東京に雪が降りましたね。
雪が降っていいことばかりではないけれど、温暖化が叫ばれる中では、本来の冬の姿を取り戻したような、そんな印象とともに、ちょっとした安心感もおぼえました。
いつものように昼食をとり新聞を読む空間が、ちょっと明るい。それはきっと、庭先に残った雪に反射した光のせいでした。雪が降ることで変わる日常。
庭木の枝葉につもった雪がとけ、なんとなく庭を見ていると、老いた梅に花が咲き始めていました。まだしっかり咲く前の、微妙な瞬間。
もう何十年も植わっている、皮一枚で幹がつながっているような、そんな老梅。その枝から新しい枝が芽生え、つぼみがついているのを見ると、なんともいえず心が動かされます。
最近にはめずらしく寒い冬の日に、たしかな春の訪れを感じつつ。
そういえば、知り合いの庭師が言っていました。梅が植わると庭は和風になるんだよね。
ヴェネツィアの話の次に書く話が梅。一気に日本の話ですね。華やかさとういう点ではわからないけれど、和の木には、日本人の心に直接響くなにかがあるような気がします。そしてそれがずっとあり続けるということにも、大切な意義を感じます。