徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

八丈島追想

2016-10-27 15:56:42 | 音楽芸能
 30年ほど前になるが、まだ東京勤務の頃、一度だけ八丈島に行ったことがある。会社の水泳部仲間とダイビングをするのが目的だった。一泊二日のタイトな日程の中、目いっぱい潜ろうと日中はほとんど海の中だった。おかげで美しい海と、出逢った多くの魚たちの思い出は残ったが、島の観光ができなかったことがいまだに残念だ。


 関ヶ原で敗れた戦国武将・宇喜田秀家が流されて以来、江戸時代は流刑の島として知られた八丈島だが、その昔、八丈島は「女護ヶ島」ともいって、美しい女性ばかりが住み、男性が足を踏み入れると二度と島を出られないという伝説も残っている。
 本條秀太郎さんの「俚奏楽 島めぐり」にも歌い込まれている八丈島の代表的民謡に「八丈ショメ節」という唄がある。盆踊りや宴会などで即興で歌われた唄で、何百という歌詞があるというが、その中で「めならべ」という島言葉が使われている。「女童」あるいは「美並」とも書いて若い娘のことだそうだが、森田曠平が描く下の絵のような光景だったのだろうか。


森田曠平 「八丈のめならべ達」




〽 イヤー 沖で見たときゃ 鬼島と見たが 来て見りゃ八丈は 情け島 ショメーショメ
〽 イヤー 胸にあるほど 打ち明けられず 書いてまた消す 磯だより ショメーショメ
〽 イヤー 筆を柱に 硯を船に 書いた文をば 帆に巻き上げて 実と誠の 荷物に積んで
      愛の八丈へ そよそよと ショメーショメ


 2014年10月25日 熊本城本丸御殿「秋夜の宴」
【立方】花童くるみ・花童文乃
【地方】唄と三味線:本條秀美と本條秀美社中  鳴物:中村花誠と花と誠の会