2012年7月11日(水)、「平成24年度東山ふるさと歴史講座~江戸時代の村の歴史を温(たず)ねる~」(東山公民館、田河津公民館、松川公民館、石と賢治のミュージアム:主催)の現地学習(第5回学習会)が行われました。
市のスクールバスを利用して「風土記」記載されている町内各地(現地)を訪ねました。9:15時、東山公民館出発。最初に訪ねたのは「長坂村生出(おいで)大木山神社」。次に訪ねたのは生出の寺下大清水。その次は田河津(たこうづ)字横沢にある金山跡と月山神社の梵鐘。そして今度は田河津(たこうづ)字夏山にある紫雲石硯製造販売元の佐藤鉄治家(田河津字夏山174番地)を訪ねました。
この東山町夏山特産の紫雲石材は昔から「正法寺(しょうぼうじ)石」と言われて、古くは藤原三代の頃から生産された歴史をもっており、「田河津村風土記御用書出」(明治3年)に下記の記載がある。名石 弐ケ所 三ツ井山 衝石山。但、右弐ケ所共紫石に御座候。内三ツ井山の儀は、享保8年旧御領主様御出馬の節、御見立相成、堀方へ相留居申候。
見学者一行は佐藤家の座敷に招きあげられ当主・佐藤鉄治さんから紫雲石硯に関する話を聞きました。
”この地は山一帯が淡紫色の粘板岩から出来ており、真に周防赤間の石材に優る量と質とをもっている。この石を使用した「正法寺石」即ち「紫雲硯」は鎌倉時代から発掘されたものと思われる。明治維新前に仙台藩公の「お止め山」の制度によってその採掘が制限されてからは一般の人々の利用ができなくなり、その真価を知っていただけなかった。”
佐藤家で製硯(せいけん)が始まったのは今から70年以上前。雄勝硯の職人山本儀兵衛の息子幸治郎が晩年、鉄治さん宅で世話になりながら彫ったことがきっかけ。見よう見まねで始めた祖父鉄三郎さんが初代で、鉄治さんは三代目という。
紫雲石についての話を聞いた後、自宅脇の作業小屋に移動して硯加工の話を聞きました。”原石を電動カッターで切り、ノミを入れる。紫雲石の自然な風合いを損傷しないように少しずつ彫り進める。彫った硯は、研ぎ石と水ペーパーで磨き上げ、仕上げに漆(ウルシ)を塗る。”
母屋の向かい側にある土蔵の前に植えられたジギタリスが、花の外側は紅紫色やピンク色で、白い内側に暗紫色の斑点が散在するラッパ形の花を沢山咲かせていました。
ゴマノハグサ科 ジギタリス(キツネノテブクロ)属 Digitalis :ヨーロッパ、アフリカ東北部から中央アジアにかけて約20種が知られる。多年草から2年草。葉は互生し、幼苗時にはロゼット葉をつける。夏に総状花序を頂生する。萼片は5、花冠は釣鐘状で2唇形となり、筒部は膨らむ。花色は紅紫、黄、茶褐色、白で内側に斑点と条が入る。
ジギタリス ゴマノハグサ科 ジギタリス(キツネノテブクロ)属 Digitalis purpurea:
別名:キツネノテブクロ(狐の手袋)、英名フォックスグローブの訳。ヨーロッパ原産の2年草~多年草。本属の中では、最も園芸化が進んでいる。古くから心臓病の薬用植物として栽培されてきた。最近は観賞用に改良され、花の色もいろいろあものがある。春に種子播きすると、1年目は長楕円形の葉を根生したまま過ごす。2年目の春から6月にかけて茎が1m以上に伸び、長さ5~7.5㎝ほどの大形の花が穂になってつき、下から順に咲く。花色、花形、草姿などに変異が多い。最もポピュラーなものの花の外側は紅紫色、内側は白く、暗紫色の斑点が散在する。花期:5~7月。
園芸品種には本種を中心とした種間雑種もあり、花壇に植栽され、切花としても利用される。栽培:繁殖は種子による。[山と渓谷社発行「山渓ポケット図鑑2・夏の花」&同「山渓カラー名鑑・園芸植物」より]