徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

もみじの木

2021-03-28 20:46:17 | 
 弟が逝った。たった一人の男兄弟だった。一昨日の朝、妙に弟のことが気になって弟の妻に電話をかけた。すると即座に「さっき亡くなった」と衝撃のひと言が。入院していたが、今、家族もろくに面会できない状況で、死に目にも会えなかったという。
 昨日今日と続いた通夜と葬儀を済ませ、火葬も終えて帰宅し、母に報告をする。母は気丈に「ご苦労さま」と言った。寂しさと悲しさがこみ上げる。
 弟との思い出は枚挙にいとまがないが、そんな中になぜか1本のもみじの木の思い出が。昔、わが家と隣りの家の間に生えていたもみじの木だ。僕と弟がともに小学生だった頃、この木の下でよくキャッチボールをした。段々力が入って来て、僕の投げる球のスピードが速くなる。しばらくは怖いのを我慢してグラブを差し出していた弟が突然、グラブを投げ出して脱兎のごとく逃げて行く。そんなことが何度もあった。三つ違いだったから無理もない。
 弟の遺影を見ながらつぶやく。「僕の弟に生まれてきてくれてありがとう!」