みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

社説:原子力の時代を超えて 年のはじめに考える/原発事故の調査を継続せよ

2013-01-04 22:02:20 | ほん/新聞/ニュース
2013年は脱原発にとっては、試練の年になりそうだ。

安倍首相は、年末に民主党政権が掲げた「2030年代の原発稼働ゼロ」という政策を
見直す考えをあらためて示し、脱原発は骨抜きになった。
こんなことなら民主党政権のほうがよかったと思っている人も多いと思うけれど、
安倍政権の時事釣りは60%を超えている。

こんな状況に危機感のある(らしい)新聞は、年明け早々、脱原発の論陣をはっている。

   【社説】原子力の時代を超えて 年のはじめに考える  
2013年1月4日 中日新聞

 総理、後戻りはいけません。国民の多くは、それを望んでいない。原子力の時代を超えて「持続可能」へ向かう。3・11を真に乗り越えるためにです。
 ドイツの哲学者故マルティン・ハイデッガーは「原子力の時代」に懐疑的でした。一世を風靡(ふうび)した「存在と時間」の著者が、です。
 一九五五年、南ドイツの小さな町での講演で「いったい誰が、どこの国が、こういう原子力時代の歴史的進展にブレーキをかけ、それを制御しうるというのでしょうか。われわれ原子力時代の人間は技術の圧力の前に策もなく、投げ出されているようです」と、核の脅威を語っています。

 制御しがたい巨大な力
 日米原子力協定が調印され、東京で原子力平和利用博覧会が開幕した年でした。米ソの核競争が激しくなっていたころです。
 哲学者は続けます。
 「われわれの故郷は失われ、生存の基盤はその足もとから崩れ去ってしまったのです」と。
 核兵器と原発。核は制御し難いものであることを、福島原発事故に思い知らされました。理不尽な力に故郷を追われ、多くの人々が避難先の仮住まいで、二度目の新年を迎えることになりました。哲学者が遺(のこ)した言葉は、予言のようにフクシマの心に迫ります。
 原子力の時代は、ヒロシマから始まりました。生存者に「太陽が二つあった」といわしめた計り知れない核分裂のエネルギー。その強大さに、唯一の被爆国さえも、いや、その力に打ちのめされた唯一の被爆国だからこそ、「平和利用」という米国産のうたい文句に魅入られたのかもしれません。
 戦災復興、そして高度経済成長へ。再び急な坂道を駆け上がろうとする時代。時代を動かす強力なエネルギーが必要だった。

 核のごみがあふれ出す
 原子力の時代はヒロシマで始まって、フクシマで終わったはずではなかったか。水素爆発の衝撃は神話のベールを吹き飛ばし、鉄骨やがれきの山と一緒に横たわる、それまで見ないようにしてきたものが露(あらわ)になったはずだった。
 フクシマは教えています。
 人間はいまだ、自然の猛威にあらがう技術を持ちません。これからも持ちうることはないでしょう。雨風に運ばれ、複雑な地形の隅々にまで入り込んでしまった放射能を集めるすべはありません。
 ひとたび事故が起きたとき、電力会社はおろか、政府にも、広範で多様な損害を満足に償うことはできません。補償は莫大(ばくだい)な額になり、安全のための補強にはきりがない。ほかよりずっと安いといわれた原発の発電コストが、本当は極めて高くつくことも、福島の事故が教えてくれました。
 核のごみ、危険な使用済み核燃料の処分場は決まりません。各原発の貯蔵プールからいまにもあふれ出そうとしている。
 その上、原発の敷地内やその周辺からは、大地震を引き起こす恐れのある活断層が、次々に発見されています。日本列島は地震の巣です。原発を安全に運転できる場所など、あるのでしょうか。
 このような欺瞞(ぎまん)や危険に気付いたからこそ、昨年の夏、前政権が全国十一カ所で開いた意見聴取会では約七割が、討論型世論調査では半数が「二〇三〇年原発ゼロ」を支持しています。
 原発の是非を外側から論ずるだけではありません。人や企業は原発への依存を減らすため、自らの暮らしと社会を変えようとし始めました。
 電力会社があおる電力危機を、私たちは省エネ努力で乗り切りました。節約型の暮らしは定着しつつあり、後戻りすることはないでしょう。太陽光や風力など、自然エネルギーの導入を近隣で競い合う、そんな地域や町内も、もう珍しくはありません。
 原子力の時代を超えて、その進展にブレーキをかけようとしています。

 地域が自立するために
 3・11以前、都会から遠く離れた原発の立地地域は、安全と地域の存続をはかりにかけて、悩み続けてきたのでしょう。
 交付金や寄付金頼みの財政は、いつまでも続きません。
 今ある港湾施設や原発の送電網などを利用して、新しいエネルギー産業を創設し、雇用を生み出すことができれば、本当の自立につながります。ふるさとを未来へと進める仕組みを築く、今がそのチャンスです。
 原子力の時代の次に来るもの。それは、命や倫理を大切に、豊かな暮らしと社会を築く、「持続可能の時代」であるべきです。
 発足早々、原発の新・増設に含みを持たす安倍政権には何度も呼びかけたい。時代を前へ進めることが、政治家と政府の使命であり、国民の願いでもあると。



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 社説:原発事故の調査を継続せよ 
2013/1/4付 日本経済新聞

 安倍政権に東京電力・福島第1原子力発電所の事故調査の継続を強く求めたい。事故の原因や経過で未解明の部分が残る。原発事故という惨事から得た教訓を原子力の安全向上に役立てるには徹底した原因究明が必要だからだ。
 福島事故について「再検証をしていきたい」。安倍晋三首相は衆院選後のテレビ番組で述べた。この発言に同意する。政府は役所から独立し、原子力の専門家を含む新たな事故調査委員会を組織し、事故原因などについて科学的な解明を進めてもらいたい。
 昨年7月、政府の事故調査・検証委員会の畑村洋太郎委員長は調査報告を公表した際に「調査に限界があった」と述べた。事故を起こした原子炉建屋内は放射線が強いため、立ち入って調べることができない。ロボットなども併用し客観的な事実やデータを徹底的に洗い出す必要がある。
 事故原因をめぐっては、津波が襲来する前の段階で地震動によって原発の重要機器が壊れたかどうかで異なる見解がある。事故原因が確定しないのに、既存原発に十分な安全対策を施せるのか疑問を投げかける声がある。再稼働に向け国民の不安を払拭するためにも調査継続が求められる。
 国会にも調査を続ける責任がある。国会の事故調査委員会も昨年報告書をまとめたが、政府と異なる視点から福島事故の背景を分析した点は意義深かった。
 報告書は事故の未解明部分の究明や事故収束プロセスの検証のため、民間の専門家からなる第三者委員会を設けて調査を続けることを求めた。これは国会自身が自らに課した宿題といえる。しっかり実行に移し政府事故調をチェックし相補う機能を果たすべきだ。
 昨年12月、福島県で「原子力安全に関する福島閣僚会議」が開かれた。会議に参加した世界の原子力安全規制当局の専門家は福島事故の教訓を真摯に学び自国の原発の安全性向上につなげたいと語った。事故調査の継続は世界に対する日本の責務でもある。


「卒原発」に現実味なかった未来の党(2013.1.4 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版)


 県内の脱原発勝手連が再びの大合流を呼び掛け、世論喚起戦略を練り直し/神奈川 
2013年1月4日 神奈川新聞

 昨年の衆院選で県内の「脱原発候補」を勝手連で支援した市民らが7月の参院選に向け、再びの大合流を呼び掛けている。安倍政権が民主党政権の原発ゼロ政策を見直すなか、抵抗勢力を一人でも多く国会に送り出したい考え。衆院選では、脱原発の訴えが有権者の投票行動に結び付いたとはいえず、世論喚起を含めた戦略の練り直しを急いでいる。

■自民党が14議席
 昨年12月22日、横浜市内。投開票から1週間を待たずに、勝手連の面々が顔をそろえていた。
 県内18選挙区に候補を立てた政党のうち、脱原発に最も消極的だった自民党が14議席を占めるという惨敗を受けての意見交換。「やはり大合流が必要。票を束ねない限り、次の選挙も勝てない」。自然食品販売を手掛ける佐藤茂伸さん(61)=同市戸塚区=が口火を切った。
 衆院選では、各候補が訴える「脱原発」の本気度をアンケート。候補者事務所に押しかけ、街頭で政策パンフを配った。「だが、多くの有権者が目先の経済に目を奪われた」。脱原発を争点にできなかったもどかしさが残った。

■おしゃれも大事
 「私たちは原発をなくすことが当然と思ってきた。だが、多くの人にはそうではなかった」。落胆と痛切な反省が漏れた。
 「待っていても票は入れてもらえない。地域に入り込み、掘り起こしていくべきだ」。そう提起したのは同市南区の小山貴弓さん(48)。
 1986年のチェルノブイリ事故後、原発の危険性を訴える活動を続けてきた。しかし起きてしまった福島の事故。言葉に実感がこもる。「関心がない人には、私たちは特異な存在。その壁を取り払わなければ」
 イベントや集会を開いても、足を運ぶのはすでに関心のある人だけだ。小山さんは、地域の健康体操といった場に出向き、10分間でも話をさせてもらうといった例を挙げながら、「おしゃれも大事。ちょっとかっこいい、賢そうなお姉さんだから話を聞いてみようかしら、と思われたい」。

■失望招かぬため
 参院選は県内では4議席を争う。「本当に応援できる候補者をわれわれが決められないものか」。そんな声も上がった。「脱原発有権者名簿」を募り、確実に見込める票をもとに各政党に大合流を呼び掛けてはどうか-。
 気掛かりは「大合流」に向けられる有権者の失望だ。脱原発の民意の受け皿に、と結成された日本未来の党は、わずか1カ月で分裂という結末を迎えた。
 勝手連呼び掛け人の一人、遠野はるひさん(61)=同市磯子区=は「脱原発は目的ではなく、よりよい社会をつくるための手段。衆院選では時間がなかったが、政党も市民運動の側も、原発をなくした先の社会の姿をじっくり練り上げ、訴えていくべきだ」と話している。


 社説:東日本大震災 被災自治体連携/「当事者感覚」の政策発信も 
2013年01月04日金曜日 河北新報

 宮城県の三陸沿岸部で、東日本大震災の被災自治体が共同歩調を取る動きが強まっている。石巻、気仙沼、東松島の各市と南三陸、女川両町が「宮城県東部沿岸大規模被災市町連携会議」を設立。同じ5市町の枠組みで議会も足並みをそろえ、独自の連携組織を発足させた。
 被災者の住宅再建をめぐる対応を国に求め、新たな財政措置の方針を引き出すなど、連携の成果は見え始めた。
 復興事業が進むにつれ、直面する課題も変わってくる。「当事者感覚」に基づく政策を発信していく機能を期待したい。
 5市町は震災の被害が特に集中している地域だ。死者・行方不明者は県全体の7割、全壊戸数はほぼ半数を占める。被災地域が広範囲に及び、自治体よって事情が異なる中、産業構造が震災で壊滅状況となった水産業を基盤とするなど共通点は多い。連携の土壌は整っていた。
 組織化は、被害が最も大きい石巻市が旗振り役になった。生活の再建や産業の再生に関する現状認識と情報を共有するとともに、国や県に対し課題解決策を合同で要望することなどを目的としている。
 個々の自治体で対応を求めるより、「共通課題」として働き掛けた方が効果的なのは確かだ。
 災害危険区域外の住宅再建については公的な補助がなく、各地の被災者から不満の声が高まっていた。財政的な支援策を要望する石巻市などに対して当初、「個人資産の形成につながる」と難色を示していた国は、震災復興特別交付税の増額という形で追加支援の方針を決めた。
 連携会議や県が繰り返し要請したことが、姿勢を転じさせるきっかけになった。
 連携会議の設立は、要望事項などを整理するため各市町が事業の問題点を洗い出す作業が、現状の点検にもなるという効用を生んでいる。他自治体の実情を知ることが、同様の事業を展開する上で参考となるケースもある。
 被災地はハード面の復旧事業にようやくめどが立ち、ことしは復興に向けた事業が本格化する。今のところ要望に軸足を置いている連携会議の活動も、一層の充実が求められる。
 未曽有の震災は、現行制度で対応しきれないさまざまな問題を顕在化させた。集団移転や災害公営住宅の整備に不可欠な土地の確保、漁業者や水産加工業者を中心とした産業再生の支援など復興事業の進行に伴い、今後も新たな課題が浮上してくることは十分に想定される。
 対症療法的な制度の改善や運用の見直しを求めるだけでなく、被災者の目線に立った政策の提案を視野に入れたい。
 共通課題にとどまらず、地域特有の課題に目を向けることも必要だろう。震災後の急激な人口減少など単独の自治体で対応が難しい問題でも、知恵を出し合うことで解決策のヒントを見いだせるのではないか。それも連携の一つに違いない。
 復興の加速を目指す連携の真価が問われるのは、これからだ。



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