WIND AND SOUND

日々雑感 季節の風と音… by TAKAMI

食べるということ5

2006-12-15 | 健康とダイエット
「食品の裏側」の著者、安部司氏の講演を聞きにいきました。阿部氏が、あちらこちらで、添加物の白い粉を使った実験をしながら、各地を講演している様子はネットなどで目にしていましたので、¥500でご本人にお目にかかって、お話を聞けるなら、本を買うより安いしお得♪…と思って、楽しみにしていました…

私が、「コープ自然派」に加入したことは、以前書きました。
無添加、無農薬の取り組みをしている業者や農家を厳選して、適正価格での安定供給を目指している生協です。
その後、毎週のリストを見ながら、あまりにもスーパーに比べて割高なので、いつも考え込んでしまっていました。
いつもスーパーで買い物をするとき、肉、魚なんか100gあたりに換算しませんか~みなさん??
私にとって、100g200円以上は高い。300円以上なんて、もうめったなことでは買いません。
ところが、「自然派」の肉、魚類は、100g 200~300円台はフツー。
「高い!」と思っている、これが、真っ当な動物性たんぱく質の適正価格なのか…
野菜も高いです。
私の経済力では、とても「自然派」ですべての食材を買うことはできません。
なので、とりあえず、ソーセージ、ベーコン、練り物、お漬物、ふりかけ…など、アミノ酸系調味料が入っていなくて、味に歴然とした違いのわかる加工食品と、葉もの野菜を主に購入していました。高いけど、なんだかホッとする、「食べ物」の味なのです。
でも、葉ものも、最近はスーパーでとっても安いので、背にハラは変えられません。

「食物には適正価格というのがある」

これを思い知りました。

おにぎり1個、お惣菜一皿。サンドイッチ1食…
これらを、自分で作るよりも安くコンビニやスーパーで買えるっていうところで、もうすでに異常だ。それだけ、添加物に魂を売ってるってことなんだ…
私の基準は「味」です。安全とか、健康とか、もちろん気になるけれど、正直なところ、味の違いがわからなければ、安いほうを選んでしまいます。
でもでも、その「味覚」すらも、「添加物」の乱用で、麻痺しているんだ、、ということも聞き知っています。

コンビニ弁当が、添加物にまみれていることも聞き知っていました…が、実際に、この製造工程を知ってしまうと、ホントに愕然となります。

たとえば、、、

阿部氏は、「たくあん」が一瞬にしてできるところを再現されました。
ふつーの大根が、一瞬にして「たくあん」に変身するのです。
いや、ふつーの大根ならまだマシで、農薬にまみれてアジアの畑で収穫され、、大量の保存料をまぶして岸壁で野晒しになって変色した、「食品」とはいい難いような状態のモノが、漂白剤、着色剤、香料…などで色、艶、風味、手をかけたホンモノのたくあんそっくりに、キレイに仕上がるのだそうです。天日干しにして、水分を抜く過程も、薬液に浸して一瞬で出来上がる。時は金なり。しかも安くて大量生産できる。すごい技術です。ビミョ~な古漬けっぽい色や香りも、微調整可能。しかし、消費者は、お弁当の蓋を開けたとき、古漬けの匂いがすると臭いといってクレームがくるので、紫蘇や、ゆずの香りと、新しいきれいに見える色素でさわやかなお漬物を作るのだそうで…(-_-;)
要するに、「ニセモノ」「似せモノ」「偽物」。

こんな食品を、安く買えて、「美味しい」と感じながら過ごせるのって、幸せなことなんだろうか?
「良いことだ」と添加物の公式サイトはきっぱり言ってます。毒性のテストはクリアした、堂々と認可された人体に影響のないものばかりと。
そして、殆どの消費者も、健康を気にしながらも実際には「安い、簡単、便利」を選択しているのです。厚労省が認可してるんだし、味の違いがわからなければ、当然のことだと思います。

でも、私、サンドイッチを手作りして職場に持っていくようになってから、たまに時間がなくて、コンビニでサンドイッチを買ってって食べたら、なんだかねっとりとしてて、気持ち悪い。おにぎりも同じ。おにぎりって、ただおコメの中に鮭や昆布を入れて海苔で巻いてあるだけなのに、なんでこんなによくわからない添加物がいっぱいなんだろう…と思いませんか? お惣菜も、サラダも、短時間で大量に作るために、おおよそキッチンで作る「料理」とはかけ離れた世界で生み出されているようです。

そしてさらに、認可されている添加物を使って作られた、コンビニ弁当の大量の賞味期限切れ商品を、豚の飼料にしたところ、数ヶ月のうちに、殆どの豚が体調に異変をきたしたり、妊娠している豚は流産、早産、あるいは死産し、養豚業者が大変な損害を被った…という話。この話は以前、ブックマークさせていただいている空魚さんのブログでも拝見しましたが、阿部氏のグループが何かのメディアに事実として発表したところ、そのコンビニの会社から大変なクレームが来たそうです。「自分達はなにも悪いことはしていない。法に触れるようなことは一切していない。企業のイメージを落とすようなことをしないで貰いたい」というわけです。

阿部氏は、1リットル1000円と200円の醤油の違いについても話されました。200円の醤油は、製造工程の手間を省くために、化学的に分離して再合成されたものであること。醤油ではなく「醤油のような奇妙なもの」なワケです。味の違いがわからなければ、殆どの人は、1000円より200円の醤油を買います。でも私、めっちゃ安い醤油を買って、後悔したことあります。「なんかヘン」。醤油って、そうすぐになくなるものではないので、毎日毎日、「なんかコレ、アヤシイわ」と思いながら、ずーっと使い続けたもんね。煮物などに使うと、まあそれほど際立つこともないのだけれど、お刺身などに、そのままかけて使うときの、なんというか、ぎしぎし感。イヤだったな~~。あれはやっぱり醤油じゃなかったんだ。だったら、「みりん風調味料」みたいに「醤油風調味料」って書いてくれってんだ。
コーヒーフレッシュに至っては、もぉ~~気持ち悪くて、書くのもイヤ!
奥さん、薫り高い美味しいコーヒーに、そんなヘンなもの入れるのやめあましょぉよぉ~~!!

食品の名称、その定義を決めるのは法律です。
これは、ウィスキー大好きな私が、スクール時代、国によって「ウィスキー」の定義が違っていること、日本のウィスキーは、いろんな添加が認められていて、めっちゃアヤシイことなどを通して、いろいろ考えさせられたことでもあります。


「安い、簡単、便利」を手に入れるために、私達が失っているもはなんだろう。

私は、それは、「人間の尊厳」だと思います。

そんな大袈裟な!って思うでしょうけど、農薬や、重金属にまみれた屑野菜、屑肉を、化学工場で大量の添加物できれいな色と香りと濃い味を付けて、できあがった「奇妙なもの」を安く売り、それによって、人の味覚はどんどん麻痺して、どんどん「奇妙なもの」の生産と消費が膨れあがっていく…

私はこんなものを食べるために生きて働いているのではない。

人間は尊い。人間のからだは尊い。そのからだを、こんな「奇妙なもの」でつくるなんて、、
何かが狂って、不自然な、奇妙な方向へぐるぐると渦に吸い込まれていくような、そんなうすら寒いものさえ感じてしまいます。

しかし、冒頭に書いたように、真っ当に作られたもの、工程に時間をかけたものは高いのです。私のような低所得者にはとても気軽に買えるものではないのです。
「安い、簡単、便利」を消費者が求めれば求めるほど、真っ当な食べ物は、居場所がなくなり、小規模の良心的な業者は潰れて、どんどん少数になっていって、やがて真っ当な食品は、一部の裕福な人たちにしか手に入れられない時代がくるのではないか、、、
いやもう、すでにそういう時代になってしまったかも。
そして、健康ブームや、自然食レストランは、裕福な人たちの趣味の領域になっていく…

興味深かったのは、消費者を食品や健康に対する意識の高低、真っ当な高い商品にお金を払う、払わないで4つに分類し、それぞれの割合が次のようになるそうです。
「理解型」(意識高・払う)6%
「志向型」(低・払う)17%
「分裂型」(高・払わない)52%
「無頓着型」(低・払わない)23%

そして、阿部氏の講演で私が最も印象に残ったのは、
「理解型の人々は、必ずしも裕福ではない。ひとり親世帯でも、子沢山で生活がぎりぎりでも、1000円の醤油を買う人は買うのです。そういう人たちは、買う種類が少ない。一方、「分裂型」は、安いものをあれもこれも、次々と買う。」
…つまり、限られた食材と調味料を、賢く組み合わせて、自分達の家族の「食」を精一杯守っているというわけです。家族だけではなく、この人たちは、良心的な生産者を、懸命に支えている人たちでもある。
選挙で1票を投じるよりも、さらに尊いことだと思います。

「健康」や、「安全」の基準なんて、わからない。現在も人体実験進行中なのだから…という阿部氏の言葉。全くその通りだと思います。

健康とか、安全とかを考える以前に、私は「心のある」食べ物を食べたい。「命」があって、「人の手」を通過してきたものが食べたい。もちろん、Takにもそういうものを食べさせて育てたいです。これが私の自分なりの食べるものを選ぶ価値基準。

「心のある」食べ物が、人間の健全な心とからだをつくるのだと思います。


今日の記事は、阿部司氏の講演を自分なりに消化して再構成したものです。
各地での講演内容については、いろんな方がたが、ブログやHPの記事で紹介しているようですので、興味のある方は、検索してみてください。


             
高野豆腐と水菜の卵とじ・ほうれん草と桜えびのお浸し・ベーコン、ジャガイモ、玉葱、インゲンの飛鳥汁風・だし昆布の佃煮
Comments (19)
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