判決をもらいに行く。
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那須に住んでいらっしゃるのですか?
いいところにお住みですね。
わたしの友人に栃木県出身の人がいます。
元・県民でもいいのかしら?
PS:TBが二つ入っているので、ひとつ削除します。
昨日の「県民の日」は割り引きだっやんですよねぇ。行けばよかったぁ。
コメントありがとう。
近くに行くことがあったら、ぜひお立ち寄りくださいね。
ぜったいに、おすすめです。
るなさん
ニキの世界的なコレクションなのに、
日本では知られていないんですよね。
表紙の写真は「ビックレディ」。
ナナシリーズも有名です。
かたやぶりの造形作家ですが、ニキの造る女たちは彼女自身を表現しています。
作品についている詩もすてきなんですよ。
さいしょに行ったときは、(鮮烈な)感動でことばがでなかったです。
鮮烈な印象です。
知らないことって、多いんだなとあらためて思います。
ユニークな作品いっぱいですね。
もといた会社の保養所のすぐ近くです。
ちょっと気になります。