今日の桜
2017年04月09日 | 花
今年も桜の季節になった。鶴岡市で桜の開花が宣言された。蕾のころ、咲くのが待ちきれない気がするが、咲いてしまうと今度は散ってしまうのが心配である。これは花が無くなって寂しいという気持ちだけではない意味がある。平安時代のころから、鎮花祭が行われ、「やすらへ花よ」と歌いながら、花が散らないように念じながら踊った。これは、あまり花が早く散ると、稲の実りによくないと信じていたからである。桜が立派に咲き誇るのは、その年の豊作の予祝として人々に喜ばれてきたのである。そんな先人の気持ちを、現代に生きる我々も引きついでいる。
昭和7年の春、どうしようもない自分を清算するために、種田山頭火は九州へ行乞の旅に出た。そこで山頭火が出会うのは、木賃宿で親切にしてくれる老人であり、山里に咲く花々であった。花たちは山頭火へ、どのような予祝を与えたであろうか。
朝の山路で何やら咲いてゐる
すみれたんぽゝさいてくれた
さくらが咲いて旅人である 種田山頭火