東京で桜の開花が宣言された。こちらの朝はまだ寒い。散歩コースの紅梅は花の数を増やしている。野山に草が萌えると、ハイキングや野遊びに出かける人も増えてくる。中国では、野遊びを踏青(とうせい)と言った。なかなか洒落た言葉である。孟浩然の詩に
大堤行楽の処、車馬相い馳突す
歳々春草生じ、踏青両三日
貴公子たちは、車馬を駆って行楽地へと繰り出す。妓女を伴い、また手を携えて、花の咲くのを愛でる。この言葉が日本に伝わって俳句の季語となった。心地よい春の野に出て遊びには、若いカップルの恋も芽生える。
踏青やこころまどへる恋二つ 日野 草城