徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

熊本地震から7年

2023-04-14 19:07:58 | 
 今日は熊本地震の前震から7年。あっという間だった気もする。最近は自分自身の中で風化が始まっているような気がして、今日は7年前の地震発生直後から13回にわたってブログに書いた「余震のまにまに」を読みなおしてみた。時々、こういう記憶のリマスター作業が必要なようだ。
 当時、ブログには掲載しなかった写真を4枚選んでみた。


崩落した往生院山門(4月18日)


鯱や瓦が落ちた熊本城大小天守(4月19日)


崩落した東十八間櫓に押しつぶされた熊本大神宮社務所(6月12日)


転落寸前まで動いた鼻欠け地蔵(7月10日)


 1997年に20数年ぶりに熊本に帰ってあらためてふるさとの美しさを認識した。一日も早くあの頃の熊本に戻ってほしいという願いを込めて。
   ▼火の国旅情

牛深ハイヤ節にまつわる話(2)

2023-04-13 22:29:42 | 伝統芸能
 3月25日にNHK九州・沖縄で放送された「キミだけ応援団」で紹介された「牛深ハイヤ」を伝承する牛深高校郷土芸能部の活動をこのブログで取り上げた。番組の中で、高校生を指導する牛深ハイヤ保存会のメンバーが歌詞の意味を教える場面があった。それは
「お前さんに暇状(ひまじょう)はやいもせんが取いもせん」という長囃子の一部だった。これは「あなたに離縁状をやりもしないし、もらいもしない」という意味だと説明していた。意味はわかるのだが、どういう状況なのかの説明はなかった。
 この長囃子には「権現山から後ろ飛びゃするとも」という前段がある。天草の久玉町と魚貫町にまたがる権現山という400㍍くらいの山がある。その山の断崖から飛び降りるという意味。「清水の舞台から後ろ飛び」がもとになったと思われるが、重大な決意をもって行動を起こす時の常套句だ。わが熊本にも「ええもさいさい 百間石垣後ろ飛び」という追い詰められた盗賊が熊本城の百間石垣から飛び降りたという伝説が残っている。この「後ろ飛び」と言うのは、飛込競技で言う「後ろ飛び」ではなく、飛び降りることを大げさに表現したものらしい。
 つまり、「エーサ 権現山から後ろ飛びゃするとも お前さんに暇状はやいもせんが取いもせん」という長囃子は「どんな困難があろうとあなたのことを見捨てませんよ」という意味の比喩表現だと思われる。
 そんな表現が使われる背景は、昭和2年に出版された民俗学者・宮武省三のルポ「習俗雑記~牛深女とその俗謡について」に書かれており、このブログに転載したことがあるので、興味のある方はぜひご一読いただければ幸いである。

 牛深女とその俗謡について(1)2012.7.7
 牛深女とその俗謡について(2)2012.7.11


牛深港

   6´20″から次の歌詞が歌われます。
ハイヤエー沖の 瀬の瀬にドンと打つ波はエー あれは船頭さんの サーマ 度胸さだめヨー
エーサ 権現山から後ろ飛びゃするともお前さんに暇状はやいもせんが取いもせん

夏目漱石来熊記念の日

2023-04-12 19:05:16 | 歴史
 明日は、今から127年前の明治29年4月13日、第五高等学校の教師として赴任した夏目漱石が上熊本駅(当時は池田停車場)に降り立った日。
 7年前のこの日、上熊本駅に蒲島熊本県知事や大西熊本市長らも出席して「夏目漱石来熊120年 お帰りなさい漱石祭」が盛大に行われた。漱石記念年の華々しいスタート、となるはずだった。しかし、その翌日、震度7という大地震が熊本を襲った(熊本地震前震)。予定されていた漱石記念年行事の中には中止されたり、内容が変更されたりしたものもあった。そして何よりも、われわれ漱石ファンでさえも「それどころじゃない!」という気分になってしまった。僕も当初は参加を予定していた行事にほとんど参加しなかった。漱石顕彰の拠点でもある「漱石内坪井旧居」は地震による損壊で閉鎖された。漱石先生にはお気の毒なことになった。次にこの行事が行われるのはおそらく来熊140年の2036年になるだろう。はたしてそれまで元気でいられるだろうか。


上熊本駅旧駅舎。駅前ロータリーに漱石像が設置されていた。


夏目漱石記念年の特別仕様トラム。


旧上熊本駅の駅舎が移築された市電上熊本電停を漱石来熊時の池田停車場に見立てて。


蒲島熊本県知事や大西熊本市長らが漱石先生(役者)をお出迎え。


上熊本駅前広場では歓迎セレモニーが行われる。


セレモニーには旧五高生やくまモンも登場。


池田停車場から人力車で京町の新坂を越えた行程を再現。

▼平成8年(1996)には漱石来熊100年を記念して「’96くまもと漱石博」が行われた。

「’96くまもと漱石博記念誌」より

旅の衣は篠懸の…

2023-04-10 22:12:53 | 古典芸能
 巨匠黒澤明の没後25年。先週土曜日、ETV特集「黒澤明が描いた『能の美』」が放送された。撮影を始めたものの未完に終わったドキュメンタリー映画「能の美」が紹介されるとともに、能を取り入れた黒澤映画の中から「蜘蛛巣城」や「乱」などで、メイク、衣装、所作などに能がどのように取り入れられたかが解き明かされた。これまでも黒澤映画と能の関係を紹介するTV番組や文献には触れる機会があり、断片的な知識はあったが今回の番組でだいぶ整理できたような気がする。
 しかし、僕にとって黒澤映画と能のかかわりを知った最初の作品は能「安宅」をもとにした「虎の尾を踏む男達」である。製作されたのが1945年、終戦の1ヶ月後というから驚きだ。さすがに米軍占領下では公開できず、初公開は7年後の1952年となった。
 この映画の面白いところは謡曲がミュージカル風の歌曲に置き換えられている。よく能の解説に「能は日本のミュージカルである」という説明を聞くが、まさにミュージカルなのである。この発想が面白い。そんな歌曲の中からオープニングの「旅の衣は篠懸の」の一節と、安宅の関所を前に義経が強力姿に身をやつすシーンの「げにや紅は園生に植えても隠れなし」の一節を再見してみた。


黒澤明監督


旅の衣は篠懸の(2.0' 頃から)


げにや紅は園生に植えても隠れなし

春麗ら

2023-04-09 18:38:37 | 
空の下、熊本県の県木でもあるクスノキの若葉が美しい。常緑樹であるクスノキは新しい葉が芽吹くと古い葉は紅葉して落ち、新旧の入れ替わりが行われる。今はまさに交替が終わったばかりで目にも鮮やかな萌黄色を楽しむことができる。



崎台球場ではここを本拠地とするプロ野球独立リーグ・九州アジアリーグに所属する火の国サラマンダーズの試合日。今日は北九州下関フェニックスとの3戦目。試合前、球場前広場ではチアガールのSallysがファンにパフォーマンスを披露していた。



国神社は毎年春の訪れを告げる境内や鳥居前の梅の季節が終わり、桜もソメイヨシノは葉桜となり、残るはピンク色の八重桜のみとなった。



藤神社の「清正公まつり」は毎年7月に行われていたが、今年から4月に行われることになった。今年は4月23日(日)に行われる。神幸行列が通るお膝元の京町では電柱に幟旗を取り付けるなど準備が進んでいるようだ。

金栗記念大会で陸上競技新シーズンがスタート!

2023-04-08 21:47:25 | スポーツ一般
 今年も熊本は「金栗記念選抜中長距離大会」で陸上競技の2023シーズンが始った。
 昨年・一昨年に続き、この大会の目玉は女子中長距離のエース田中希実選手。自ら日本記録を持つ1500mに出場した。さすがに日本陸上界のスター。彼女のレース直前になるとスタート地点にメディア各社が集結。観客も彼女を近くで見ようと移動してきた。
 今日のレースでは彼女は本調子には程遠いように見え、同じチームで競い合ってきた、後藤夢選手に次いで2位に甘んじた。プロ転向など環境の変化にまだ適応できていないのだろう。今後の復調に期待したい。


レース前の選手紹介で挨拶する田中希実選手。手前17番が後藤夢選手。


レースを引っ張る田中選手と後藤選手。

散る花を 惜しむ心やとどまりて

2023-04-07 19:11:46 | 文芸
 未明まで降り続いた「桜流しの雨」もやっと止んだ。数日前、花見客で賑わった熊本城周辺を散策してみると、咲き残る花をまばらに残しながらほとんど葉桜に近い状態となっていた。毎年繰り返される風景だが、つい、自分はあと何回桜を見ることが出来るのだろうと思ってしまう。千年昔の人々もきっと同じ思いだったに違いない。

 春雨の 降るは涙か桜花 散るを惜しまぬ 人しなければ(大友黒主) 

 散る花を 惜しむ心やとどまりて また来ん春の たねになるべき(西行)



桜花散るを惜しまぬ人しなければ


   ▼創作舞踊「桜月夜」

牛深ハイヤ節にまつわる話(1)

2023-04-05 21:38:12 | 音楽芸能
 コロナ禍で中止や縮小開催が続いた「牛深ハイヤ祭り」もやっと今年は正常な形での開催に戻りそうだ。
 その「牛深ハイヤ節」にまつわる話を二つ。今日はその1。
 江戸時代からの海運などによって全国約40ヶ所に伝わったといわれる「牛深ハイヤ節」はこれまで、奄美大島で古くから歌われてきた「奄美六調」と呼ばれるノリのいい歌がもとになっていると聞いてきた。しかし、鹿児島純心女子短期大学の小川学夫名誉教授による「奄美の島唄研究」によるとこの「六調」というのは、本土に広く伝わる 「六調子」 がもとになったものであるという。鹿児島本土、 宮崎、熊本でも 「六調子」 は盛んに歌われるが、その一例として熊本の人吉地方で歌われる「球磨六調子」をあげて、奄美の 「六調」 と曲名、詞形、囃子詞がほとんど一致していて、本土系であることは疑いない、と断言しておられる。これまでの概念が覆る興味深い研究である。

 その「球磨の六調子」もその起源について「牛深ハイヤ節」が球磨川を遡って伝わったという説や、瀬戸内地方や大分県などで広まった「よいやな節」が南下してきたという説など諸説あるのが面白い。

2015.3.11 熊本市民会館大ホール「人づくり基金コンサートVol.4 民謡 力!」唄:川口優空(中2)

 上の「球磨の六調子」が「奄美六調」となり、それが逆輸入されて「牛深ハイヤ節」になったのだろうか。



2015.10.12 西光寺 はつ喜月若 名取披露より
立方 はつ喜月若・花童あやの・花童あかね・花童ゆりあ
地方 【 唄 】本條秀美・西村直子
   【三味線】本條秀美・本條秀紫・蒲原サヤ子・勇美智子
   【鳴 物】中村花誠と花と誠の会

 上の「牛深ハイヤ節」には、東京YSさんから次のような興味深いコメントをいただいたことがある。

――太鼓が効いた重心の低いサウンドは、1978からワシントンD.C.を中心に広まったGO GOにそっくり!このノリのいい演奏と指先まで気の張った見事な踊りはワールドクラスのエンターテイメントだと思います。もっと長尺で延々と拝見したいですね。踊らせる民謡とアフロ系リズムとの繋がりは、確実にあると感じてます。――

「GO GO」のゴッドファーザーと呼ばれたチャック・ブラウンのヒット曲「The Party Roll」


今日の駄話

2023-04-04 20:18:04 | 
 桜もソメイヨシノが散り始め、八重桜や御衣黄など遅咲きの桜が主役になりつつあるようだ。街では統一地方選挙の県会議員と市会議員の選挙カーが次から次とやって来てうるさい、うるさい!
 一方、新年度となり会社や学校など入社式や入学式のニュースが盛んに流される。見ていて気になるのは新入社員や新入生を迎える社長や学長らの講話だ。WBCや大谷選手などの話題を引合いにしながらグローバル化への心構えやマルチな能力開発など、大変立派なお話ばかりなのだが、原稿に目を落としたままだったり、スピーチに力が感じられなかったり。もちろんニュースだから講話のダイジェストではあるのだが、ニュースで流されるのは話の要諦をクリッピングしているはず。はたして新入社員や新入生たちにどの程度伝わっているのだろうかと他人事ながら心配になる。もっとご本人たちのスピーチ力を訓練することが先決なのではと思ったりした。


熊本城三の丸の御衣黄桜

あいみょんが「鶴瓶の家族に乾杯」に登場!

2023-04-03 22:32:08 | テレビ
 今夜の「鶴瓶の家族に乾杯」秋田県五城目町の旅編に人気シンガーソングライターのあいみょんが登場。2年前の正月「ブラタモリ」と「鶴瓶の家族に乾杯」のコラボ番組以来の鶴瓶との共演となった。これまで鶴瓶の「A-Studio」(TBS)やタモリの「タモリ倶楽部」(テレ朝)にも出演しており両御大の覚えもめでたかった。今回も鶴瓶との息はピッタリ。今夜は前編だったので内容はまた別の機会にするとして、見ながらふと思ったのは彼女が出演した「タモリ倶楽部」のこと。3月末で40年の歴史にピリオドを打ったが、あいみょんが出演したのはなんと「春画脇役大賞」という企画の回。彼女は臆面もなく「春画が趣味」と公言してはばからなかったが、番組でもなかなかの春画通ぶりを見せていた。「タモリ倶楽部」が続けば、期待していた春画企画の第二弾もありえたと思うし、あいみょんの出番もあったのではと思うとちょっと残念な気もする。
 それはさておき、若い頃からずっと見てきた番組が消えていくのはやはり寂しいものだ。


2023年1~3月動画視聴ベスト10

2023-04-02 17:56:53 | 音楽芸能
 YouTubeマイチャンネルの「2023年1~3月動画視聴ベスト10」は次のとおりでした。

 今年は年初から「伊勢音頭」が好調で、過去2年、年間最多視聴動画となった「幸若舞 敦盛」の牙城に迫るのかどうか今後に注目です。

 サムネイル画像をクリックしていただきますと動画を視聴いただけます。

1.伊勢音頭(8,576回)


2.幸若舞「敦盛」(6,847回)


3.おてもやん(6,488回)


4.南部俵積み唄(6,014回)


5.熊本民謡おてもやん(4,699回)


6.ひえつき節(4,541回)


7.かっぽれ(3,740回)


8.こわらべ ~ 京ものがたり ~(3,252回)


9.花童 ~ たわらはごろごろ/うれしいひなまつり ~(2,565回)


10.こわらべ ~ 江津湖音頭 ~(2,501回)

四つ御廟とガラシャ夫人のクルス

2023-04-01 18:12:19 | 鎮魂
 一昨日、実は立田山から小峰墓地に向かう途中、泰勝寺跡(立田自然公園)に立ち寄って肥後細川家の初代藤孝夫妻と二代忠興・ガラシャ夫妻の墓「四つ御廟」にお参りした。先月、何者かによって四つ御廟に赤い液体がかけられたというニュースを見ていたので、その後の状況を確認しておきたいということもあった。公園係員の話ではまだ調査中で何も処置は行われていないらしい。ただ、普通にお参りしている分には特に違和感はなかった。接近して見れば分かるのかもしれないが、こちとらが変に疑われても困るので接近するのは控えた。

 この泰勝寺は明治時代初期に廃寺となるまで臨済宗のお寺だったので、ガラシャ夫人廟といえどキリシタンを表象するものは何もない。いつもお参りする度にそれがお気の毒な気がする。
 ところで、ガラシャ夫人が最期の時まで肌身離さず持っていたクルスの中心には、明智家の家紋である桔梗が彫られている。ガラシャ夫人がゆるぎない信仰とともに明智の出であることをいかに誇りとしていたかが分かる。
 また、桔梗紋は加藤清正の家紋としてもよく知られている。加藤清正を祀った加藤神社では蛇の目と桔梗の合せ紋が使われており、60年前まで加藤神社が鎮座していた京町は今でもお膝元という思いがあり、各所で桔梗紋が見られる。先祖を遡ると明智家と加藤家は親戚関係になるという。

 ガラシャ夫人廟にお参りしながら、あらためてその悲劇的な運命に思いを致すとともに、「四つ御廟に液体」事件の早期解決と再発防止を願ったひと時だった。


ガラシャ夫人廟


大阪のカトリック玉造教会壁画に描かれたガラシャ夫人


舞踊団花童公演・舞踊劇「細川ガラシャ ~玉の一生~」でガラシャに扮したはつ喜月蘇女さん


ガラシャ夫人が最期の時まで身に着けていたクルス(実物)


クルスの中心に明智家の家紋である桔梗が


かつて加藤神社が鎮座していた京町には桔梗紋が目につく


加藤神社の幟には蛇の目と桔梗の合せ紋

   ▼創作舞踊「細川ガラシャ」(Viento 作曲)
2014.4.6 水前寺成趣園 「水前寺まつり」
演奏:Viento ケーナ:吉川万里 シンセサイザー:竹口美紀
鳴物:中村花誠・今村孝明
振付:中村花誠
舞踊:ザ・わらべ(中村くるみ・上村文乃)・黒木界成