かーちゃんはつらいよ

施設入所した18歳そうちゃん(自閉症、最重度知的障害、強度行動障害、てんかん)のかーちゃんが書く雑記。

キャンプは?

2020年08月10日 21時27分09秒 | みゆみゆとの生活
2回やったら3回やる。
3回やったら永遠にやる。
そうちゃんは自閉ちゃんなので、基本ラインはそう決まっている。

去年も一昨年もお盆休みはキャンプに行った。
自閉症協会のキャンプで、ボランティアさんたちがガッツリ関わってくれて、親としても安心だった。
2年連続で父子で参加し、今年はいよいよ夫は親の中心メンバーとして運営にも関わるはずだった。

当然今年も行くよね?と思っていたらしいそうちゃん。
先週末、お風呂で突然歌い出した。
「♪もーえろよ もえろーよ ほのおよ もーえーろー」
裏声で浪々と歌う。
聞いてすぐに、ピンときた。
「そうちゃん、キャンプ行きたいの?」
「キャンプいく」
やはり。自閉症協会のキャンプのことだ。よく覚えてるなー。
「キャンプ行って、誰と遊ぶんだっけ?」
「○○さん」
すげ。去年担当だった大学生の名前がスッと出てきた。
(私は覚えておらず、記憶力のいい夫に確認したら合ってた)

こんな感じに、一年のスケジュールがほぼ頭に入っているそうちゃんにとって、今年の夏は訳わからんことの連続なんだろな。
RADWIMPSの「なんでもないや」に「夏休みのない8月のよう」という歌詞があったけど、それに近いことが現実に起きちゃっている。
こんな風になるなんて、誰も想像してなかったもんなー。

「ごめんね、そうちゃん。今年はキャンプは行かないの。お休み。キャンプ場、開いてないんだって。
だから今年はおうちで遊んだり、カラオケとか行こうね。」
コロナが、なんて言っても混乱するだけだろうと思い、シンプルに伝えてみた。
そうちゃん、浮かない顔で遠くを見ながら「はい・・・」と小さな声でつぶやいた。
こういうとき、ちょっと切ない。

感染症の危険がわからないので、マスクもちゃんとはつけられない。
でも真面目だから、朝の着替えの時に靴下はいた後当たり前のようにマスクを顎につけている。
「マスクで口かくしてよ」と言うとサッと上げるけど、次の瞬間には顎に下ろされている。
どんだけ顎を守っているのか。
多分顎だけ日焼け残りして白くなるな。
目に見えないウイルスを予防するためにマスクをしなければいけないなんて、どう伝えてもそうちゃんにはわからない。
むしろ、息がしづらくなる物を口に当て続けることに対する生体防衛反応の方が先立つのは、仕方ないことにも思える。

コロナのために、「従来通りを繰り返す」ことができなくなった日常。
そうちゃんにとって、「新しい日常」は「未知との遭遇」の連続で、混乱と緊張の日々だろう。
不安定な気持ちの時は、音に過敏になったりこだわりが強くなったりする。
「食事後すぐに食器を片付ける」はお行儀よくて褒められることだけど、
それをデイで他の子やスタッフさんにまでやるようになると、別問題。
人の分を勝手に片付けようとして止められたりすることが増えているみたい。
「まだ片付けないよ。○○くんがやるから、そうちゃんは触らないで」
と言えば止まるから、大人から見れば微笑ましい「せっかちさん」「お世話焼きさん」に映る。
けど、本人にとっては必死なんだよなー。だって、わからないんだから。なんで「いつも通り」「ルール通り」に物事が動いていかないのか。

その場ではなんとか我慢できても、結局解決していない「なんで?」が蓄積して後で爆発したりする。
落ち着いてて調子がいいと、ちょっとくらいの変化は受け流してくれるんだけどね。

とはいえ、
「もえろよ もえろ」は可愛い。
来年は行けるといいね。