た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

8月15日

2009年08月15日 | essay
 お盆になると不思議と風の匂いがかわる。蝉が低いところで鳴く。虫の音が高くなる。海に行っても眺めている時間が長くなる。
 お盆に海で泳ぐと足を引っ張られるという恐ろしげな俗説があるが、仕事上お盆にしか連休を取れないので、家族で石川の海に行ってきた。
 初日は雨であった。遠方からわざわざ来たので雨でも泳いだ。白波の砕ける日本海に腰まで浸し、雨水で額を濡らしながらたたずんでいると、バカンスというものについていろいろ考えさせられた。
 二日目は晴れた。泳ぎ、車を走らせ、また泳いだ。やっぱりバカンスは素敵だと思った。それでもどうかすると、夏よりも、やがて来る秋のことをいろいろ考えている自分がいた。顔を上げれば、大きなトンボが飛んでいた。
 お盆は季節の節目、とは昔から言われる通りである。ご先祖様は汗もかかず、さりとて襦袢一枚で寒がりもせず、なかなか快適にお出ましいただけるわけだ。お盆はお盆としてしかるべき時期にあるのである。
 海を眺めていると、ふと田舎に行って墓参りがしたくなった。
コメント
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