徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

「なすとかぼちゃ」のエトセトラ

2022-07-16 22:45:26 | 音楽芸能
 今日の日テレ「満天☆青空レストラン」はかぼちゃが主役だった。なすやかぼちゃなどの夏野菜が美味しい季節だ。今年百寿を迎えた母はかぼちゃが大好物でつい食べ過ぎるのでわれわれ家族が注意しないといけない。かぼちゃは水分を持ってかれるので喉に詰まらせたら大変だ。
 それはさておき、なすやかぼちゃと聞くとどうしても端唄「なすとかぼちゃ」を思い出す。江戸端唄・俗曲の笹木美きえ師匠によれば

――この唄は幕末より唄い出され、お座敷や寄席でも踊られた。大正まで流行が続き、立花家橘之助が「奥州街道で…」から甚句形式を加えた賑やかな「浮世節」で唄うようになった。――
という。 
 立花家橘之助(たちばなやきつのすけ)というのは明治から昭和前期まで活躍した女流音曲師で、色物(いろもん)でありながら寄席のトリを務めていたという。5年前に女性三味線漫談の三遊亭小円歌が80年ぶりに二代目として立花家橘之助の名跡を継いだ。「浮世節」というのは初代立花家橘之助の唄い方や三味線奏法のこと。
 立花家橘之助人気もあって「なすとかぼちゃ」も広く人気を博したようだが、この唄の最後に「汽車は出て行く 煙は残る 残る煙が癪の種 コリャコリャコリャ」というような一節を加える場合があったという。この歌詞は明らかに「船は出てゆく 煙は残る 残る煙が あー痛たったった しゃくのたね」と唄う「品川甚句」の引用と思われる。「品川甚句」も立花家橘之助の得意な曲目だったので調子が乗った時のサービスだったのかもしれない。


端唄「なすとかぼちゃ」


品川甚句