本当の秋に会いたいなら、月山に登るという手がある。昨日、涼しい朝であったが、月山の姥ケ岳に登った。リフトまでの林道は、風景はまだ秋は感じられない。長袖のシャツに、薄いジャケット。リフトに乗るとこれでも吹く風が冷たい。あの、猛暑の下界の記憶は高度を上げるとともにうすらいでいく。去年の秋の月山が記憶によみがえる。あの鮮やかな紅葉はまだだが、すでに姥ケ岳では草紅葉が始まっていた。
山中では、先取りして季節は進む。夏山リフトは10月15日に営業を終える。この三週間で、紅葉は全山を染め、初雪から初冠雪へ季節が一気に進む。それだけに、少し目を放すと、あの見事な紅葉は散り果てて、山は眠るような冬景色へと変貌する。
姥ケ岳の山頂までおよそ40分。木道や階段状に石を敷き詰めた山道である。秋を探しに、多くの人々が登っている。老若男女、幅広い年齢層だ。最近、低山を楽しむ人たちが急増している。我々のように足が老化して低山を余儀なくされる人のほか、初心者であっっても気軽に取りつけるのが低山である。山の楽しみ方も、これからさまざまな変貌を遂げていくに違いない。天気は晴れているが、頂上では風が強い。牛首から月山への美しい稜線を見ながらのんびりしたいのだが、休風を避けるように下山。