親水公園に紅梅が咲き、小さな黄色い花の蕾がふくらんでいた。よくみると山茱萸だ。あの稗つき節にも出てくる木だが、これは庭にある山茱萸の木に鈴をかけて、その音を合図に出逢いを歌った恋の歌だ。早春の花は葉が出る前に、枝いっぱいに花をつける地味な花だ。春黄金花の異名もある。花の好みも年齢によって異なってくる。若い頃は牡丹や芍薬などの大きな花を好み、年代とへて小柄で地味な花を好むらし。表題の句はそんな好みの変化を詠んだものだ。
秋になると赤い俵型の実をつける。アキサンゴとも呼ばれる。こちらは古くから乾燥させた果肉を生薬として用いた。滋養強壮の漢方薬として用いられた。こんな効用が知られて、この実が老年の人に親しまれてきたのかも知れない。
ところで稗つき節で歌われる「サンシュウの木」は、検索してみると山椒の木が正しいようだ。長年、山茱萸だと思い込んで今日まできたが、全くの誤解であることがわかった。民謡や唱歌では、歌詞を自分流に解釈して誤解していることが多くある。