僕はサラリーマン時代、久留米にあった会社の吹奏楽団の演奏会に深く関わったことがあるので、吹奏楽には強い関心がある。ある時、吹奏楽団員の一人から悩みを聞いたことがある。彼は高校時代、吹奏楽部で活躍し、その腕をさらに磨きたいと、実業団ではトップクラスの吹奏楽団を持つ企業ということで入社したという。しかし、入社後数年が経ち、このまま会社員の余技として吹奏楽を続けて行くのか、はたまた本当に音楽の腕で勝負する世界に飛び込むべきか悩んでいるということだった。僕はその時、何のサジェスチョンもできなかったが、演奏会では生き生きとしていた彼らが日頃そんな悩みを抱いていることを初めて知った。それ以来、吹奏楽コンクールに参加している高校や大学や企業の楽団員を見ると、彼らは自分の将来について、どう考えているのだろうと気になるようになった。
最近、この小林香織もそうだが、堤智恵子や纐纈歩美(こうけつあゆみ)など、女性のサクソフォン奏者の名前をよく聞くようになった。彼女たちも学生時代は吹奏楽部で頑張って来た人たちであろう。いずれも自らの努力で道を切り開いてきたのだろうと、彼女たちには敬意を表するしかないが、一人でも多くの吹奏楽部員たちが自己実現できることを願ってやまない。
演奏しているのはジョージ・ベンソンが歌って有名な「Nothing's Gonna Change My Love For You」(邦題:変わらぬ想い)」