常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

奇跡のおむすび

2023年08月06日 | 日記
弘前の岩木山の麓に「森のイスキア」という施設があった。90歳にもなろうという佐藤初女さんが運営していた。生きることに迷い、疲れて救いを求めてくる人の話を聞き、食事や眠りを供する施設だ。平成28年2月、初女さんはそこで93歳の生涯を閉じた。初女さんの握るおむすびは丸い形をしていた。初女さんの言葉。「おむすびの形は丸でも三角でもいいんです。大切なことはそこに魂が入っていること。こころを尽くしてにぎれば、どんな形のおむすびでもおいしいはずです。ただ、これが意外にむずかしいんですね。」

初女さんのおむすびに救われた青年の話がある。死にたいと思いつめている青年に家族がすすめたのは、「森のイスキア」を訪れることであった。初女さんの前で青年は、ただ泣きながら自分の苦しさを訴え続けた。明け方になってとにかく寝ようということになったが、青年は眠れなかったに違いない。翌朝、朝ごはんの用意をしていると、青年は起き出してきて「帰る」と言い張る。疲れているからもう一日、二日泊まったらとすすめても、「帰る」のいってんばり。

そこへ家族から電話があった。初女さんが青年の様子を告げると、家族から何があっても覚悟は決めていますから帰してください、ということなので新幹線で帰すことになった。途中お昼になるので、弁当はおむすびがいいと思い、おかずをつめて送った駅で持たせた。夜になって家族から電話があり、「何かしてくれたんですか。元気のなってもどってきました。」「いいえ何もしていません。ただ話を聞いただけです。」

後で分かったことだが、青年は電車のなかで、初女さんのおむすびのいい匂いがする。タオルにくるまれたおむすびは、握りたてのようであった。タオルが熱を吸収して、おいしいのだ。青年はそのおむすすびを食べて、こんなに自分のことを思ってくれている人がいるのに、たんてバカなことを考えたんだろう。人の思いが胸ねにささり、きっぱりと立ち直ることができた。

来月、八甲田山と岩木山に登る。森のイスキアに思いを馳せ、岩木山で生きることの意味をかみしめて歩くのもいい。

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庄内メロン

2023年08月03日 | 日記
ひ孫の誕生日が過ぎた。送られてくる動画を見ると、歩き方も上達している。おもちゃに目をやって、意識しない歩きができる。5,6歩進むと、コテンと転ぶ。気にする風もなく立ち上がってまた歩き出す。乳歯も生えそろってきて、齧ることも可能なようだ。旬の庄内メロンを送った。誕生日のお祝いに送った絵本「くだものさん」には、メロンが載っているか。気になるところだ。「もう、一口ぐらい食べられる?」と聞くと、「この前もらったスイカ食べたからあげてみようか」という返事。甘いものが大好きらしい。

庄内メロンの特徴は砂丘で育てられていることだ。海風で絶間なく吹きつける砂は、ほとんど農業のできない不毛の地である。こんな場所には必ず偉人が現れる。海辺に松を植林し、砂防の松林をつくる。ここを、おいしいメロンの産地に変えたのは、この松林であったと言っていい。酒田の本間家三代目の当主、光丘は先人に学び、町民に呼びかけた。「砂袋1俵を持ってくればお金を払う」。集まった砂の俵を積み上げて、18mもの高さの丘をつくり、そこへクロマツを植林した。最初は、丘が崩れていくらも松は生存できなかったが、3年、5年と続けていくうちに砂の丘は安定し、みごとな砂防林ができた。

メロンの理想の生育環境は、多日照、低湿度、昼夜の温度差の大きいこと。地下水と砂丘を利用した庄内メロンはこの条件の備えている。甘く、高品質の庄内メロンが、高い評価を受けている理由だ。夕べ、孫から「メロン届いたよーありがとう」のラインが入って。一家団欒して、メロンを楽しむ姿が目にうかぶ。やがて、はしゃいだひ孫の動画送られてくる。
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夏の睡眠

2023年08月02日 | 日記
暑い日が続くと、どうしても睡眠に悪影響を及ぼす。仰向けに寝ていると、敷布団にあたっている背中から汗が出て眼が覚める。日中は水を飲むし、夕食では冷たいビールが欠かせない。尿意で必ず一度は目が覚める。エアコンも熱中症を恐れてつけるが、夜は冷えすぎて、こちらも快眠というわけにはいかない。スマートウォッチの睡眠管理を見ると、この数日の指数は60点台を記録するなど惨憺たるものだ。

三橋美穂『睡眠メソッド100』を開いてみる。「夏の睡眠」という項目がある。この背中の汗対策に、敷布の下にダンボール、水草で編んだマットや夏用敷きパッドなどの使用を勧めている。背中と蒲団の間に空気層ができて、背中の蒸れを防いでくれるらしい。寝方を仰向けから横向きに。抱き枕を使って、横向き寝ることで、背中は涼しく汗もかきにくい。エアコンは最初に低く設定して、部屋の温度を下げてから、28℃設定で眠ると、室温は1時間ほどしてでゆっくりと上昇するので、快眠が得られるらしい。

さらに三橋が推奨するのは、就寝2時間前のスロージョギング。体温を上げ、睡眠のための適度な疲れをためることができる。歩くよりも遅いスピードでウォーキングの2倍もカロリーを消費するジョギング。歩幅は10㌢のこのジョギングを行うと前頭葉が活発になることも知られている。手浴、足浴という珍しい入浴法も紹介されている。足を温めるのは知っていたが、洗面所に43℃ほどのお湯を張り、10分ほど手首の上までつける。手に力を入れてストレッチをするとさらに効果が上がる。手は心臓に近いため、素早く全身が温まる。就寝前に入浴をする代わりに、この手軽な方法で寝る準備ができる。
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