ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

緑の光線

2006年06月16日 | 映画


「Green Flash」と英語でいうらしい。
緑の光線というのは、日の出或いは日の入り時に、太
陽が一瞬緑色に輝くその自然現象のこと。
昨日の新聞に、その瞬間の写真が載っていた。
実物というかそのものを見たのはこれが初めてだ。
実際のところ、このことを日本で緑の光線というかは
知らないが、それを題材にした映画のタイトルが「緑
の光線」だったので、その名前でずっと記憶していた。

「Rayon Vert」これが原題。
邦題が緑の光線(そのまんまや)。
フランスのエリックロメール監督の作品。
ちょっと生活に疲れた女性が、緑の光線を見ると幸せ
になれるという言い伝えを信じ、それを求めていくと
いう、筋だけ見ると珍気な映画と思われるが、実際は
全然違う。
ありふれた日常を題材にするエリックロメールの映画
は、これに限らず、劇的な展開をすることは一切なく、
ハリウッドに毒された目からすると、一体何が面白い
んだと言う作品ばかりだ。
エンターテインメントの対極。
確か、カメラ一台あれば映画は撮れると言っていた。
殆どロケで、セットはなし。
制作費も、ハリウッドの何百分の一かもしれない。

しかし、日常の、何気ないのだがはっとするような輝
き、それを映画に表現できる監督というのはそうはい
ない。
日本でいうなら、小津安二郎だ。
小津安二郎も筋だけ見ればどこが面白いんだかという
ものばかり。
でも面白いというか、良い。
ヌーヴェルヴァーグの一員でもあるエリックロメール
は、映画史からはずすことのできない、個人的にも好
きな偉大な映画監督なのである(断言)、勿論小津安
二郎も。
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