春の宵をいとおしい時と感じる日がある。山の端が紅に染まり、屋根の下に人の営みを想像するひとときだ。昨日の宵はまさにそんな春宵であった。パソコンを離れて歩いてみた。以前は感じなかったような疲労感に落ち込みながら夕焼けに癒される。やはりこうして人は老いていくのか。疲労の後に訪れる深い眠り。そして得られるしすっきりした身体の動き。二日続けて歩いてみて、疲労の回復がはっきり分かる。こうして一日をふり返るブログを書く。リラックスした気持ちで今日も就寝することができる。
青春への郷愁。「朧月夜」の歌詞とメロディがよみがえる。こうして眠った次の日は雪がちらついた。
菜の花畠に 入日薄れ、
見わたす山の端 霞ふかし。
春風そよぐ 空を見れば、
夕月かかりて にほひ淡し。
橘曙覧の独楽吟の数節を読んでみるのもいい。そこには、本当の人生の「たのしみ」が詠われている。
たのしみは珍しき書人にかり始め一ひらひろげたる時
たのしみは空暖かにうち晴れし春秋の日に出で歩く時
たのしみは朝起き出でて昨日まで無かりし花咲ける見る時
たのしみはそぞろ読みゆく書のなかに我とひとしき人を見し時