巨匠黒澤明の没後25年。先週土曜日、ETV特集「黒澤明が描いた『能の美』」が放送された。撮影を始めたものの未完に終わったドキュメンタリー映画「能の美」が紹介されるとともに、能を取り入れた黒澤映画の中から「蜘蛛巣城」や「乱」などで、メイク、衣装、所作などに能がどのように取り入れられたかが解き明かされた。これまでも黒澤映画と能の関係を紹介するTV番組や文献には触れる機会があり、断片的な知識はあったが今回の番組でだいぶ整理できたような気がする。
しかし、僕にとって黒澤映画と能のかかわりを知った最初の作品は能「安宅」をもとにした「虎の尾を踏む男達」である。製作されたのが1945年、終戦の1ヶ月後というから驚きだ。さすがに米軍占領下では公開できず、初公開は7年後の1952年となった。
この映画の面白いところは謡曲がミュージカル風の歌曲に置き換えられている。よく能の解説に「能は日本のミュージカルである」という説明を聞くが、まさにミュージカルなのである。この発想が面白い。そんな歌曲の中からオープニングの「旅の衣は篠懸の」の一節と、安宅の関所を前に義経が強力姿に身をやつすシーンの「げにや紅は園生に植えても隠れなし」の一節を再見してみた。
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黒澤明監督
しかし、僕にとって黒澤映画と能のかかわりを知った最初の作品は能「安宅」をもとにした「虎の尾を踏む男達」である。製作されたのが1945年、終戦の1ヶ月後というから驚きだ。さすがに米軍占領下では公開できず、初公開は7年後の1952年となった。
この映画の面白いところは謡曲がミュージカル風の歌曲に置き換えられている。よく能の解説に「能は日本のミュージカルである」という説明を聞くが、まさにミュージカルなのである。この発想が面白い。そんな歌曲の中からオープニングの「旅の衣は篠懸の」の一節と、安宅の関所を前に義経が強力姿に身をやつすシーンの「げにや紅は園生に植えても隠れなし」の一節を再見してみた。
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黒澤明監督
旅の衣は篠懸の(2.0' 頃から)
げにや紅は園生に植えても隠れなし