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WIND AND SOUND

日々雑感 季節の風と音… by TAKAMI

「庵治」探訪 少女タカミを訪ねて

2006-05-21 | 光と風と旅
GWに瀬戸の島々を巡って、心の故郷を再認識したので、20年以上ぶりで、「庵治」を訪れてみることにしました。
近くて遠いところ、「庵治」。いやもう、私にとっては、この響きだけでも特別なのです。

「丸山峠」を越えて坂を降りたあたりに、新しい家族で住んだメゾネットがあるはず…
でも、そこは、埋め立てられて、新しい道路にきれいな町役場(今では高松市役所支所)ができていてすっかり様変わりしていました。
それでも、確か、このあたりのはず…と記憶をたどって行ってみると、あった…これかも、、、 30年以上前の、軽量鉄骨のメゾネット。2Fのベランダの壁が崩れ落ちている。なんだかもの悲しい。
すぐ傍には、きれいではなかったけれど、小さな浜辺があったのですが、そこも埋め立てられて、景色はすっかり変わってしまっていました。

それから、さらに先へ。こんどは、祖母と住んでいた「小屋」の跡地へ。
狭い路地へと車を進めていきます。路地といっても、このあたりが昔は目抜き通りだったところ。
取り残されたように、何も変っていない路地。
駄菓子屋や雑貨屋だった建物は、錆びたシャッターが閉まって、人通りもなく、時間が止まっているようです。
私の住んでいた場所はどうなっているだろう…
だんだん動悸がしてきました。
鮮魚料理の旅館の調理場も閉まっていました。

そして、これが小屋の跡です。

何も建ってない。(何も建てようもないほど狭いのです)「よかった…」 吸い寄せられるように踏み入って、暫し佇みました。
このあたりまで庭。ここが玄関、そしてここが私の部屋。ここがトイレで、ここが台所…
こんなに狭いところで、おばあちゃんが作ってくれた朝ごはんを食べて、バスに揺られて学校に通っていた少女タカミは自分とは別の人物のような気がして、なんだか愛おしさがこみあげてきました。不思議な感覚です。幻の我が子の足跡を辿っているような??
さらに、毎日バス停からの帰りに歩いた小さな漁港にも行ってみました。



日曜の真昼の漁港。あまりにも静かで、聞こえるのは、漁船のひたひたさざ波に揺れる音と、漁船をつなぐロープが軋む音。



その日捕れた魚を買いに来る近所の人たちで賑わっていた料亭旅館は、時を刻むのをやめてしまったかのようです。

さらに、バスの終点からその先。
夏休み、ひとりでよく自転車で行った海岸へ…

 

ここで、日がな一日石投げをして遊んだ少女タカミ。3段飛び、5段飛び…とウデを磨いていったのよ。

この海岸の端の洞窟に観音さまがありました。
「竹居観音」


亡くなった私の祖母は、願掛けに、ここへ歩いてお参りをしたとか。坂の上り下りがいくつもあって自転車でも相当キツイのに、若い頃から腰を病んでいた祖母は、きっと1日がかりだったことでしょう。洞窟の中は少し恐かったけれど、不思議な安堵間や、優しい空気を感じることができて、…好きでした。少女タカミの秘密の場所だった…

少女タカミは、自分だったのか、なんだかわからなくなってきました。

少女タカミは、自分の境遇を不幸だとも、寂しいとも、貧しいとも、不満だとも、全く感じたこともなく、すべて普通の日常と思って受け入れていた。不幸どころか、かなり楽しかったのです。ここで自分の世界を思いきり広げていった。そんな少女タカミを抱き締めて大泣きしたい自分はいったいなんなんだろう?? 「かわいそう」というのではないし。タカミの中に、息子Takを投影しているんだろうか???
(…暫し考える)
誰も知らない、親も友達も知らない「少女タカミ」の世界を、私だけが知っていて、私だけが抱き締めてあげられる…そんなカンジかなあ~~~

まっ、考えて整理する必要もなし、これはこのままで…
ってことで観音様を後にして、車に戻りました。
そこには、とっても素敵な出会いが待っていました♪♪
(つづく)
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15 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
おはよう~ (えみりん)
2006-05-25 09:46:02
 >少しの間更新をお休みします

とは、このことだったのかしら…

あぁ~よかった

ここから、少女たかみさんの世界が始まったんですねぇ~

わくわく・ドキドキしながら、読み進めていきました。

「庵治」…えみりんも高松時代に、娘を海水浴に連れて行きました。

その頃からでも、風景は様変わりしてるでしょうねぇ

「つづき」を楽しみにしております。



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Unknown (TAKAMI)
2006-05-25 16:00:26
♪えみりんさん

速攻のコメントありがとうございます!

いつも覗きにきてくれてたんですね。

ホント、ご心配おかけしてごめんなさい。



お休みしたのは、このコトの為ではないんです。また近々書きますね。



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わたしも・・・ (おゆき)
2006-05-25 16:30:19
行ってみようかな・・・・

小学校時代に住んでいたところに・・・
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続編楽しみです (hawk)
2006-05-25 16:38:35
ぼくの母親の家はぼくが生まれて育った家で



ぼくが田舎へ帰ると行く家で

その意味ではずっと連続していて

TAKAMIさんのような 不連続感はありません



詩情がないですねぇ



家自体も建て増しはしましたが 立て替えとかはしていませんので

ほんとに連続です



でも海辺のはいいですね

海は詩ですね

ぼくのところも 完全に海辺ではありませんが

海まで歩いて数分です

漁師町もあります



TAKAMIさんの続編

楽しみにしています

返信する
お帰りなさい (ikehirochan2)
2006-05-25 17:23:46
TAKAMIさん。

たった1週間のお休みだったのに、

何やら、とっても懐かしく、嬉しくて、ホッとしました。 偉大なり、TAKAMIパワー!



「庵冶」ってTAKAMIさんの故郷だったのですね。

<少女タカミの世界、私だけが知っていて、私だけが抱き締められる・・・そんな感じかなぁ> すっごく分かる気がします。 なんだか胸キュンになっちゃったよ。

続きが楽しみ、

と言っても、明日から主人3連休なので、月曜日しかこれないの。折角TAKAMIさんがブログ再開してくれたのに、
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ドキドキ (まっきー)
2006-05-25 21:31:40
おおおー。

すごくドキドキして読んでしまいました。引き込まれるようでした。映画の中の一場面みたい。

僕も、2年ほど前、実家に帰ったとき、昔の場所を探検して回りました。驚くほどそのままだったり、全く姿を変えていたり。

その場に居合わせると、当時の感情が鮮明に蘇ってくるものですよね。



是非、少女タカミの気持ちを大切にしてあげてください。
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Unknown ()
2006-05-25 23:14:03
う~ん!ノスタルジーですねー

私は行ったことのない場所なのに、情景が浮かんできます。

思わず“うん、うん、そうだね”と相槌を打ってしまいます。

自分の記憶に残っている風景を求めてその場所に再び訪れ、そして跡形もなくなっているのを見た時・・・一抹の寂しさを感じて思わず“ふぅっ”と溜息をついてしまいそうです。

それは、私の記憶がセピア色に変わっていく瞬間です。



なんか、訳のわからないこと書いてしまいました・・・スンマセン

でもこれ、小説になりそうですね!

続きを楽しみにしております!
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Unknown (TAKAMI)
2006-05-26 15:55:08
♪おゆき

mitsukiちゃんと一緒にいってみたらどうかなー?

一緒にいく人ってのも重要かも…



♪hawkさん

なるほど、「不連続感」かあ。

私は不連続感の連続かも…

「庵治」もそうだけど、その前に住んでいた実父のいる実家はものすごく長い間、めちゃくちゃ近くてめちゃくちゃ遠いところでした。10代の頃は、郷愁を感じ続けていたものです。そういうのも「詩情」に影響するんでしょうかね?

「不連続感」はたぶん、人間性にも影響するんでしょうね。

どんな影響なのかはわからないですけどネ。



♪ikehirochan2さん

ありがとうございます。

ひろさんやその他のみなさんが期待して下さっているような展開の続編ではないかもしれないけれど、私にとっては、この結末はとっても素敵でした~~!!



♪まっきー

ありがとう~

一応気合い入れて書きました(^_^;)

まっきーも「昔の場所」の探索、したんだね。

私は、昔住んでいた場所の近くを通ったりすると、よく車を停めて見に行ってみたりします。20年も昔によく通った焼肉やさんがまだあるのに感激したり…

小屋の跡にいって(取り壊されたことは聞いていたけれど)何も建っていなかったときには、小さく嬉しかった、、これって、少女タカミの気持ちだと思います。



♪凛ちゃん

私には小説にする能力がありませ~~ん(=^‥^A

なんかちょっと小説風になっちゃったけど、この結末?はここから未来へと繋がっていく、意外な展開となりました。

ここの場所で、過去と未来が結ばれていくなんて、ものすご~~く素敵と思いません?

でも、小説にはできないよぉ~~(T_T)



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Unknown (HM-LINE)
2006-05-31 21:16:58
思い出の地があるってのはすごくいいことだと思いますね。

俺の幼少の思い出の地は東京の都会の中だったので今となってはすっかり変わってしまいました。

けど、ありがたいことに昔すんでいたマンションや、今も仕事で入っている上野動物園があっただけまだよかったなぁ~と思いましたね(^^)。

でもTAKAMIさんのなつかしい思い出の地、ぜひ一度行ってみたいものです(^^)。

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Unknown (TAKAMI)
2006-05-31 22:10:19
♪HM-LINEさん

ぜひトレーラーに乗っておいでください(^_^;)

坂道がスリルありますよぉ~~(^_^;)

…っていうか、それよりもこんなにイッキに、だらだら長い文章を4つも読んで下さいまして、ありがとうm(_ _)m

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