わが京町の北の外れ、江戸時代は城下町から張出した街だった「出町」。僕が子どもの頃、大人たちは「出京町」と呼んでいた。
熊日新聞のサイトに「古地図で歩く城下町くまもと」という連載企画がある。日頃、このサイトで歴史の勉強をさせていただいているのだが、その中に「京町」を取り上げた回があり、「出京町」について紹介した一節がある。
▼出京町、「街道をゆく」に登場
江戸時代、京町北端の構口(かまえぐち)から出た豊前街道沿いは「出京町」と呼ばれる町人町だった(現池田1丁目、出町、稗田町)。火打ち道具や紅・おしろい、手まり、羽子板などの店が並んでいたという。
司馬遼太郎さんの人気シリーズ「街道をゆく」の「肥薩のみち」に、通り沿いにあった酒本鍛冶屋が登場する。司馬さんたちが店に入ると、金気くさい土間があり、片隅に昔風のふいごがしつらえてある。老店主が出てきて、400年続く店で自分は15代目だ、西南戦争の時も表で弾が飛び交う中、店では逃げずに鉄を打っていたと話す。「このまま黒沢明の映画に使えそうな店格好であった」と司馬さんは書いている。
司馬さんが鍛冶店を訪れたのは「翔ぶが如く」を連載中の1972年で、今ではその店はもうない。ただ、カナダから訪れた若者が同店で修業した後、米国に渡り和包丁職人として活躍している-という話がネットに出ている。
とあった。そこで気になったので米国に渡り和包丁職人として活躍しているという人物を調べてみた。モーリー・カーターという人で、カナダ出身で高校生の時に空手の修行で熊本に来日し、たまたま熊本の「肥後正宗」の登録商標を持つ吉本刃物製作所を通りかかり、興味を持ったそうだ。その後、肥後正宗16代目である酒本康幸さんに弟子入りし、6年の修業を経て、17代目の肥後正宗の職人になったという。帰国後は自分のブランドを持ち、包丁を作り続けているという。カーターさんについては日本のテレビ番組も何度か取り上げたらしい。
わが街にもまだまだ知らないエピソードが埋もれている。
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司馬遼太郎の紀行文集『街道をゆく』の取材に同行した須田剋太の挿絵「酒本鍛冶屋」
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酒本鍛冶屋で修業したモーリー・カーターさん
熊日新聞のサイトに「古地図で歩く城下町くまもと」という連載企画がある。日頃、このサイトで歴史の勉強をさせていただいているのだが、その中に「京町」を取り上げた回があり、「出京町」について紹介した一節がある。
▼出京町、「街道をゆく」に登場
江戸時代、京町北端の構口(かまえぐち)から出た豊前街道沿いは「出京町」と呼ばれる町人町だった(現池田1丁目、出町、稗田町)。火打ち道具や紅・おしろい、手まり、羽子板などの店が並んでいたという。
司馬遼太郎さんの人気シリーズ「街道をゆく」の「肥薩のみち」に、通り沿いにあった酒本鍛冶屋が登場する。司馬さんたちが店に入ると、金気くさい土間があり、片隅に昔風のふいごがしつらえてある。老店主が出てきて、400年続く店で自分は15代目だ、西南戦争の時も表で弾が飛び交う中、店では逃げずに鉄を打っていたと話す。「このまま黒沢明の映画に使えそうな店格好であった」と司馬さんは書いている。
司馬さんが鍛冶店を訪れたのは「翔ぶが如く」を連載中の1972年で、今ではその店はもうない。ただ、カナダから訪れた若者が同店で修業した後、米国に渡り和包丁職人として活躍している-という話がネットに出ている。
とあった。そこで気になったので米国に渡り和包丁職人として活躍しているという人物を調べてみた。モーリー・カーターという人で、カナダ出身で高校生の時に空手の修行で熊本に来日し、たまたま熊本の「肥後正宗」の登録商標を持つ吉本刃物製作所を通りかかり、興味を持ったそうだ。その後、肥後正宗16代目である酒本康幸さんに弟子入りし、6年の修業を経て、17代目の肥後正宗の職人になったという。帰国後は自分のブランドを持ち、包丁を作り続けているという。カーターさんについては日本のテレビ番組も何度か取り上げたらしい。
わが街にもまだまだ知らないエピソードが埋もれている。
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司馬遼太郎の紀行文集『街道をゆく』の取材に同行した須田剋太の挿絵「酒本鍛冶屋」
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酒本鍛冶屋で修業したモーリー・カーターさん
酒本鍛冶屋のご近所「塩津米穀店」を出自とする喜多流能楽師塩津家三代目・塩津圭介さん