た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

ただひたすら頭(こうべ)を垂れよ

2018年10月01日 | essay

 台風一過の秋晴れの街を気持ちよく自転車を漕いで帰ってきたら、鍵束をズボンのポケットからどこかに落としてしまっていた。この辺りが私の生涯出世できないゆえんであろう。慌てて来た道を引き返し、途中の交番に立ち寄ったら、ちょうど拾った人が届けにきてくださっていた。平身低頭して感謝の言葉を連ね、名前をお尋ねしたが、決して名乗ろうとせず、笑顔で立ち去られた。何という救う神あり。私の周りは救う神で満ちている。この辺りが、私の、出世できなくても何とか生きてこれたゆえんであろう。

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