た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

ある人の言葉(46)

2007年12月17日 | 写真とことば
bar■では、ときどき他客の会話がジャズ・セッションのようにほろ酔い心地に鳴り響く。

──本当に惹かれてたら、退かれてもいいじゃん。

 なかなかの名言と思われるこの一女性の言葉を、結婚式の二次会集団は式で出たロブスターのように黙殺した。

──でも、

 とすぐにリーダー格の男が話の続きを引き受ける。

──田んぼは売っちゃいかん。まあ飲めよ。でも、田んぼは売っちゃいかん。

 二杯目のドリンクが行き渡る。もちろん頼まない人もいる。

──わたし、どっちかというと、空気がやわらかい人が好き。

──でも、土地を手放しちゃいかん。

 さあ、そろそろカウンターのカラス貝は退散するとしましょうか。マスター、勘定を。
  
    え? うん、外は寒いと思うよ。  仕方ないよ。  メリー・クリスマス。
コメント (2)
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