ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

麗しき雛人形たちと巨大な御所人形に感動。「平野の家 わざ永々棟」の雛展 3月31日まで開催

2015-02-27 | イベント

梅がほころび始めた「北野天満宮」の近くの「平野の家 わざ永々棟(ひらののいえ わざえいえいとう)」で、今年も、恒例の雛展が開催されています。
毎年、訪れているミモロ「今年は、どんなお人形に出会えるのかな?」と楽しみに出かけました。
「雛さまと御所人形の勢ぞろい~愛らしさの競演~」という特別展は、今年で5周年を迎えます。近くの「高津古文化会館」が主催し、所蔵する雛人形をはじめ、今回は、「大阪歴史博物館」所蔵の御所人形なども、展示されます。

「ここは、博物館と違って、お座敷に展示されているから、お人形がすごく近くで見られるの~」とミモロ。ガラス越しではなく、雛人形を飾るお座敷の雰囲気も楽しめるのが魅力です。

「うわ~今年もいろんなお雛様がいらっしゃる…・」
 
1階のお座敷には、面長の「享保雛」、そして丸顔の「次郎左衛門雛」の姿が…。
 いずれもミモロが小さく見えるほど、大きくてりっぱなお姿。広いお座敷に1年ぶりに飾られた雛たちは、なにか晴れ晴れしたお顔をしています。

ここでは、お雛様をすぐ近くで見られるのが、魅力。ガラスケースの中の展示物ではなく、雛祭りの主人公という感じで拝見できるのです。

「わ~りっぱなお雛飾り…」
 
こちらは、「江戸古今雛」と京都の古今雛の雛飾りです。
「実は、もともと古今雛というのは、江戸の町で発達したお雛様のスタイルです。京都の雛人形とは、異なるスタイルなんですよ」と、ミモロにお話しくださったのは、「高津古文化博物館」の学芸員の雨宮六途子先生。

「江戸時代、雛人形は、もっぱら京都で作られて江戸に送られていました。でも、江戸の町で雛人形は大人気で、その需要を賄いきれない状態に…。そこで「秀月」が江戸で「古今雛」と名付けて、独自の雛人形を作り始め、それがまたまた大評判に…。江戸と京都の古今雛の違いは、女雛の冠。京都はす~とした感じで、高くなっていますが、江戸のものは、横に広がって、そこに瓔珞がさがっています。また、扇の持ち方にも違いがあります。京都の雛飾りには、「五人囃子」はなかったんですが、江戸の雛飾りに登場し、評判になり、後に京都でも「五人囃子」の人形が作られるようになりました。京都と江戸との文化の流れの中で、雛人形も、発展してゆくことになります」と。

雛人形好きのミモロは、目を輝かせながら、先生のお話しに聞き入っています。会場で先生のお姿を見つけたら、ぜひ、お雛様について質問なさっては?きっと、楽しいお話しがうかがえます。

さて、今回の展示は、雛人形だけでなく、御所人形が多数展示されています。「ミモロちゃん、2階にいってごらんなさい」と。
ミモロは、さっそく2階のお座敷へ移動します。「わ~すごい~」と思わず声が…
お座敷の奥には、大きな御所人形の姿が…。
「で、デカイ…」と思わず…。ミモロの大きさと比較して、その巨大さがわかるはず…。「よく育ってるね~力持ちなんだ~」とミモロ。
大きな御所人形は、そばのこれまた大きな宝船を引いています。
「これは、ながらく所蔵されていたもので、明治のころ、博覧会に向けて京都で作られたものの1体です。2体作られたようですが、もう1体は、行方不明です」そのあまりの大きさにただビックリ。木彫に胡粉を塗り重ねたもの。今にも動き出しそうな躍動感のある姿は、当時の人形師の技の高さを物語ります。着衣の前掛けも当時のもので、すでに色あせていますが、豪華な刺繍が見られます。おそらく朱色の鮮やかな前掛けであったろうと思われるもの。

また、人形が引く宝船も豪華です。
金彩を多用した豪華な舟には、小判や打ち出の小槌などが満載。

「お前、小っちゃいな~」とミモロを見つめる御所人形。「ほんと、よく育ったんだね~。たくさん食べて大きくなったの?」とミモロとの会話がなされているよう…。


ほかにも多数、御所人形の展示が…。
御所人形は、宮中の子供たちの遊び相手…。特に、幼くして門跡寺院に預けられた女宮たちに、贈られたものが多いのです。人形には、自分の穢れなどを自分に替り、担ってくれると信じられていた時代、親元の御所を離れる女の子に、健やかに暮らすようにと、渡された人形です。その後、武家の大名の間でも御所人形は人気で、女の子の輿入れ道具の中にも、その姿を見ることができるそう。

京都各所にある門跡寺院には、幼くして親元を離れ、生涯を寺で過ごす運命を背負った女宮たちが、愛した人形が今も数多く残っています。
そこには、親の愛情を十分に受けることができなかった女宮が、自分に注いでほしかった愛情を、人形たちに注ぐ姿が浮かびます。高貴な身分に生まれた哀しさ…「庶民でよかった~」と、つくづく思うミモロでした。

今回の展示は、ほかにも見どころがいっぱい…。
御殿造の古今雛、生き人形と言われる本物の子供のようなお人形なども…
  

「ミモロちゃん、お抹茶いかがですか?」と声をかけられ、「は~い」とミモロは、1階のお茶室へ。
「頂戴いたします」
期間中、有料でお点前によりお抹茶がいただけます。
お菓子は、雛祭にいただく「引千切」(ひちぎり)です。

床の間や茶道具を拝見。
   

最後に、「丸屋五世大木平蔵」作の雛段飾とたくさんのお人形を拝見。
 

「灯りをつけましょ、ぼんぼりに~」と思わず口ずさむミモロ。
一足早く。雛祭りを満喫したミモロ。

京都の3月は、心華やぐ季節です。

*「平野の家 わざ永々棟」雛人形の特別展示など詳しい情報はホームページで

 

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明治11年創業の寺町通の大衆食堂「常盤(ときわ)」。定食やそば、中華麺など、昭和が香る品揃え

2015-02-27 | グルメ

アーケードの寺町通が三条通と交差する近くにある「常盤(ときわ)」。「一度、入ってみたい~」とミモロが、思っていた食堂です。
  
「きっと昔からある食堂だね~」と、その佇まいから想像します。お店の前には、メニューがいろいろ表示されて、わかりやすいのか、最近は、外国人観光客もよく訪れています。

  
店の前のメニューを見てから、ミモロは、中へ。
「わ~なんか昔ぽい感じ…こういう食堂が、京都って、結構残ってるよね~」と。

ミモロは、店の中ほどのテーブルへ。再び、壁のメニューを見ています。「なんにしようかな?」そば、丼物、定食、中華麺など、その品揃えは、幅広く、ミモロは、すっかり悩んでしまいました。
「あの~中華麺って、昔からあるんですか?」とお店の方に。「あ、それは新しいメニューで、60年くらい前からですね~」と。「う!?新しくて60年…」「あの~いつからこのお店あるんですか?」と聞くと、「明治11年から…私で4代目です」とご店主の山西さん。
「そんな昔から?」「はい、でもこの界隈、割と昔からのお店あるんですよ。ここは、初めは、甘味やお餅を扱ってたんです。外の看板見ると、善哉って書いてあるでしょ?」と。店にも「ぜんさい」の写真が…。
 
ミモロは、慌てて外に…「あ、ホントだ~」生そばと掛かれた看板の上に、もう一つ看板があって、そこには「善哉 常盤」の文字が…。

昔、ここの辺りには、「常盤座」という演芸場があったそう。そこにお餅や甘味を届けたりしたのだとか。時代を経て、その演芸場は、映画館になり、「常盤」という名を残したいという思いから、このお店にその名を譲ったのだそう。

お話しに夢中になる前に、ミモロ、注文しなくちゃ…。「そうだった~」と、ミモロは、このお店の人気メニューのひとつ「サバ定食」を注文します。

「はい、どうぞ…」
焼いた鯖と、ひじきの煮つけ、冷奴、天かすが入ったそば、そしてご飯のボリュームのある定食です。
「いただきま~す」
「お箸は、赤いボタン押してください。出てきますよ」
「あ、これね」ミモロは、自動割り箸機のボタンをプッシュ。「こういうの初めて…ヨイショ」
「あ、出てきた~」
50年ほど前に、飛び込みの営業マンが置いて行ったものだそう。「いろんな営業マンがいるんだね~」当時は、なかなか画期的な製品だったのかも…確かに衛生的な感じです。

店内には、ミモロのほかに、常連らしき男性と、中国からの観光客が…。昼はいっぱいになる食堂も、15時過ぎの今は、ゆっくりした雰囲気です。

店には、相撲の番付表など、昔から飾られているだろうものが…。
 
「先代が相撲付きで、昔の京都場所の番付など貴重なものがいろいろあったんですが、資料として寄付しました」と。

「あの~この建物って、何階建てなんですか?」と、定食を食べ終わったミモロは、ご主人に…。
「ここは、2階建てで、その上に屋根裏部屋があります。ちょっとこっち来てごらんなさい…」と、調理場へミモロを連れて行ってくださいました。
「ほら、上を見て~光取りの窓があるでしょ」
「あ、ホント…想像以上に高い天井の先に、光取りの窓が…「へぇ、こんな風になってるんだ~」とミモロ。

アーケードの商店街は、そのお店の構造が、実はとても分かりにくいものなのです。特に、奥行きの深い京都の店は、奥に何があるのか、道からは、想像できません。

たとえば、錦市場のお店など、奥に、りっぱな日本庭園があったり、お蔵があったりするところも。寺町通のアーケードは、木造あり、鉄筋のビルあり、さまざまな建築が混在しています。

さて、このお店も奥には、大きな厨房が…
 
「注文後、すぐに出せるように、いろいろ準備されてるんだ~」

すでに130年以上続く食堂…若い5代目もいて、その歴史は、これからも…。

石油ストーブの上には、お茶をいれたヤカンが並んでいます。「なんか昭和だね~」

「子供のころや、若いころ来たお客さんが、懐かしがって、よく立ち寄ってくれます」とご主人。昔と変わらぬものがあると、なんとなくホッとするもの。

「また、来ま~す」と、ミモロは、手を振りながら、お店をあとにしました。

*「常盤」京都市中京区寺町三条上ル 075-231-4517 11:00~19:50LO (16:00~休憩があることも)水曜休み 
 
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