父が亡くなって今年で19年。生前、父が最も好きだった歌が、五高(旧制第五高等学校)の寮歌「武夫原頭に草萌えて(ぶふげんとうにくさもえて)」だった。酒が入るとよく歌っていたものだ。といっても父は五高のOBというわけではない。父は師範学校の卒業。本人は済々黌-五高と進みたかったらしいのだが、祖父が早世し、寡婦となった祖母のもとでは経済的に厳しかったのだろう。父の生家は五高にほど近い立田山の麓だったこともあり、幼い頃から五高に馴染みがあったようだ。門前の小僧よろしく、寮歌も幼い頃から知っていたのかもしれない。今思えば、父はこの歌を歌う時、万感の想いを込めていたのかもしれない。
武夫原頭に草萌えて(五高寮歌)
武夫原頭に草萌えて(五高寮歌)