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今夜のハイビジョン特集は、文豪・森鴎外の処女作「舞姫」が世に出て今年で120年目に当たることを記念して、この物語に登場する踊子エリスのモデルとなった女性の実像に迫るという内容だった。この小説は、鴎外がドイツ留学時代の体験を基にした私小説的な作品と言われている。しかし、鴎外は生涯ドイツ時代の恋人について明らかにすることはなかったので、今日まで謎とされてきた。今も残されるエリスから贈られたというモノグラムに秘められた謎を解き明かしていくくだりは、ミステリー小説のような面白さがあった。ナビゲーターは、モデルでありエッセイストの華恵さん。僕はたまたま、今調べている熊本の古地図が1650年頃のもので、森鴎外のもう一つの代表作「阿部一族」の題材となった阿部弥一右衛門の殉死事件が起きた1641年とほぼ同年代であることから、地図の中に阿部家の屋敷がないか調べていたので、今日、鴎外が取り上げられたことに奇妙な偶然を感じた。