
山友会、今年最後の山行は、南陽市宮内の里山、秋葉山(561m)であった。山の神様は、最後の山行をできるようにしてくれたのか、登山口に着くまで降り続いていた雨がうそのように止み、松林の山を楽しむことができた。この山の神が、山に親しむ一行に憐みを覚え、雨を止めてくれたようにさえ感じる。思えば山頂に火伏の秋葉神社を祀り、アカマツの林を残している里山が、今年の山登りの納めになったことに感慨を覚える。山の麓には果樹畑やその先に田が広がり、町並みが続いている。この里山を登るとこの周辺の人々の生活とが深く繋がっていることを実感できるからだ。秋葉権現は火防の霊験があることで広くしられ、各地に勧請された。江戸にはこの神を祀り、類焼を防ぐ広場、火除地を秋葉の原と呼ばれ、秋葉原の地名を今に残している。
山友会の活動が、会員の高齢化を迎え、低山と親しむことが増えてきている。日本アルプスなどの山の魅力と向き合いながらも、身近な低山や歴史の道を歩くことで、さらに深く山に親しみ、山が人間にもたらしてくれた恵みに触れ、そこに生きる植物や鳥、動物のなどの生態にも愛着を感じる。会員がより山を愛することが出来る活動の場を広げることに繋がっていく。この一年の振り返ると、次第に高山の存在が遠く、大きくなり、その反対に体力の低下を実感している。より長く山に親しむために、時間をたっぷりとるゆっくり歩きと身近な低山の魅力を見出すことだ。そのためににも、体力維持のウォーキングや筋トレ、身近な山の情報集めなどなすべきことは多い。
前日まで続いていた寒波はゆるみ、昨日から晴れ間が見えた。一行11名(内男性2名)は野球場のある向山公園の駐車場から、登山口へ向かう。鳥居のある一の山、祠の二の山を過ぎ、そこから頂上三の山への道を歩く。昨日までの雪が溶けてやや滑りやすくはあったが、落ちが堆く散り敷き、歩きやすく親しみのある道だ。ただ、倒木が所々で道を塞ぐ。それを跨ぎ、やや急な坂を登りつめるとあっという間に頂上である。脇の尾根の北斜面には、雪が白く見え、振り返れば集落がまじかに、また晴天であれば飯豊の山並みの頂上が得られるはずだ。
今年最後の山行とあって、一行のなかの歓談の声も好ましい。公園に下山して、野球場の観覧席に座って昼食となる。山行ゆえに、保つことが出来た健康。仲間との間に深まった絆。会員の体力に合わせた計画づくりの楽しさ。新しく加わった人たちが、山歩きの魅力を見出していく姿。高齢になってこそ楽しめる、いや楽しみたい山歩きの一年が終わった。
