常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

西吾妻山

2023年08月20日 | 登山
白布温泉からロープウェイと3つのリフトを乗り継ぐと、1800mの西吾妻山登山口に着く。連日の猛暑をどう避けるか、こんなのも一つの方法だ。折から米沢市民感謝の日、この高山の往復券が1300円の格安だ。ロープウェイの窓ガラス越しに直射日光が来て、なお暑い。その分、樹林帯の中の日陰と、風通しの良い場所では別天地のような爽やかさだ。一時の涼を求めて、駐車場が狭く感じるほどの多くの人が入山した。

台風は去っても、なお暑さは続いている。地表の気温と、上空に入った寒気のせいか、昨夜から雷の発生が多い。そしてスコールのような激しい雨が最近の特徴だ。しばらく登山から遠ざかっていたため、ごろ石の登山道は老脚に辛い。樹林帯を抜けて最初に広がるのはかもしか展望台。下界の気温より確実に5℃は低い。米沢盆地を見おろしながら、山の仲間たちとの談笑も楽しい。
やがてくぼ地の草原に、木道が続く。花の季節は過ぎたが、草の香りが心地よい。時おり頬をなでる風は、1900mの標高でしか味わえない感触だ。前方に入道雲がわき、黒い雨雲が広がりを見せる。「あの雲が怪しい」ベテランの登山家のつぶやき。一度降られると、激しい大粒のスコールがやってくる。今日は無理をしないで、西吾妻山の頂点を踏まず、梵天岩までとする。まだまだ、青空がひろがっている早い決断であった。

やがて、この決断が正しかったことが分かる。12時の昼飯の後、一気に樹林帯を下る。遠くで響いていた雷鳴が、少しづつ近づいてくる。リフトやロープウエイは雷と強風に弱い。先日、川西町で畑仕事の人が雷に打たれて死んだニュースが流れている。思ったより早い下山であったが、リフトの終着駅には人が溢れている。聞けば雷の接近のため運行を停止しているとのことであった。「30分ほどお待ちください」というアナウンスのあとなかなか再開されない。待つこと1時間、雷は遠ざかりやっと運行が再開される。リフトから見える米沢盆地は、太陽がギラギラと光を放っている。ただ、リフトに乗るとそよ風が冷たく心地いい。下山後は、また猛暑に責められることを考えながらの下山であった。

爽涼と焼岳あらふ雲の渦 水原秋桜子

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花火大会

2023年08月16日 | 日記
お盆の墓参りのころは、全国各地で花火大会が盛んだ。14日には、山形の花火大会が家にのベランダ越しに小さく見えた。大江の花火、そして16日は信州諏訪湖の花火大会。折からの台風7号の影響は、と思いつつテレビを見たら、7時からライブで中継していた。遠い混雑したところへ、見物に行ける身でもないので、テレビ中継はありがたい。臨場の迫力はないものの、一等席のいいアングルの中継で、次々と上がるスターマインの乱舞に見入ってしまった。夏、火の玉は、地獄の釜を出た死人の花火と語られてきた。

若い男たちが狩りに山へ入り、火の玉を見た話がある。松谷三代子『あの世からのことづて』の「天狗の花火」という掌編。その夜、山には多くの猟師が入っていた。百人ほど猟師が焚く火が、火の玉にくっついて、あっ

ちへ、こっちへと走る。

「上へいったら、ほーって星が出た。そいでざーっと降りてきてカヤにぶつかっついて、ちりちりと赤い火の粉がちゃんとみえたっちゅう。「おかしいぞ、いよいよ今夜化かされたか」ちゅうっていってたら、おーや、上げるともあげるとも、花火また上げた。
ちらちら、ちりちり上っていって、どーんと星が出る。こりゃ狐じゃねえ、お天狗さまだんべえ。ここらじゃ天狗が花火をあげるちゅうことよくいうもの。」

お墓参りという風習も少なくなっている。今年のお参りは炎天下であった。墓石も熱く焼けていた。埃をふき取り、冷たい水を柄杓で墓全体にかける。なかに先祖が暑い、暑いと言っているような気がする。日ごろは仏壇に線香を焚き、熱いお茶をあげる。この世に住んでいる者の数が減り、あの世のでは、その数を増やしている。花火をあげて、そこに居場所を予約するのが、生きる者の知恵か。
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雨の一日

2023年08月13日 | 日記
昨日、一日雨が降った。梅雨が明けて20日、こんな雨は初めてのことだ。農業や果実、野菜作りにとっては願ってもない雨であった。台風が二つ、発生した。6号は奄美、沖縄に停滞したあと、やっとのことで九州をかすめて大陸の方で温帯低気圧になった。7号は近畿辺りに上陸して、日本海に抜けていく。この間、多大な被害をもたらした。台風に遭われた地方の方々へは、お見舞いを申し上げる。台風は通過したあと、大気を一変させる。あれほどの猛暑が続いたが、昨日の気温は最高で25℃前後、今朝は青空が戻り、気温も34℃が予想されているが、小川のせせらぎが秋を感じさせる。

空山新雨の後
天気晩来秋なり 王維

唐の詩人、王維は宮廷で地位の高い官僚であったが、山荘暮らしを好み、自然の移り変わりを詩に詠んだ。
昨日の雨のなか、トンボが雨を避けて、洗濯竿にしがみつくうようにとまっていた。蝉の声も心なし小さい。柿の青い実が生り、ブドウが熟れてきた。ヒヨドリがブドウを求めて飛んでいる。
南からの暖かい空気と大陸から張り出す高気圧も熱せられて、二重に日本に暑気をもたらす。そんな気圧配置を変えるのが、南の海上で発生する台風だ。海をかき混ぜて、上昇した海水温を冷やし、北の冷たい空気を引き寄せる。近年、台風の大型化が進み、被害も莫大になっているが、この季節を経ないことには秋はやってこない。
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森林セラピー

2023年08月11日 | 登山
山形県小国町にある温見平は、森の持つ癒し効果が実証されて、平成18年に森林セラピー基地に認定されている。新緑や高山植物のお花畑に触れると、人は自然に癒され気分が爽快になる。植物の生育によい環境は、人がそこにいても身体の活動を活発にするということだろうか。そもそも森林セラピーとは、森林の持つ音や風景が人間に与える効果を実証し、最大限に引き出そうとするものだ。高齢者や子どもたち、病気のリハビリなど、誰にでもその効果を享受できるのが、ここ温見平の自然環境だ。

その効果をあげると以下のようになる。
  1. 自然免疫:NK細胞活性が高まる
  2. 交感神経が落ち着く
  3. ストレスホルモン・コルチゾール抑制
  4. 血圧の低下
  5. 森林の香りフィトンチッドの効果
  6. 多様な生物に触れられる
8月10日、山友会の希望者8名が、温見平の森林セラピーに参加した。熱中症アラートが発されるなか、標高がさほど高くない場所で暑さはどうか、気になるところだった。現地の駐車場でセラピストと待ち合わせ、挨拶をかわしたがフェーン現象で、生暖かい風のなか準備運動をおこなって活動を開始。入り口では、猿の集団が遊んでいる。清流のせせらぎを聞きながら、ブナ林に入ると、適度な風とと木陰が涼しい。トンボが飛び交い、ワシが空を悠々と飛ぶ。この基地を知り尽くしたガイドさんが、見どころや樹齢などを教えてくれる。訥々とした語り口が心地よい。

何よりも印象的だったのは、修理中の発電所だ。昭和18年に給電を開始したが、発電した水を再利用することで、5カ所ほどの発電所ができ、この地区の電気を賄っているほかに、東北電力に売電もしていることであった。自然環境を戦前から利用してきた山中の歴史に興味を持った。

ガイドさんの説明で、セラピーには最高の条件とのこと。懸念されたアブなど害虫も出ず、爽やかな風に吹かれて、参加している全員が爽快な気分になった。昼食後、ガイドさん持参の敷物の上に寝て、樹々の梢から青空を眺めた。もっと時間があれば、10分ほどの昼寝もいい、との説明だった。全員が丸くなって寝ころんだ姿の写真は、一生の思い出になる。登山でもなく、ウォーキングでもない森林の新しい楽しみ、森林セラピーは年老いても続けられるアイテムだ。この日、石転び沢から、北俣の山並みがくっきりと見える。こんな稜線が見られるのは年に何回もないとのことであった。
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トマト

2023年08月07日 | 日記
暑い夏にもうれしいことがある。桃にスイカなどの果物は、糖度が増して美味しくなる。先日、山の仲間からいただいたスイカは、長年食べたきたなかでも一番の甘さであった。それと、市場で買う安いトマトもおいしい。特に中玉の完熟トマトはびっくりするようなおいしさだ。キャベツの千切りに上に、塩こうじを塗った鶏の胸肉を焼いたものに、トマトとバジルをあしらった。いつもは、小食の妻が、「ここからのトマトは私の分」と主張するほど、取り合いになるほどのおいしさだ。

トマトに含まれるリコピンは、カロテノイドの仲間で、癌のリスクを減らす。ひと月にトマトを14回以上食べている人は、肺がんや肝臓がんにかかる率が、全く食べない人と比べて30%も低かったいう調査報告がある。おいしいのに加えて、がんのリスクを減らすとなれば、この夏を乗り切るためにもトマトを食べない法はない。

丸元淑生のスープブックに、トマト・スープがある。今年、挑戦したいスープづくりだ。材料はトマト5個、ジャガイモ4個、タマネギ1個とシンプルだ。トマトから出る水分で少量の水しか使わない。加えるハーブはローズマリー。炒めたタマネギに湯剥きしたトマトを加熱していく。刻んだローズマリーに、粗く切ったジャガイモ加えて煮込む。ジャガイモが煮えたところで、ブレンダーにかけてスープ状にする。鍋にもどして適量の塩で味付けしてできあがり。明日、娘が里帰りするが、子から孫へ、そしてひ孫へと伝えていきたい、トマトのスープではある。
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