大みそかに、我が家に初めて松飾を飾る。この地域の風習に合わせようと、近隣の家々の玄関を偵察しながら塩梅したもので、松の枝としめ縄と紙垂(かみしで)だけの簡素なものである。正式な飾り方はいまだにわからない。紙垂という言葉もインターネットで調べて初めて知った。ずいぶんいい加減な松飾である。だがそれでいいのだ。年々正月らしい正月を迎えなくなっている気がして、なんだか漠然と物足りなくなり、あえて逆行する形を採ってみたのだ。天候もそんな私の気分に配慮してか、おそらくしないだろうが、夜半から雪。日付と年が変わるころ、酔った体に何重もの防寒着をまとい、家を出る。踏みしめた跡の少ない雪を踏みしめながら、小一時間ほどかけて神社に向かう。水気の多い雪は頭と肩を幾分濡らしたが、気になるほどではなかった。
一年の計は元旦にあり、という。計を立てるほどの頭のない人間は、せめて形だけでも、と思う。計の方は正月の酒が抜けるころ、ぼちぼち考えていくつもりである。なんにせよ、2016年が始まった。