どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

どうして カは みみのそばで ぶんぶんいうの?

2021年09月17日 | 絵本(昔話・外国)

     どうして カは みみのそばで ぶんぶんいうの?/ヴェルナ・アールデマ・文 レオ・ディロン ダイアン・ディロン やぎたよしこ・訳/ほるぷ出版/1978年

 

 西アフリカの昔話をもとに、アメリカのかたが書かれたもの。

 毎日おひさまをおこすのは かあさんフクロウのやくめでした。ところが ある日から かあさんフクロウが、おひさまをおこさず 夜がいつまでもいつまでもつづきました。

 おうさまライオンは、動物会議をひらき、原因を追究します。

 かあさんフクロウが「サルが、わたしの こどもを 一羽、ころしました。ですから、どうしても おひさまを おこすきもちに なれません」というので、サルを といつめます。

 サルは「カラスが わるいんです。あいつは、なんども、なんども ないて、危険を知らせました。わたしは、カラスの てつだいを しようと、木から木へ はねていきました。わたしが さわった 枝が折れ、ふくろうの巣の上に、たーっと 落ちました。」といいます。

 カラスは、ウサギがわるい、ウサギはニシキヘビがわるい、にしきへびはイグワナが わるいといいます。

 イグワナは「カの やつが、あんまりひどい うそをつくもんだから がまんができず カの声が 聞こえないよう、耳に 木の枝で 栓を したんだ」といいます。

 かあさんフクロウが、「カを こらしめろ! カを こらしめろ!」という動物たちの叫び声を聞いて きがすみ 顔を ひがしにむけて「ホー、ホーオオ、ホーオオオオ!」となくと、おひさまが のぼってきました。

 カは、藪のなかにかくれていて だれにも みつからずにいました。でも、カは、きがとがめているのです。いまでも、カは あたりを とびまわり、人間の耳に「ブーン! まだ みんな、あたしの ことを おこっている?」と ささやいています。そして その返事は?

 

 動物たちの描き方が独特です。

 動物会議のとき、前段で展開したのが、もういちど繰り返えされるので、やや冗長でしょうか。

 動物たちの動きを「めく、めく、めく」「わさうす、わさうし、わさうし「くりっく、くりっく」などと表現していますが、しっくりしませんでした。

 また”つんぼ”という表現がでてきますが、今はあまり使われない表現。2002年の15刷ですが、このあと版を重ねた際に訂正されたのでしょうか。


スズメじる・・奈良

2021年09月16日 | 昔話(関西)

            奈良のむかし話/奈良のむかし話研究会/日本標準/1977年

 

 都道府県別に出版されている日本標準のシリーズは、出版から50年弱。このシリーズには話者、再話者のお名前がのせられています。

 タイトルからはイメージできませんが「鳥呑み爺」に にています。

 おじいさんが山へしばかりにいって、しょんべんしているとチンポのさきにスズメがとまりました。おじいさんはスズメをつかまえ、おばあさんにスズメじるをつくってといって、また山へでかけました。

 おばあさんがスズメじるをつくって味見をすると、これがとまらない。一ぱい 二はい味見しているうちに、しるをすっかり すすってしまいます。

 すると おばあさんのしりから「シュシューガラガラ シュシュポン」と おもしろいへーが。

 おじいさんが山からかえると、おばあさんはスズメじるを みなすってしまったら みょうなへがでてきたことを はなします。するとまた「シュシューガラガラ シュシュポン シュシューガラガラ シュシュポン」と、なんぼでもでてきます。お殿さまによばれて、へをこくと、おとのさまはおおよろこび。ほうびをたんともらって かえります。

 話を聞いた となりのよくばりばあさんが「わしも、へこいて、ほうびもらたろ。」と、たらいに水をくんで、そのなかへ一日中尻をつけて、お殿さまのところへでかけます。ところが・・・。

 

 「スズメじる」というのもはじめてですが、どんな味? 話者の方は、女性の方ですが、どんなところで話されたのでしょうか。


へんかしら そうかしら

2021年09月15日 | 絵本(日本)

     へんかしら そうかしら/内田麟太郎・文 高部晴市・絵/鈴木出版/2020年

 

 へのへのもひじ風の表紙にひかれて ぺーじをめくると

 同音異義ならぬ同音異絵がずらり

  ばったー バッタがバットを握って 野球中

  くも 蜘蛛と雲

  ぼたん 牡丹とボタン

  しまうま 島と馬

 ところところでてくる太陽の顔、人の頭がかぼちゃだったり、猫、鏡餅だったり。

 ”へんかしら どうかしら” と問われて???

 

 絵を見ないとつたわらない世界です。特徴ある表紙をみたら手にとってほしい。


ねぼすけスーザとあかいトマト

2021年09月14日 | 絵本(日本)

     ねぼすけスーザとあかいトマト/広野多珂子/福音館書店/1995年初出

 

 いつもなかなかめをさまさないスーザが、今日は、ちょっと ちがっていました。今日は、マリアおばさんが作った ことし はじめてのトマトを、市場に運ぶ日なのです。

 ろばのサンチェスと、ホルヒおじさんのところへトマトをはこび、そのあいだに お買い物も。

 買い物から帰ってみると、ホルヒおじさんの店には、お客さんが一人もいません。市場の いちばんすみっこにあって、目立たないのです。

 マリアおばさんが うんと はやくおきて 草を取ったり、悪い虫をとったりして大事に作ったトマト。なんとかトマトを買ってもらおうと、スーザは トマトを入れた むぎわらぼうし を片手で持つと、もう一方の手で ぱちんと ゆびをならして マリアおばさんが はるまつりのときに おどるように あしぶみしながら くるりくるりと まわりはじめました。 

 マリアおばさんが大切に育てたトマトを、どうにか売りたいというスーザの気持ちがつたわってきました。


 俯瞰した市場の活気のある様子、ごったがえす人たちがひとりひとり丁寧に描かれています。
 スーザが、ホルへおじさんからもらったトマトをかじりながら、ろばのサンチェスといっしょに ひまわり畑を通っていく様子には満足感がいっぱい。

 

 女の子の名前がスーザで、どこの国がモデルかきになりました。シリーズになっていますが、はじめての一冊でした。


まだまだ まだまだ

2021年09月13日 | 五味太郎

      まだまだ まだまだ/五味太郎/偕成社/2021年

 

よーい どん!で 五人で かけっこ。あれれ?!もうおわり?

かとおもいきや 五番目の ぼくは まだまだ おわりません!

にぎやかな 町の中を かけっこ

ビルの間からまちはずれを かけっこしていくと そこは はたけ。

うしやひつじもいて

まだまだ ずっと かけっこ

まだまだ まだまだ まだまだ まだまだ かけっこ

あれ! いつのまにか もどってきたみたいで 

六着でした。 

五人なのに六着? 途中 犬が追いかけてきて ゴール前で先着でした。

工事中のところがあったり、交番があったり、道路が噴水のところで蛇行したり、井戸水で洗濯している人がいるなど まわりの風景を発見する楽しみもあります。


きんぴらたろう

2021年09月12日 | 紙芝居

     きんぴらたろう/仲倉眉子・作 ひらのてつお・画/教育画劇/2009年

 

 たろうは村一番の力持ちで、村一番の食いしん坊。牛が暴れたり逃げ出すと力を貸していました。

 この村の畑に、毎日いもを盗みに来る鬼がいました。村人から鬼退治をしてくれるよう頼まれ、ごはんときんぴらごぼうをいっぱいいれた鍋を馬に積んで鬼退治にでかけたたろう。

 なかなか鬼が出てこないので、座り込んでごはんを食べていると ポリポリ サクサクサクという音を聞きつけてやってきました。

 とっくみあいになって、たろうは 投げ出されそうになりました。そのとき おばあさんの 言葉を思い出し、奥歯をぐっとかみしめると、おなかに力がはいって、鬼を頭の上にもちあげてしまいました。鬼はたろうの ちからに びっくり。

 それから たろうは「しろいきもので ならんでて かたい ものでも こなごなに あまくないものも あまくして つよい子を そだてるもの なーに?」
と、なぞなぞをだしました。

 たろうは、降参した鬼に「こたえは 歯だよ」「よくかむと なんでも あまくて おいしくなるし、えいようになって、からだも つよくなるんだよ」と、きんぴらごぼうを食べさせます。(おばあさんの受け売り)

 鬼は 「やきいもしか くわないから、かまわずに のみこんでたんだな」と、反省し、山奥で自分の畑を耕して暮らし、村のものに 手をつけなくなりました。

 よくかむことの大切さが、楽しみながら すんなりはいってきます。「よくかんで」「よくかんで」といわれるだけでは、なかなか身につきません。

 たろう、牛、鬼も かわいらしさいっぱいです。


生まれ子の運・・長崎

2021年09月11日 | 昔話(九州・沖縄)

        長崎のむかし話/長崎県小学校教育研究会国語部会編/日本標準/1978年

 

 外国には、はじめに生まれる子の運命が予言され、そのとおりに展開していく話も多い。

 運命を予言するのは、預言者や裕福な商人、王さま、魔法使いなどなどだが、手紙の書き 換え、結婚、いくつもの難題の解決など、つぎからつぎへと展開していく。

 意外にも日本には、このタイプはあまり見聞きしません。

 そのなかで「生まれ子の運」は、短め。

 予言するのはクスノキです。

 猟師が山へはいり、クスノキ,松の木、杉の木が話しているのを耳にします。

 今夜生まれる子が、なんて泣くのか知りたく、クスノキが生まれた子の家に出かけます。

 クスノキは「よかむすこじゃったばよ。だけど七つの年の節句の船遊びのとき、昼頃かっぱから とられて死ぬってないたばよ」と話します。猟師が家に帰ってみると、まるまるふとった赤子がうまれていました。猟師は、木たちが語ったことを思い出しますが、そのことはだれにもいわずにいました。

 七年たち、節句のお祝いに息子のためによか晴れ着と、よか船を用意すると、猟師の家の前に見知らぬこどもたちが、やってきて連れだって船遊びにでかけます。

 猟師は、胸の中で泣く泣く息子を見送りますが、どうしても気になってあとをつけていきます。よか風が吹き、船は、川上、川下にいったりきたり。風が吹きやまないので船遊びに夢中になった子どもたち。そのうち風が吹きやみ、子どもたちは、時間が過ぎたことをくやしがります。そして「しょうなか。ぬしは長生きしなさい」と、晴れ着をきた子どもたちが、川の中へとびこみます。たくさんいた子どもはカッパでした。

 よか風が吹いて、カッパたちが、遊びすぎたため猟師の息子は命をとりとめ、逆に長生きすることができます。

 精霊の存在は、ひろく信じられていましたから、木が話してもおかしくありません。五節句のひとつ、5月5日は男の子の健やかな成長を祈願しますから、この日に死ぬというのはふさわしくありません。


だいすきなマロニエの木

2021年09月10日 | 絵本(外国)
     だいすきなマロニエの木/オーサ・メンデル・ハートヴィック・文 アネ・グスタフソン・絵 ひだに れいこ・訳/光村教育図書/2015年
 
 
 女の子が「わたしの木」とよぶ、マロニエの木。春、夏、秋、どの季節も おうちのよう。
 
 ところが、春がきても ねむったまま。
 
 大家さんがきて、木は死んでいて、たおれてアパートが こわれたら大変と、木はきられることに。
 
 ただねむっているだけだからと、きられないように木の上にいることにした女の子。
 
 パジャマに毛布、懐中電灯、まくら そしてお菓子、本も準備して、木へ登るとすると、木が女の子に話しかけてきます。
 「わたしは いきている。それに けっして しなないんだよ」
 「あの子たちが そだつ すべての ばしょで わたしも いきつづけるんだよ」
 
 朝おきたら、ベッドの上。クローゼットから 去年の秋に きていたコートをだしてみるとポケットに 五つ実が。植木鉢に 実を植えると、やがて 小さな みどりの芽が。
 
 真夜中、女の子が眠るマロニエの木に点々と しろいあかり。幻想的で木の語りの続きをきいているよう。百年以上もたったマロニエは いろいろなものを見続けてきたのに違いありません。

おかあさん だいすき

2021年09月09日 | 絵本(外国)

     おかあさん だいすき/マージョリー・フラック・作 光吉夏弥:訳・編/岩波の子どもの本/1954年

 

 1954年に出版された息の長い絵本。「おかあさんのたんじょうび」と「おかあさんのあんでくれたぼうし」の二話。

 「おかあさんのたんじょうび」は創作で、「おかあさんのあんでくれたぼうし」は、スエーデンのお話とあるので、昔話からとられたものでしょうか。ただ「たんじょうび」の方が、昔話のリズムです。

 

・おかあさんのたんじょうび

 ダニーという男の子が おかあさんのたんじょうびの おいわいに あげるものを さがしに でかけました。

 めんどりからは、たまごを がちょうからは 羽を やぎからは ちちを ひつじからは毛を めうしからはちちを あげるといわれますが、あるものばかり。

 くまにきこうとする いっしょにいたみんなは 「わたしは ごめん!」というので ダニーはひとりで くまのところへ

 くまは あげるものはないけど いいことをおしえてあげようと そっと 内緒で教えてくれます。くまからいいことをきいたダニーは家に帰って・・・。

 ダニーのプレゼントは、とっても素敵でした。

 

 動物たちと「ぴょん ぴょん」「ぴょんぴょこ ぴょんぴょこ」「とっとこ とっとこ」と走っていく様子と、動物たちから、「○○をあげましょう」と言われるたびに、「どうもありがとう」と断る繰り返しがつづくのは、昔話のリズムです。


・おかあさんのあんでくれたぼうし

 アンデルスは おかあさんがあんでくれたぼうしを とてもきにいっていました。

 ぼうしをかぶって 散歩にでかけると にいさんのともだち おひめさま、王さまから とりかえっこ しようと いわれますが 全部断って おかあさんのもとへ。


 おひめさま、王さまもででてきますから、これも昔話の世界です。

 おかさんの手作りのぼうしは どんなものにも代えがたいとストレートにつたわってきます。

 

 読み聞かせなら、押しつけがましいところがあるので、母親以外のほうがいいかも。

 いまはすべてお金の時代。ただ母親の愛情は、お金に換算できるものではありません。


しの字の嫌いな旦那・・京都、ひまんじょくれ・・長崎

2021年09月08日 | 昔話(日本)

・しの字の嫌いな旦那(いまに語りつぐ日本の民話集 笑い話・世間話5/松谷みよ子・野村純一・監修/作品社/2002年)

 ある分限者のところで、丁稚をほしがっていたが、そこにやってきた長吉は、旦那から”し”ということを言ったら置けないといわれます。
 旦那は長吉をためそうと、四百四十四本の大根を数えさせます。

 長吉は、思案していたが 三百、百本、三十本、十本、三本、一本ありました と答える。

 一本取られた旦那がいうことには「お前なかなかえらいもんじゃ」。

 ”よんひゃくよんじゅうよんほん”といえば”し”を使わずにすみそうですが、”しひゃくしじゅうしほん”といわせたかったのかも。


・ひまんじょくれ(長崎のむかし話/長崎県小学校教育研究会国語部会/日本標準/1978年)

 京都の話のように、四百四十四本の竹を数えさせる話。「ひまんじょ」というのは、ひま のこと。

 次郎という弟が、庄屋の下男として働く条件として、ひまんじょをもらうとき、四のくちをいったらタダ奉公、もし庄屋が四のくちを言ったら、奉公賃は倍返しといわれます。すぐに三年たって、次郎は竹の本数は、四百四十四本といってしまいます。

 タダ奉公されられたことを聞いた兄の太郎が、同じ条件で三年間庄屋のもとではたらきます。三年たって竹の数を聞かれると「三百本、百本、三十本、十本、三本、一本」と、なんども こたえます。

 早口でいわれた庄屋は、よく聞き取れません。何回も何回もたずねた庄屋がおもわず四百四十四本といってしまいます。

 そこで倍返しの奉公賃をもらうことに。弟のかたきをとった太郎の家は、暮らしが裕福になりました。

 

 京都も長崎も444という共通した数字というのが興味深い。


ふたりは ともだち

2021年09月07日 | 絵本(外国)

     ふたりは ともだち/アーノルド・ノーベル・作 三木 卓・訳/文化出版局/1987年

 

 ローベルの絵本で、動物以外が主人公のは見たことがないほど。

 ともだちの かえると がまがえるの いい距離感の いやされるお話が五つ。

 

・はるがきた

 はるなのに まだ ねむっていた がまくん。新しい一年だというかえるくんに、もっと ねるよ という がまくん。

 春がきた素晴らしさを伝え、おきるようにいう かえるくんに、がまくんは、5月の なかばごろに なったら おこしてくれるよう頼みます。

 かえるくんが がまくんの カレンダーをみると 一番上は 11月のまま。そこでかえるくんは・・・・。


・おはなし

 夏のある日、かえるくんは調子が悪そうでした。がまくんは自分のベッドで休むよういい、あついおちゃを 一ぱいつくってやりました。かえるくんは おちゃをのんで、「ひとつお話をしてく れないか?」と、がまくんに お願いします。

 「いいとも」と、がまくんはお話を一生懸命考えました。しかし、家のまわりを ぶらぶらしても、逆立ちをしても、コップの水を あたまにかけても あたまを かべに ドシンドシンとぶっつけても お話は 思いつきません。

 そのうち かえるくんの 調子は良くなり、がまくんのほうが ぐあいがわるく なってしまいます。

 こんどは、かえるくんが、がまくんのために お話をはじめると お話がおわるころ がまくんは もうねむって いました。

 

・なくしたボタン

 上着のボタンを1つなくした がまくん。
 かえるくんとがまくんは、とおってきたところを もどりながら、ボタンを探します。

 ボタンはつぎからつぎへとみつかりますが、がまくんは どれも 自分の物でないといいます。そういいながら、自分の物でないボタンをポケットにいれていく がまくん。

 すずめやあらいぐまさんも ボタンを持ってきてくれましたが、がまくんのではありません。

 がまくんが、ぼくのボタンがないと おこっていえにかえると、なんと床の上に、ボタンが落ちていました。

 がまくんが ポケットにたまった ボタンを 上着に縫い付け ボタンを一緒にさがしてくれたかえるくんに あげると、かえるくんは ぴょんぴょんはねて おおよろこび。

 

・すいえい

 がまくんとかえるくんは、川で水泳をすることにしましたが、がまくんは 水着を きるといいはります。

 「水着を着ると とても おかしな かっこうに みえるんだ」という がまくん。かえるくんは、がまくんを みないように 泳ぎました。

 かめやとかげ、ヘビ、二匹のとんぼ たちがやって来て、がまくんの水着姿をみたいといいますが、どうしても見られたくないがまくんは 水の中で じっとしています。

 だんだん ひえてきて 水からでたがまくんでしたが、どんなぐあいに みえるか まっていた かめ、とかげ へび、のねずみ そしてかえるくんまで わらいます。

 

・おてがみ

 玄関の前で 悲しそうな がまくん。これまで手紙を一度ももらったことがないがまくんは、お手紙を待つ時間が一番不幸せにな気持ちになるといいます。

 話を聞いたかえるくんは、おおいそぎで家に帰って、「がまがえるくんへ」と手紙を書きます。かえるくんは、しりあいのかたつむりくんに、手紙を がまくんのお家の郵便受けに入れてきてくれるよう頼みました。そして、かえるくんはがまくんの家へ。

 「手紙をまっているの あきあきしたよ」というがまくんに「ひょっとして だれかが きみに てがみをくれるかもしれないだろう」と、かえるくんは、なんども まどから のぞきますが、かたつむりくんは やってきません。

 かえるくんは、自分が手紙を書いたことを話し、手紙がくるのを待つます。とてもしあわせな きもちのふたり。

 でもやってきたのは、四日!たってからでした。それでも がまくんは とても よろこびました。

 

 「はるが きた」素晴らしい春も、ひとりっきりではつまらない。

 「おはなし」いつか立場が逆転していきます。

 「なくしたボタン」”しんぱいごむよう”と、がまくんのボタンをいっしょに さがしてあげる かえるくんも素敵ですが、ちゃんと 贈り物をするがまくんも 友だち思いです

 「すいえい」カエルですから、水着は必要ないはずですが。

 「おてがみ」 お手紙をまつ時間のワクワク感があります。

 大事件?はありませんが 二匹の軽妙なかけあいも、楽しめます。


せかいで いちばん すてきな ないしょ

2021年09月06日 | 絵本(外国)

     せかいで いちばん すてきな ないしょ/作・クリフ・ライト 訳・おかだよしえ/学習研究社/2009年

 

 だいのなかよしの三頭のくまさん。しろくん、くろくん、ちゃいろくん。

 魚釣りをしていると、空が急に暗くなり、雨も風も強くなり、ボートがめちゃめちゃ。

 ちゃいろくんのお家もばらばらになり、怪我もしてしまいます。

 くろくんは、ちゃいろくんを自分のおうちにつれていき、包帯をしてあげたり、ジュースをもってあげたり、本をすすめたり。

 ところが、ねてばっかりの ちゃいろくんは、つまりません。

 つぎのひ、「ちょと でかけてくる」と、くろくん。次の日も、次の日も。窓からのぞくとしろくんも いっしょ。荷車でいったり きたり。ビーバーもリスも木をはこんでいます。おまけに おおかみさんまで。

 「みんなで ボートを つくってるんだ」「ずるいや! ぼくを なかまはずれにして」と、おおあばれする ちゃいろくん。

 そんな ちゃいろくんを くろくん、しろくんは どこかに つれだしました。森のなかにあったのは?

 

 だいすきな友だちのために、くろくん、しろくん、森の仲間で 素敵なプレゼントする 心が あったかくなる絵本です。


庭石さいばん・・長崎

2021年09月05日 | 昔話(九州・沖縄)

         長崎のむかし話/長崎県小学校教育研究会国語部会編/日本標準/1978年

 

 知恵者の勘作話。大村藩と諫早藩がでてくるので江戸時代以降の話でしょうか。

 

 大村藩と諫早藩の境のところに、庭石に使うような立派な大理石があって、二つの藩が領有権を主張していた。

 連れてこられた勘作さんが、「そら、諫早藩に三文でうち売れ」というと、ぐずぐずすると値上げされると思ったのか そりゃ安いと、諫早藩の者が買うことにきめます。

 ところが勘作さんは、大理石は大村藩のものだという。

 勘作さんの言い分は「たとえ、一文で売るといわれても、自分の物を買うもんは、一人もいない。買うといったのは自分の物でないということ」。

 諫早藩の者は、だれひとり、なんともいえなかったと。

 

 国と国とで 土地をめぐって領有権を争い、戦争になるケースが絶えない。もう少し穏やかにいかないものか?


ほうまんの池のカッパ

2021年09月04日 | 絵本(昔話・日本)

    ほうまんの池のカッパ/椋鳩十・文 赤羽末吉・絵/BL出版/2018年

 

 種子島に住む「とらまつ」は、鹿を手づかみで生け捕り、雄牛をねじ伏せるほどの力持ち。
さらに、村一番の釣り名人と大威張。

 ある日、釣りの帰りに ほうまんの池のちかくを通ったところ、きゅうに右足が地面にぎゅうと くっついて 動けなくなりました。
 両手で右足を地面から引き離すと、次は左足が、左足を引きはがせば、また右足が かたく 地面に くっついて しまいます。
 とらまつがおどろいていると、ワラビが 頭をだすように、ぬくりん ぬくりんと おかしな手が たくさんはえて、その手が、魚を みんなつかみとると、つるりん と、地面の中に消えてしまいます。

 つぎのひ、一計を案じたとらまつは、てんぷらをいれた おかもちと、ぐーら ぐーら にえたぎった 鉄瓶を さげて ほうまんの池に でかけていった。きのうとおなじように 足が地面にくっつき、へんてこな手も ぬくりん ぬくりん はえて でて、おかもち まがけて ちかづいてきた。けれど とらまつは こんどは おどろかない。 にたり にたりと わらって、「やい。どうじゃ!」、大声で叫んで 鉄瓶の湯を おかしな 手に ぶっかけた。チチ チ チチチ チと へんな 叫び声がして、とつぜん 十ぴきの カッパが がばりんと とびだした。そして、激しい勢いで とらまつに ずつき。その、あたまのかたいこと かたかったこと。とらまつは おもわず どすーんと しりもちをついてしまいます。

 力自慢のとらまつは、ほうまんの池の ちかくに、太い棒を にぎりしめ、くさむらに ひそんで、朝からまった。昼までまった。まっても まっても でてこない。池が 夕焼けの空を しずかに うつしたとき、ごぼぼん こぼぼんと、あわだちはじめ、ぬくん ぬくんと 十ぴきのカッパたちが、水の上に顔をつきだした。

 カッパは おかにあがり カワズとびに とんで とらまつのほうへちかずいてきた。とらまつの 足の下の木の枝が、ぽきんと 音をたてて おれた。

 すると、ふしぎなことが はじまった。カッパたちは、ひととび するたびに しわしわと からだを しぼませていく。ひととび とんでは しわしわしわ。ぴょこん しわしわ どびんほど。ぴょこん しわしわ ゆびさきほど。ぴょこん しわしわ まめつぶほど。

 とたまつは、いけどりにしようと 右手に五つ、左手に五つ にぎりしめ、にたりと わらった。ところが カッパは 手のなかで もっともっと ちぢんでいく。ちりちりと ちぢんで ノミほどに、そしてケシつぶより ちいさくなって、ゆびのすきまから つるりん つるりん すべりぬけた。

 ぬけだしたカッパは、こんどは ひととび するたびに ふくれあがる。ぶたほどになり、うしほどになり、いえほどに。いくらでも でっかく でっかく ふくらんでいく。闇いっぱいの 大きさになったカッパは ゲータ ゲタ ゲタ と大きな笑い声をだし、目玉を ぎらりぎらり ひからせて とらまつを にらみつける。

 とらまつは ウオー ウオーへんな 叫び声を あげると こころのそこから ふるえあがって 一目散に はしりだした。

 

 これまでのカッパのイメージと違って、姿、形を自由に変え、集団で行動します。

 闇いっぱいの おおきさのカッパが、でっかい めだまだけを ギラギラするさまは、とらまつでなくとも 震えあがりそうです。

 

 初版は1975年で、2018年の復刊です。


きょうりゅうのかいかた

2021年09月03日 | 絵本(日本)

     きょうりゅうのかいかた/くさの だいすけ・文 やぶうち まさゆき・絵/岩波の子どもの本/1983年

 

 どうぶつ好きの兄妹が、おおきいどうぶつを飼いたいとお父さんに頼んでいると、あるひ、お父さんがきょうりゅうの子どもをもらってきました。

 「ふたりで、ちゃんと かうんだよ」とお父さんに言われ、ふたりは、きょうりゅうに「どん」と名前をつけて、飼う準備をしました。

 まずは、長さ10m、高さ5mのどんのためのおおきな家、トイレの穴、一日小型トラック一台分の草。

 池のお風呂でどんをあらい、予防注射も済ませます。けれども どんは なにか元気がありません。お医者さんから運動不足といわれ、ともだちをさそって、どんと ハイキングへ。

 

 巨大な恐竜ですから、二人だけでは飼うことができません。大工さんだったり、ともだち、お百姓さんも協力します。

 長いカタカナの恐竜ですが、子どもたちは いとも簡単に名前をおぼえ、どんな存在かもしっています。空想の世界であっても、こんな疑似体験は得難いことなのかもしれません。

 最後に動物登録カードがでてきて これからこの町で暮らすきょうりゅうですが、個人的には、このきょうりゅうが幸せなのかきになりました。いくらよく面倒を見ても、きょうりゅうの幸せは、別なのかも。(これは、独り言です)