ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

京都ならでは…法衣・袈裟などのクリーニングと修復の専門店「和光舎」。2月末まで公開工房開催中

2014-02-11 | ものづくり

「ミモロちゃん、伏見の大手筋商店街のギャラリーで、見事な刺繍の実演が見れるよ…」と、ある日お友達から電話をもらったミモロは、さっそく、そこにお出かけです。大手筋商店街は、京阪「伏見桃山駅」または近鉄「桃山御陵前駅」から、長ーく続くアーケードの商店街。
「ここの商店街は、活気があるねー」と。駅から商店街のアーケードがもうすぐ終わるという手前に、お友達から教えてもらったギャラリーがありました。
 「ここだー」大手筋ギャラリーでは、2月28日まで、「ものづくり公開工房」というイベントを開催中。近郊の工房から職人さんが出張して、ここで作業をしています。その普段は、見ることができない作業風景を、すぐそばでゆっくり見学できるんです。

「こんにちはー」店内では、職人さんたちが作業を
今回は、伏見に本社をもつ「和光舎」という会社の工房が公開されています。

職人さんたちは、なにやら豪華な刺繍をしています。
 
「わースゴーク豪華…いったいなんの刺繍かな?お着物?能衣装?」ミモロがキョロキョロしていると、西谷社長さんが、お話をしてくださることに…。
「あのー何の刺繍なんですか?」とミモロ。「これは、法衣、お寺の本堂の打敷や水引です」
「そういえば、お寺には、豪華な飾りがある…それを作る工房なんだー」とミモロ。

「いいえ、うちは、刺繍の工房ではないんです」と社長さん。「え?何屋さん?」「法衣のクリーニングと補修や修復の専門店です」と。「えーそういう専門店って初めて聞いたー」とミモロは、ビックリ。

この「和光舎」ができたのは、今から20年前。それまで保険の外交などをしていた西谷さんは、お寺に営業に行くたびに、お坊さんの袈裟や法衣、また本堂の打敷などが汚れ、傷んでいたのが気になっていました。親しくなったお坊さんと話をするうちに、それらをキレイにできないものかということに。保険の外交より、法衣などのクリーニングを多く頼まれるようになって、ついに20年前に、刺繍職人さんを集め、また信頼のおけるクリーニング店と提携し、「法衣、打敷などのクリーニングと修復の専門店」を開業します。

今まで、法衣などは、古くなったり、住職が亡くなった時は、焼却されたり、お蔵入りになっていたそう。クリーニングという発想は、なかったのです。でも、素晴らしい刺繍などが施されたものも多く、実にもったいない話です。

本堂の打敷も、ロウソクの蝋や、生け花の水などがかかり、時と共に色あせや傷みが生じるもの。それらを、キレイにして、傷んだ刺繍部分などを修復するのが、この会社のお仕事。

「でも、クリーニングやしみ抜きをしても、はっきりいって、汚れはある程度取れますが、元の新品のようにキレイにはなりません。そこのところは、よくお話をして納得いただいてから、お引き受けするんです」と。

例えば、火を使う護摩供養などの法衣や袈裟は、飛び散る火の粉で穴が開いてしまいます。煤などの汚れは落ちても、穴の修復には限度があるそう…。

現在、お取引のある寺は、年間6100ヶ寺、仕事の依頼は、1万件を超え、毎年、業績は拡大しています。「でも仕事が増えれば、職人さんを多く雇わなければなりませんから、利益は、横ばいですが、仕事は、開業以来、途絶えることはありません。この仕事は、仏様にやらされているような…私の天命なのかと…」と西谷社長。

「大切なお品ですから、営業のものが伺い、直接、お寺のご住職や奥様などとお話をさせていただき、引き取らせていただくようにしています。」今や、京都、滋賀、福井、大阪、奈良などの近県だけでなく、関東や北海道、四国など、年に何回か出張しているそうです。


40年以上のキャリアをもつ、熟練の刺繍職人さんたちがむずかしい修復作業を進めてゆきます。古い刺繍部分を傷んだ布から外し、新しい布に縫い付けながら、修復することも。着物の刺繍と異なり、厚く立体感のあるものも多いのが特徴です。

 ミモロもそばで見学を…「わー細かい作業…。すごいキレイに修復されてくー」と。ひと針ひと針丁寧に作業は進められます。
修復を依頼される品の多くは、100年~150年と長い歴史をまとった貴重な品々。「昔の職人さんの技が、修復することでよくわかるんですよ」と、刺繍歴50年という今村さん。まだまだ先人から学ぶことも多いそう。

そばにあった針は、太くしっかりしたもの。「これも使うんだー」さまざまな太さの針が、目的に合わせて使われます。

「法衣や打敷、水引など、歴史あるものは、文化財クラスのものもあります。でも、あくまでそれらは、お寺の仏事などに使われるもの。文化財指定を受けると、修復ができません。ですから、いかに貴重なものでも、修復したからには、使っていただくことが目的なんです」と、西谷社長。

大手筋のギャラリーでは、クリーニングした法衣などの検品も行われていました。  「汚れやにおいをクリーニングした法衣です」と。「これなんだろ?」とミモロ。
「キャーかわいい三蔵法師みたいー」と声が…。妙に似合うミモロです。

ここでは、若手の職人さんたちが、依頼された品の製作にも携わっています。

図案にそって、ミシンを巧みに操作する機械刺繍。「そう、布を押さえてねー」
ミモロは、真剣にお手伝い…?足のペダルで、刺繍する幅を調整します。ミモロは、足が届かないので、布を押さえるだけ。

また、手刺繍の作品も製作中。

「見える?」「うん、見える~」細い針と糸で、少しずつ刺して行きます。
 
「あのねーいつもミモロちゃんのブログ見てるのよー」と。「え?ホント?感激…」「会えてうれしい!リポートに来てくれてありがと!かわいいねぇー」と、言われて、ちょっと照れるミモロでした。

実は、今回、大手筋ギャラリーで、公開工房をするのには、多くの人に、職人さんの技を見てもらうこと以外にも、ある目的が…。
それは、職人さんの募集。期間中、刺繍に興味があり、やってみたいという人を募集しているそう。

2月末まで開催の「和光舎」の公開工房。日頃は見ることができない職人さんの技を、ぜひ、見学してはいかがでしょ?

*「和光舎」ものづくり公開工房は、2月28日まで、9:00~17:00 大手筋ギャラリーにて。075-601-0413 アクセス:京阪伏見桃山駅、近鉄桃山御陵前駅下車、徒歩2分。大手町筋商店街のアーケードが終わる近くです。また、法衣などのクリーニング・修復に関しては、ホームページで。


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コメント (3)
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