きのう、陽気に誘われて畑に行ってきた。雨が少ないので、畑は乾燥していた。去年、取り残した大根がまだ食べられそうなので抜いてくる。土手に蕗の薹が顔を出していた。ぷんと春の香りが立って懐かしい。妻に渡すと、味噌汁と蕗みそを作ってきれた。今年のはじめての春の香りである。蕗の薹には色々な食べ方があるが、庄内では外側の葉だけを取って小鍋で茹でて、お浸しにする。醤油をたらして、香りと苦みを楽しむのを、土地の年よりが勧めていたのを思い出す。帰りがけに、瓶に詰めたバッケミソをお土産に持たしてくれた。これは妻が作る蕗みそと変わりがない。
ふるさとは深雪の底か蕗の薹 石塚 友二
昔の農家では、蕗の薹やマンサクの花が咲くのを見て農作業を始めた。日影で固まって残った雪を崩して融けやすくする。春風のなかで鍬をふるって耕すのも、農家の年よりの仕事であった。